『若い読者のための短編小説案内』2

<『若い読者のための短編小説案内』2>
図書館で『若い読者のための短編小説案内』という本を手にしたのです。
村上春樹が取りあげた作者、作品に、時代の古さが感じられます。


【若い読者のための短編小説案内】


村上春樹著、文藝春秋、1998年刊

<「BOOK」データベース>より
戦後日本の代表的な作家六人の短編小説を、村上春樹さんがまったく新しい視点から読み解く画期的な試みです。「吉行淳之介の不器用さの魅力」「安岡章太郎の作為について」「丸谷才一と変身術」…。自らの創作の秘訣も明かしながら論じる刺激いっぱいの読書案内。
【目次】
吉行淳之介「水の畔り」/小島信夫「馬」/安岡章太郎「ガラスの靴」/庄野潤三「静物」/丸谷才一「樹影譚」/長谷川四郎「阿久正の話」

<読む前の大使寸評>
借りたのは1998年刊の単行本である。
村上春樹が取りあげた作者、作品に、時代の古さが感じられます。
(表紙は2004年刊の文春文庫のものです)

rakuten若い読者のための短編小説案内


丸谷才一「樹影譚」が語られているので、見てみましょう。
p183~185
 ここから老女と古屋との、差しの闘いになります。それは静かな闘いです。いや、闘いといっては語弊がある。むしろ想念のさぐり合いに近いものです。老女は古屋を「影の世界」に引き戻そうとし、古屋はそうされまいとする。相手の提出してくる説を、惚けた老女の単なる幻想と規定することで、柳に風と受け流し、退け、自らの整合性を保とうとする。

 老女は簡単には逃すまいとする。それぞれに相手の前に、相手のカードにあわせて、自分のより強いカードを並べていくわけです。このあたりは小説の醍醐味です。丸谷氏の短編小説は、ものによってはあまりにも作られ過ぎていて、話が思ったように動いていかない場合があるけれど、この話はとにかくぐいぐいと動いていきます。

 とくにすごいのは「マサシゲ童子」ですね。老女が「あなたの子供の頃の写真だ」と言って彼に渡した古い写真を見て、三十過ぎの姪は「マサシゲ童子に似てる」とつぶやきます。でも「マサシゲ童子」が誰なのかという説明は、まったく与えられません。

 古屋にも与えられないし、読者にも与えられない。マサシゲ童子という言葉は、投げかけられたきり消えてしまう古屋はそれについての推測を行ないますが、あくまで推測でしかない。




(追って記入予定)


『若い読者のための短編小説案内』1:長谷川四郎「阿久正の話」

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