『トウ小平』8

<『トウ小平』8>
コロナウイルス対応の図書館閉鎖の折、読む本に事欠いてきたので・・・
書棚から、この本を引っ張り出してきたのです。


本屋で『トウ小平』という本を見かけたが・・・・
エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。
日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪

…ということで、ほぼ衝動買いとなった次第です。


【トウ小平】
ヴォーゲル

エズラ・ヴォーゲル×橋爪大三郎著、講談社、2015年刊

<商品説明>より
 トウ小平は、中国の方向をどのように転換させたのか。強大な経済力・政治力パワーをもつに至った中国の基礎をどのように築いたのか。「現代中国の父 トウ小平」の著者が、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントを語る。【「TRC MARC」の商品解説】

「トウ小平は、20世紀後半から21世紀にかけての世界史にとって、もっとも重要な人物だ」――橋爪大三郎

「いま中国は相当強くなった。10年か20年で、GDPは世界のトップになるだろう。これがどうして可能になったかというと、トウ小平の開いた道なわけです。あれほど経験があって、権威があって、あらゆる面の実力を兼ねそなえている人は、いない」
「このインタヴューは短いけれど、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントをすべて盛り込むものになった」――ヴォーゲル

<読む前の大使寸評>
エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。
日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪

hontoトウ小平

エズラ・ヴォーゲル

この本の中国での反響あたりを、見てみましょう。
p243~247
<『トウ小平』の反響>
橋爪:『トウ小平』が出てから数年がたち、書評や批判など、いろいろな反応が出揃ったと思います。想像通りの反応、予想外の反響、どんなものがありましたか?

ヴォーゲル:ま、だいたい、思ったような反応ですね。九割ぐらいは。いい本だとか、客観的で、勉強になりましたとか、前にわからかったことを、教えてもらったとか。とりわけ、中国の専門家のあいだでは、すごく成功している。ああいう本はやっぱり、いままでなかったんですね。

橋爪:はいはい。

ヴォーゲル:反対するひとは、主に海外ですね。トウ小平をほめすぎだ。悪いことをやっているのに、それを十分に指摘しなかった、十分に批判しなかった、と。

 中国では、やはり九割ぐらいは、いい本だという反応です。どうして、中国人が書けないのか。どうして外国人があれほどいい本を書けるのか。あるひとはその理由を考えて、自由に学問研究ができないからだ、としていた。とにかく、中国人がいままであれほどいい本を書けなかったのが、残念だと思うひとが多い。

 本のなかみでは、トウ小平に対して、右、左、両方の反応があるんですね。
 左からの反応はこうです。市場開放以降は、個人主義が強まり、いま腐敗問題が出てきた。これは市場開放をやりすぎた結果だ。古い共産党の考え方は、まだよかった。毛沢東は、大躍進は間違ったし、文化大革命も間違ったけれども、国のため、個人の利益のためではなく集団的なやり方のため、政策を行った。トウ小平はその点ダメである。私は彼をほめすぎている。以上が左からの批判。

橋爪:はいはい。

ヴォーゲル:右からの批判はこんな具合ですね。胡耀邦の政治改革プランはすばらしかった。トウ小平は権力を持っていたのに、どうしてせっかくの改革プランを活かして、民主主義の国をつくらなかったのか。どうして胡耀邦に対して、あれほど冷たかったか。どうして天安門事件で、人を殺したか。そういうような、トウ小平の問題点を、ヴォーゲルは十分に批判していない。右からは、こういう味方ですね。

 中国の人びとはやっぱり、アメリカ人よりも、中国の情勢をわかっているんですね。そこで、外国人がこれほど事情をよく調べてわかったのか、と判断できるわけです。そういう人びとは、いろいろ小さな間違いも指摘してくれた。それは助かっています。

橋爪:だいたいでも、予想の範囲内ですね。予想外の、重大な批判で、答えなきゃいけないみたいなのは、ありましたか?

ヴォーゲル:・・・別に、ないと思いますねえ。

橋爪:アッハハハハ。

ヴォーゲル:面白い話があるんですね。方励之が、『ニューヨーク・レヴュー・オブ・ブックス』に、書評を書きました。この本はトウ小平をほめすぎだと、批判した。そしたら、ボクの本の出版社が、方励之の書評の一部を使わせてくれって。結局彼は、ボクを助けてくれたんですね。

橋爪:ハハハハ。

ヴォーゲル:逆効果ですねえ。そういう使い方もあったんです。

<江沢民は、かなり成功>
橋爪:ポストトウ小平の指導者たちについて、順番に、コメントいただきたいと思います。まず江沢民について。さっき、とてもよくやった、というお話でした。

ヴォーゲル:江沢民は、開放以前に、西側のことをよく勉強したのです。60年代、ソ連に行って国際的な経験があった。それから、80年代に貿易の関係の仕事もして、科学についてもよくわかっている。なかなか国際的な人物だと、言えるんですね。

 天安門事件のあと、外国とうまくやるために、いい関係をつくるのに、忍耐力をもって取り組んだ。それから92年の、トウ小平の南巡講和のあとは、もう少し改革のテンポを速めるようにした。ずっと続いたと。

 残念ながら日本の関係では、ぎくしゃくした。92年に日本を訪ねたときはあんまり問題がなかったけれども、90年代後半にかけては関係がちょっと悪くなった。江沢民が、判断を間違った。残念ですね。日本と中国は、やっぱりぶつかってしまった。
 天安門事件のあとは、外国の制裁もあったし、中国の政治経済を軌道に乗せるのは、簡単ではなかったんですね。それを考えると、江沢民はかなり成功した。

橋爪:なるほど。

<胡錦濤は、迫力に欠ける>
ヴォーゲル:胡錦濤は、日本でたとえるなら、松下政経塾。政治家の親戚もいないし、友達もいない。そこで、自分の道を選ぶとき、共産主義青年団に入り、そのあとずっと歩いてきた。

 それで、胡錦濤は、ちょっと官僚タイプですね。優秀。ただ、政治の力はあまりなかったし、人間関係もあまりなかったんですね。

橋爪:なるほど。

ヴォーゲル:だから、強いことができなかった。
 いい政策はあったわけです。たとえば、政府の資金をやりくりして、農村の財政をテコ入れしよう。トウ小平の時代には沿海地方が発展するわりに、内陸が立ち遅れていたから、そちらを重点にしよう。そういう政策は、悪くなかったと、私は思いますね。

橋爪:同感です。

ヴォーゲル:ただ彼は、腐敗問題がどんどんひどくなって、国民も、なんとかしてほしいと思ったのに、それほど大胆なことができなかったんですね。胡錦濤は、遠慮がちに、あまり目にあまるケースを取り締まっただけだった。彼は、よくも悪くも、いい官僚的な人間だった、という感じがしますね。


『トウ小平』1:指導者の交替p138~140
『トウ小平』2:改革開放p154~160
『トウ小平』3:革命よりも改革p164~168、流血の天安門p214~218
『トウ小平』4:中国共産党の病理p231~234、習近平は、実力者p248~250
『トウ小平』5:フランス留学p41~43
『トウ小平』6:中国に戻ったトウ小平と共産党p48~51
『トウ小平』7:中国共産党と日本の自民党p168~170



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