『間違う力』4

<『間違う力』4>
図書館で『間違う力』という新書を、手にしたのです。
これこれ、高野さんの「間違う力」については、かねてより注目していたのです。

・・・ところで、帰って調べるとこの本を借りるのは二度目であることが分かったので、(その4)とします。


【間違う力】


高野秀行著、KADOKAWA、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
人生は脇道にそれてこそ。ソマリランドに一番詳しい日本人になり、アジア納豆の研究でも第一人者となるなど、間違い転じて福となしてきたノンフィクション作家が、間違う人生の面白さを楽しく伝える!!破天荒な生き方から得られた人生訓10箇条!

<読む前の大使寸評>
これこれ、高野さんの「間違う力」については、かねてより注目していたのです。

rakuten間違う力


「第2条 長期スパンで物事を考えない」でチェンマイ行きあたりを、を見てみましょう。
p47~50
<就職しないで生きる方法を探す>
 大学六年生のとき(私は大学生活だけは長期スパンで七年もいた)、「タイのチェンマイで日本語教師にならないか」という話が来たのだ。1991年のことである。
 持ち込んだのは探検部の先輩。彼もまた長期スパンを持たない人で、就職したくないばかりに大学院に進み、タイのチェンマイ付近の村で人類学的フィールドワークを行っていた。

 普通に日本語教師なら、タイ女性よりコロンビア女性のほうが断然好みなので、タイを選択したりしない。だがこの話が最高に魅力的だったのは勤め先が「タイ国立チェンマイ大学日本語学科」ということだ。つまり大学の先生になれるわけだ。

 どうしてそんなおいしい話が来たかというと、当時はなにしろ景気がよくて終身雇用制時代だ。誰でも就職できるかわりに、新卒以外で就職するのがひじょうに難しかった。つまりタイで仕事に就くことは日本での定職を諦めることを意味した。

 もう一つ、当時は欧米以外の外国は「遅れた国」としてあからさまに見下されていたということもあった。そんな国に住むとか、日本語を教えるなんて、「何が悲しくてそんなことを」と思われた。それを裏づけるようにチェンマイ大学の月給は日本円で二万五千円ぽっきりでボーナスもなかった。当時、大卒の初任給がボーナス込みでひと月二十五万円くらいだったから、十分の一だ。

 だから誰もなり手がいない。大学側もそれを承知しているから「大卒の日本人だったら誰でもいいから来てほしい」ということだった。
 もちろん私は大喜びだった。タイは物価が安い。逆出稼ぎに打ってつけの環境だ。聞けば、二万五千円とは現地の平均的な公務員の月給と同じらしい。普通の公務員はその給料で家族を養うわけで、独身の私なら楽勝で暮らせるだろう。しかも大学の教員用の寮にタダで住めるという。もうここで生活の心配はまったくない。ときどき日本の媒体に原稿を書けばそれが自動的にボーナスとなる。

 さらに大学の先生となれば、当然社会的地位も高いはずだ。タイもコロンビアほどではないが、けっこう私好みの女性が多い。若い外国人の大学の先生といえばどこの世界でもモテるにちがいない!・・・というわけである。

 唯一の条件である「大卒」になるために、かなり苦労したものの、なんとか卒業してタイにわたることができた。
 苦労して大学を卒業したらその直後、大学の先生になってしまったのだった。

<タイの「キリギリス社会」で悟ったこと>
 タイに「赴任」してみると、想像以上に暮らしやすい国だということがわかった。
 誰もあくせく働いていない。時間についてはてきとうで、約束に遅れても「雨が降ったから」と言えば通った。熱帯多雨気候のタイではよく豪雨が降り、その度に交通機関が麻痺するのだ。「努力」や「根性」という言葉がないわけではないが、日常ではほとんど使われず、誰もが「気持ちいい」「ラクだ」「楽しい」という言葉ばかり口にしている。
 長期スパンの欠如にも瞠目した。

 私は日本語学科の四年生を担当していた。日本語教授法をちゃんと知っていないと初心者に教えることはできないが、上級者ならすでにある程度日本語ができるからなんとかなるだろうという理由だ。

 四年生といえば、日本人なら当然就職活動を真っ先に考えるはずだが、私が教壇に立ったとき、誰一人、はじめている学生はいなかった。だいたい「就職活動」という言葉がさっぱり通じなかった。
「タイにはそういう習慣はありません」と、いちばん日本語ができる女の子がにっこり笑った。



『間違う力』3:奇襲はメリットが多いが、リスクも高いp168~172
『間違う力』2:就職しないで生きる方法を探すp42~46
『間違う力』1:高野さんの輝かしい業績p211~213

この本も高野秀行の世界R4に収めておくものとします。


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