『横尾忠則さんへの手紙』2

<『横尾忠則さんへの手紙』2>
図書館で『横尾忠則さんへの手紙』という本を手にしたのです。
ぱらぱらとめくってみると、横尾さんの作品(カラー画像)が思いのほか並んでいる。・・・
いわゆる見て楽しいビジュアル本でんがな♪



【横尾忠則さんへの手紙】


酒井忠康著、光村図書出版、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
冒険王・横尾忠則氏へ捧げる、美術評論家・酒井忠康氏からの11篇のエール。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると、横尾さんの作品(カラー画像)が思いのほか並んでいる。・・・
いわゆる見て楽しいビジュアル本でんがな♪

rakuten横尾忠則さんへの手紙

ルソー


パリでの横尾忠則展覧会が語られているので、見てみましょう。
p20~21
<横尾さん、がんばれよ!>
 3月のパリはすばらしい展覧会が集まっていた。
 パリ市近代美術館のボナール、オルセーでのセザンヌとピサロの蜜月時代の作品を集めた展示、グラン・パレではアンリ・ルソー、そしてルーブルでは何と珍しいことにアングルの大展覧会が開催されていたのです。

 こうした巨匠たちの展覧会が開催中のパリの一画で、日本人、横尾忠則の展覧会を見てわたしは「横尾さん、がんばれよ!」という思いで一杯になった。

 なぜか? 柳田国男が伝説と昔話について書いていますね。伝説は植物のように動かしがたく、そこにあるもの。昔話は鳥のさえずり、伝承するもの。そこには粉飾もあるし、変化もある。僕は、ああ、同時期に展覧会をしていた巨匠たちは伝承で、横尾さんは昔話の語り手なのだ、と思った。

 ボナールだって、最初は昔話の語り手だったはずなんです。ルネサンスの巨匠に比べれば。けれど、今は伝説になってしまい窮屈で囲われた世界から抜けられない。

 横尾さんは違うんだな。画家宣言なんかしなくたっていいんです。グラフィックデザインだって、イラストだって、何をしてもいい。横尾忠則であることが、既に昔話の語り手なんです。

 滝のポストカードを集積した作品がありますね。たとえばボナールなら一つの滝に集中して自己に仮託するでしょう。ところが昔話の語り手たる横尾さんは、すべてを公開する。フランス人にその意味が伝わったかどうか。欧州の表現形式の尺度で、絵画上の装飾、あるいは集積と受け止められはしないだろうか。

 展覧会のポスターになった作品≪香港≫にしても、一度見たら忘れられないよね。今、風俗的な絵を描く人はみんなイラストレーターだけど、横尾さんは違う。作品の内にある社会性、他者の声は、イラストレーションの世界ではない。突き抜けてる。あるジャンルに類型化することができない。

 こんなアーティスト、そうはいない。稀少ですよ。日本の芸術界に横尾さんという杭がもしなかったら、実に寂しい風景だと思いますよ。


『横尾忠則さんへの手紙』1:まえがきにかえて


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント