『森と人間と林業』3

<『森と人間と林業』3>
図書館で『森と人間と林業』という本を手にしたのです。
これまで全敗のようなニッポンの林業であるが・・・
この本の目次を見てみると、大使のツボが疼いたのでおます。


【森と人間と林業】


村尾行一著、築地書館、2019年刊

<出版社からのコメント>より
21世紀、日本の数少ない成長産業といわれる林業。
敗戦後の木材不足から、全国で進められた拡大造林(四季の変化に富む広葉樹の森から、真っ暗な針葉樹モノカルチャー林への植生転換)によって生まれた膨大なスギ、ヒノキの森林が大都市周辺部を含め、成熟期を迎えつつあります。

国土の7割を占める日本列島の森林。人口減少が進み、耕作放棄地は森に戻りつつあります。森林から、どのように持続可能なかたちで恵みを引き出し続けるのか。また、木材や、バイオマスエネルギーを取るだけではなく、防災やリクリエーションの場として、どのような森を育てていくのが良いのでしょうか。

<読む前の大使寸評>
これまで全敗のようなニッポンの林業であるが・・・
この本の目次を見てみると、大使のツボが疼いたのでおます。

amazon森と人間と林業


「第2章 日本林業の基本問題と基本対策」で日本林業を、見てみましょう。
p38~41
<日本林業はこれから伸びる> 
■恵まれた環境にありながら
 日本林業を取り巻く環境は、占有率68.9%の外材を圧倒すれば国産材には桁違いの大きな需要が新生するなど、木材需要は従来型の用途においてすら旺盛である。こうした内需のみならず外需も忘れてはならない。

 森林は世界的にいうと不足資源である。それに対して木材利用が先進国ではますます増大していく。発展途上国でも社会の近代化によって「木の価値」が発見される。だから国産材の品質・性能が外材を圧倒するようになれば、国産材は有力な国際商品になるのだ。その上に前章で紹介したように、木材の前途洋々たる新規用途が日本林業の活性化を後押しする。

 ところが日本林業関係者は、これほど恵まれた環境にありながら、林業を取り巻く環境は厳しいという。前章で紹介したように明るい展望を述べ、日本林業の混迷の原因を林業自体の構造的問題にあるとする林野庁までが「我が国は今後、急速な高齢化と人口減少が進むと推計されており、既存の用途における木材需要の大幅な増加を見込むことが困難な情勢にある」(2017年度林業白書)と現状を認識する。だから世論もこうした林業界の共同幻想に影響される。日頃から森林林業問題に並々ならぬ関心を寄せる朝日新聞も「外国産の安価な木材に押され、山林経営は低迷。山々は荒れた」と2019年2月21日付「天声人語」に語らせる。

 この恵まれた環境と現状認識とのズレが日本林業の病理の端的な症状なのである。しかし日本林業の衰弱の原因はあくまでも林業それ自身に内在しているのであって、環境・状況といった外在的なものに求めてはならない。だから衰弱からの起死回生方策を発見するためには先ず日本林業の病理の確認から始めねばならない。

 そこで主に最近の『林業白書』と筆者の体験とに拠って、日本林業の現状を分析した上で構ずべき方策を提案する。その際、当然のことながら、林野庁の施策の批判をも併せて行わざるをえない。しかし林野庁をはじめ日本林業総体に対する筆者の批判にはポジティブな提案を含蓄させたつもりである。

■「循環的林業」の破綻
 日本林業は今、奇妙とも深刻ともいえる事態にある。だから前代未聞の異常事態なのだ。日本の森林は成熟に達したものが絶対的にも相対的にも充分すぎるほど存在している。蓄積(森林の総材積)は豊富だし成長量も見事である。だから「植える時代から伐る時代へ」との声も林野庁筋から聞こえるほどだ。

 森林は世界的には減少傾向にあって、「年平均で331万ha減少している」(2017年度林業白書)。つまり2017年3月31日現在の日本の森林面積2488万ha分が7年強で消滅する計算になる。「近年の森林減少の約8割が農地への転用に起因する」(同)上に、過伐乱伐や略奪伐採に近い違法伐採も問題である。だから具体的には森林の維持、できれば増大を意味する「持続可能な林業」が国際的悲願となっていることからすると、なんとも“贅沢な”状態である。ところがこの蓄積等の増大は、後で述べる日本林業の衰弱による森林伐採の手控えという無為の結果なのだから、この“贅沢さ”は仇花でしかない。

 ところでその「林業」とは何であろう。日本での常識的な「林業」概念を2016年度林業白書は要領よくまとめている。「林業は、森林資源を『植える→育てる→使う→植える』というサイクルの中で循環利用し、継続的に木材等の林産物を生産する産業である」

 これは「循環的林業」と言い換えられる。そしてこの循環的林業が破綻しているのだ。それは常識的な意味での循環の破綻、つまり伐採過剰ではなく、伐採不足による循環の破綻なのである。林野庁の定義でいう「使う」つまりは伐採という環の欠落に近い減衰によって「サイクル」は破綻したのだ。


『森と人間と林業』2:儲かる造林
『森と人間と林業』1:まえがき

2017年の 朝日デジタルの書評から99で、この本が取り上げられています。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント