『ソロモンの指環』1

<『ソロモンの指環』1>
図書館に予約していた『ソロモンの指環』という本を、待つこと5日でゲットしたのです。
「BOOK」データベースがこの本を「永遠の名作」と讃えているが・・・さて、如何なるものか♪


【ソロモンの指環】


コンラート・ローレンツ著、早川書房、2006年刊

<「BOOK」データベース>より
孵卵器のなかでハイイロガンのヒナが孵った。小さな綿毛のかたまりのような彼女は大きな黒い目で、見守る私を見つめ返した。私がちょっと動いて話しかけたとたん、ガンのヒナも私にあいさつした。こうして彼女の最初のあいさつを「解発」してしまったばかりに、私はこのヒナに母親として認知され、彼女を育てあげるという途方もない義務を背負わされたのだが、それはなんと素晴らしく、愉しい義務だったことか…「刷り込み」理論を提唱し、動物行動学をうちたてた功績でノーベル賞を受賞したローレンツ博士が、溢れんばかりの喜びと共感をもって、研究・観察の対象にして愛すべき友である動物たちの生態を描く、永遠の名作。

<読む前の大使寸評>
「BOOK」データベースがこの本を「永遠の名作」と讃えているが・・・さて、如何なるものか♪

<図書館予約:(9/03予約、9/08受取)>

rakutenソロモンの指環



まず、ガン類の刷り込みについて、見てみましょう。
p144~147
<ガンの子マルティナ>
 今日はすばらしい日であった。29日もの間、私は20個の大切なガンの卵を抱いてあたためてきた。とはいっても、私が自分で抱いたのは最後の二日だけ。その前は一羽の大きな白いガチョウと、それから一羽のおなじくらい大きな白いシチメンチョウにまかせておいた。彼らのほうが、卵を抱くのをよっぽど好きだし、またきちんとやってくれたからだ。
 それでいよいよあと二日というときに、私はシチメンチョウの腹の下から10個の真白い卵をとりだして、孵卵器に入れた。私は、彼らのヒナのかえるところをくわしく見張っていたかったのだ。こうして用意はととのった。

 ガンの卵の中では、今なにか大切なことが進行しているにちがいない。卵に耳をあててみると、中でカリカリゴソゴソという音が聞こえる。そのあいまにほら、ピープとひびく低くやさしい声がはっきり聞きとれる。1時間もたつと、やっと卵に穴があく。そしてその穴から鳥の最初の姿がチラリとみえる。

 卵歯をかぶった鼻先が…。頭がさかんに動いて、卵歯が卵の殻に押しあてられる。卵歯はただ殻をひっかくだけではない。ヒナは卵の長軸のまわりをゆっくりと力をこめて回転する。そこで卵歯は卵の殻にそって「輪」を描いて動き、この線にそって一連の裂け目をつくってゆく。ついにその輪が閉じたとき、卵の鈍端全体が首で押しあげられ、ヒナが外の世界へ顔を出すのである。

 やっとのことで長い首が外へ出る。まだ重い頭を自由に支える力はない。もとの胚のときの位置のまま、すなわち首ができあがったときの位置、今までそうやってきた位置のまま下むきに曲がっている。

 いよいよ首がしなやかにずっと伸びて、筋肉が丈夫になり、さらに体の平衡を保つ内耳の迷路器官がはたらきだして、ガンのヒナにはじめて上下の区別が可能となり、頭をまっすぐにもちあげることができるようになるまでには、なお数時間はかかる。

 こうして殻から這いだしたぬれた生きものは、信じられぬほどみにくく、じつにみじめな姿をしている。とはいえみかけほどぬれているわけでもない。ためしに手でさわってみるがよい。ごくわずかに湿っているだけだ。それにもかかわらず、ちょっとみるとみじめな羽毛がぐっしょりぬれて体にぴったりくっついているという印象をうける。綿毛がまだみんな折り重なって、1枚のごくうすい被膜につつみこまれているためなのだ。

 こういう状態の羽毛は、せいぜい毛ぐらいの太さしかない。けれどもこの毛のような羽毛は、タンパクに富んだ卵膜の液体でぴったりくっついて束になっていたおかげで、卵の中では最小限の空間を占めるだけですんでいたのだ。
(中略)

 私の最初のハイイロガンのヒナは、こうして世の中へ生まれ出た。母親の腹にかわって彼らをあたためてくれるはずの孵卵器の中で、彼女が頭をしゃんと支え、何歩か歩くことができるようになるまで、私は待った。

 彼女は頭をすこしかしげ、大きな黒い目で私を見上げて、じっとみつめる。そのとき彼女はかならず片目で見た。たいていの鳥の例にもれず、ハイイロガンも何かをちゃんと見定めようとするときは、かならず片目で見るのである。長い間、じつに長い間、ガンの子は私をみつめていた。

 私がちょっと動いてなにかしゃべったとたん、この緊張は瞬時にしてくずれ、ちっぽけなガンは私にあいさつをはじめた。つまり彼女は首を下げて私のほうへぐっとのばし、すごく早口にハイイロガン語の気分感情声をもらしたのである。



刷り込みを描いた映画『グース』が、忘れ難いのでおます♪

【グース】
グース

キャロル・バラード監督、1996年米制作

<movie.walkerストーリー>より
 ニュージーランドに住む14歳の少女エイミーは、自動車事故で母を失った。彼女は10年ぶりに再会した父親のトーマスに引き取られ、大自然豊かなカナダ・オンタリオ州の農場に移る。
 新しい暮らしになじめないエイミーは、自分の殻に閉じこもってばかり。そんなある日、彼女は森で親を亡くしたグースの卵を見つける。卵が孵った時、16羽のヒナたちは“刷り込み”の習性によって、エイミーを“ママ”だと思い込む。
 やがて彼らが南に渡る季節が近づいた時、父娘はグースたちに飛ぶことを教え、越冬地まで連れていかなければならないことを知る。

<大使寸評>
 カナダからアメリカ南部までの500マイルをエイミーの乗るグライダーが16羽のグースを引き連れて羽ばたく。飛行機映画とは言えないかも知れないが、飛行の楽しさが満ち溢れた作品として、例外的に取り上げました♪

movie.walkerグース

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント