『フランスのマンガ』2

<『フランスのマンガ』2>
図書館で『フランスのマンガ』という本を手にしたのです。
目次を見ると・・・タンタンとBD、太子のツボが二つもあるではないか♪



【フランスのマンガ】




山下雅之著、論創社、2009年刊

<「BOOK」データベース>より
フランスのバンデシネ、アメリカのコミックス、そして日本のマンガ。マンガという形式を共有しながらも、異質な文化の諸相を、複雑に絡み合った歴史から浮かびあがらせる。
<読む前の大使寸評>
目次を見ると・・・タンタンとBD、太子のツボが二つもあるではないか♪

rakutenフランスのマンガ

アンカル

SFマンガといえば太子のツボである。
「メタル・ユルラン」というSFマンガ誌を、見てみましょう。
p132~133
<SF大作ローン・スローン>
 メタル・ユルランは、このドリュイやメビウス(ジャン・ジロー、つまりブルーベリーの作画家)らが中心になって1975年に創刊したSFマンガ誌だ。同時に彼らはヒューマノイド・アソシエ(人造人間連合)社という、自分たちの出版社も作った。これまでマンガの出版社といえば、デュピュイ、カステルマン、ロンバールのベルギー三社とフランスのダルゴーという大手四社が中心だったが、この新しい出版社はその後の新しい流れをうまくつかみ、今は大手として成功している。

 メタル・ユルランの代表的な作品としては、メビウスがチリ出身のジョドロウスキーと組んで描いた『アンカル』がある。派手な色使いがきれいで、ストーリーはSFなので、緻密に組み立てられたブルーベリーのようなウェスタンものとは違い、飛躍があったり、突然あっと思うような展開になったりするが、だからといって破綻しているわけではなく、次々と展開していく場面は読者をひきつける魅力がいっぱいだ。

 主人公の男ジョンは風采が上がらず、なぜ自分がヒーローになったのかわからないという感じで登場する。またこの話には、独裁政治の腐敗を揶揄するようなところも見られ、SFとはいってもさすがにフランスBDだけのことはあるな、という感じである。

 なお、ブルーベリーと共通しているのは、ストーリーが一巻単位で完結せず、ヒーローが危機に陥ったところで終わったりするので、次の巻をどうしても読みたくなる。読み切りではないので、日本のマンガ単行本と似ているとも言える。

 アンカルの第一部である、アンカル・ノワール(黒いアンカル)と第二部のアンカル・リュミエール(輝くアンカル)を見てみよう。まずこのタイトルとなっているアンカルだが、SF冒険ものには時々あるパターンで、これをもっていると不老不死になり、途方もない力を出せるという、例えばドラゴンボールのようなもの(七個も集めなくてよい)で、卵の形をしている。

 とくにかっこいいヒーローというわけでもない、どこにでもいそうな中年男のジョン・ディフールがなぜかこのアンカルを託される。それをめぐって政府の秘密機関から、地下組織のボス、異星人などが入り乱れての争奪戦を繰り広げる。こう説明すると、なんかありきたりのストーリーのようだが、メビウスのすごいところは、どこかに転換点を組み入れていることだ。


町山智浩さんが『ブレードランナーの未来世紀』という本で「メタル・ユルラン」の薀蓄を披露しています。
p229~230
<ロング・トゥモロー>
ロング・トゥモロー

 リドリー・スコットとハンプトン・ファンチャーは80年4月、ハリウッドに合宿して脚本の練り直しに入った。
「映像においてスタイルはテーマそのものになる」
それが、CM出身のスコットのポリシーだ。彼は、まずファンチャーに尋ねた。
「窓の外はどうなっている?」
『ブレードランナー』の舞台はどんな世界か、と訊いたのだ。ファンチャーが答えられないと、スコットは言った。
「ヘヴィ・メタルだ」

 それは、フランスのコミック雑誌『メタル・ユルラン』の英語版の名で、スコットがとくに意識したのはメビウスが描いた『ロング・トゥモロー』という短編だった。メビウスはスコットの『エイリアン』に宇宙服のデザインで参加している。
『ロング・トゥモロー』はまさに「未来のフィリップ・マーロウ」だ。舞台は未来。主人公のピートは私立探偵。彼は美女の依頼で荷物の回収に行かされ、命を狙われる。ピートはその美女と恋に落ちてベッドをともにするが、彼女の正体はアメーバのように不定形の怪物だった。それは地球大統領暗殺のために異星から送り込まれたスパイだったのだ。タフな探偵の一人称の語り、依頼人の美女の誘惑、そして裏切り。『ロング・トゥモロー』はハードボイルド探偵小説のパターンを未来世界で展開する。
 メビウスは『ロング・トゥモロー』の未来都市を空にそびえる摩天楼ではなく地下に向かって何百層も続く地獄のように描写した。さらに、すべての風景にゴミやガラクタをゴチャゴチャと描きこんだ。それはそれまでのSF映画で描かれるピカピカに清潔な未来都市とは正反対だった(ただし、ゴミと手垢で薄汚れた宇宙船なら72年にソ連のタルコフスキーが『惑星ソラリス』で見せている)。

『ロング・トゥモロー』のストーリーを書いたのはダン・オバノン。スコットの『エイリアン』の最初のシナリオを書いた男だ。彼はフィリップ・K・ディックの大ファンで、『トータル・リコール』と『スクリーマーズ』でディックの原作を二回も脚色している。
 この『ロング・トゥモロー』こそが、スコットにとっての『ブレードランナー』の「原作」である。何しろ彼は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んでいないからだ!


『フランスのマンガ』1

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