『日本の自然布』2

<『日本の自然布』2>
図書館で『日本の自然布』というビジュアル本を、手にしたのです。
2003年刊行のムック本であるが、現在ではこれらの自然布を作る人が途絶えているのではないかと、危機感を覚えるのです。



【日本の自然布】


ムック、平凡社、2003年刊

<「MARC」データベース>より
オヒョウ、藤布、科布、葛布、太布、紙布、大麻布、苧麻布、芭蕉布など、山野に自生する草や木の皮から糸をつむぎ布を織り出す、いまなお受け継がれている手織りの布を紹介する。自然布に出会える博物館・資料館の情報も掲載。

<読む前の大使寸評>
2003年刊行のムック本であるが、現在ではこれらの自然布を作る人が途絶えているのではないかと、危機感を覚えるのです。

amazon日本の自然布



韓国の苧麻布が興味深いので、見てみましょう。
p94~97
苧麻布の村:吉岡幸雄
 2003年8月10日朝、ソウル駅のセマウル特急の長項行きに乗った。目指す韓山という村は、ソウルからまっすぐ南へ下り、天安からいったん西へ取って、忠清南道の黄海の海岸沿いを再び南下するのである。列車に乗って3時間あまり、終点長項のひとつ手前の駅、ソチョンで降り、タクシーで韓山へと向かう。

 18年前に訪ねたおりはまだ道が悪く、タクシーの天井に頭を打つこともあったことを思い出しながら、曲がりくねったアスファルトの銀杏並木を走っていく。今回も、ソウル市在住で韓国の伝統染織を研究されている李ビョンチャンさんに導いていただき、同行して通訳をしていただいた。

 車窓からは、小高い丘や松林がそこかしこに見える。そのあいだに葡萄畑があり、棚田には緑濃い稲が風に揺れている。田の畦道には大豆が植えられている。このあたりはちょうど石川県あたりの緯度にあたるそうで、ハングル文字の標識さえなければ、日本の農村と変わらない風景である。

 以前より道が良くなっていることとあわせて家が新しくなっていて、かつてのように、醤油や味噌を貯える瓶が屋根の上に並んでいる光景は少なくなっている。

 15分ほど走ると村が見えてきた。まず、「韓山モシ館」という苧麻の製作工程などを展示した民俗博物館のようなところに入る。長屋門ふうの構えで、庭には古い農家が移築されている。

 そこで、当地の苧麻の研究家で忠南無形文化財に指定され、80歳になられるという具滋弘さんの案内をうけた。韓国における苧麻の需要は、夏のチマチョゴリなど、かなり多いことは周知のとおりである。

 なかでも、この忠清南道あたりは良質なものが生産されていることで全国的に知られており、とくに優れた地を「チョ産八邑」と称していた。
 ただ、韓国における服装の変化により、苧麻布の需要は減少し、近年の景気の後退ともあいまって、生産量は衰退の一途をたどっているという。
 この苧麻資料館が造られたのも、韓山村を挙げての、なんとか生産の奨励と地域の活性化をはかりたいという政策のひとつの現れである。

 具さんの案内で、まず苧麻畑に行った。苧麻は、春の終わりから、4、50日おきの割合で、三回刈るという。私が訪れた8月10日頃は、ほとんどが二回目の刈り取りを終えていた。

 畑は、日本は会津の昭和村のように、細枝同士があたって傷がつかないように、苧麻のまわりに大麻を植えて風よけにするということはなかった。いたって自然のままに育てているというふうで、どちらかといえば、沖縄の宮古島の植え方に近い。ただし、背丈は1.5~2メートル近くまであった。

 刈り取った苧麻は、キョウ京子さん、李福九さんという二人の名人の手によって、たちまち葉がはずされて茎だけにされる。根本から20センチほどのところに折り目を「ぱすっ」と入れて、そこにできた皮と芯とのあいだに指を入れて茎の先へと裂いてゆく。
(中略)

 糸つくりから織りまでの工程は、日本のように分業ではなく、織り手がすべて自分の家で行なう。苧麻の生産から刈り取りは男性の仕事、皮剥ぎから糸にして機で織るまでは女性の仕事として決められている。


韓国のサイトで苧麻を見てみましょう

韓山モシ祭りより
 ところで苧麻(チョマ・からむし)とはあまり聞き慣れない植物かも知れませんが、毒性がある大麻と違ってイラクサ科の植物で、川辺など結構どこでも見つけることができる植物です。葉っぱはシソの葉に似ています。


初夏の季節にこの植物を刈り取り、葉と茎に分け、その茎の部分の皮だけを取り出します(これは私の畑で撮影)。


『日本の自然布』1:自然布の種類や歴史

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