『文明に抗した弥生の人びと』2

<『文明に抗した弥生の人びと』2>
図書館に予約していた『文明に抗した弥生の人びと』を、待つこと3日の超速でゲットしたのです。
大使の関心は、辺境ニッポンの長い縄文時代と、文明に抗した縄文人、弥生人とはいかなる者か?・・・に向かうわけでおます。



【文明に抗した弥生の人びと】


寺前直人著、吉川弘文館、2017年刊

<「BOOK」データベース>より
水田農耕や金属器などの新文化を、列島の在来社会はどう受け止めたのか。縄文の伝統をひく土偶や石棒など儀礼品や、打製石器に着目し、文明に抗う人びとを描く。大陸文明の受容だけでは説明できない弥生の実像に迫る。

<読む前の大使寸評>
大使の関心は、辺境ニッポンの長い縄文時代と、文明に抗した縄文人、弥生人とはいかなる者か?・・・に向かうわけでおます。

<図書館予約:(2/10予約、2/13受取)>

rakuten文明に抗した弥生の人びと


まず、縄文時代、縄文人について(続き)、見てみましょう。
p40~45
<縄文時代とは?>
■縄文農耕の評価
 ただし、縄文時代の農耕をめぐっては、積極的に評価する立場と、消極的に評価する立場があり、あつい論争を繰り広げているのが現状である。

 この論争の歴史は古い。弥生式土器の時代が農耕社会であると論じられる1930年代には、打製石斧を農具だとする神田孝平や大山柏の説がすでに発表されていた。また、戦後には藤森栄一が、彼の故郷である八ヶ岳西南麗の縄文時代中期における人びとの繁栄を、焼畑農耕で説明しようとした。さきほど紹介したように縄文時代後・晩期において、西日本で遺跡の減少がみられないのは、大陸からアワやキビなどの雑穀が伝わっていたからだという意見もだされた。

 しかし、1960年代までの縄文農耕論に対しては、穀物という決定的な証拠に欠けている点に批判がよせられ、少なくとも考古学界における議論はしだいに下火となっていった。
 しかしながら、1970年代になると縄文農耕論が意外な分野から提唱されることとなる。それは文化人類学者、佐々木高明による照葉樹林文化論である。佐々木は、東南アジアにみられる焼畑文化との比較をとおして、縄文時代にも栽培があった可能性を主張した。時はおりしも、日本列島各地において開発が進展し、大規模な発掘調査が進められた時代でもあった。

 植物や古環境の専門家が発掘調査に参加し、栽培植物の具体的証拠が発掘現場において探求されることになった。現場において土壌を水洗し、ふるいにかけることによって、栽培植物の種子が「発見」される事例が、あいついで報告されるようになる。また、土中の花粉やプラント・オパールの分析例、さらには縄文土器の胎土にふくまれるプラント・オパールが続々と報告されていったのである。

 これらの方法によって、ヒエは縄文時代前期、アワやコメの栽培は縄文時代中期にさかのぼることが主張された。このような解釈を受けて、1990年代の考古学概説書では、縄文時代にコメをふくむ穀物などの栽培植物が存在することは、もはや定説として説かれるようになる。

 ただし、慎重な意見も根強い。例えば、縄文時代前期末の住居床面からみつかったソバや、縄文時代後期の泥炭層からでたオオムギを炭素14年代法で測定したところ、数百年前の穀物であったことが判明した事例が報告されているからだ。
(中略)
 したがって、遺跡から見つかった植物種子などの時期を確実に決定付けるためには、炭素年代法による時期の決定が不可欠であり、炭素年代法の適用が難しい花粉やプラント・オパールなどを植物の存在の基準とすることについては、慎重な立場をとる研究者が、2000年代以降は増えているのが現状である。
(中略)

 縄文時代後期以降、人びとが植物を栽培、あるいは管理していた可能性は高いと思われる。しかし、今日の資料と論争をみるかぎり、アワやキビのような雑穀があったことを確実視することができない。イネについても同様である。つまり、縄文時代の人びとが栽培植物を利用していた可能性は高いが、現状の植物種子に関する考古学的事実を慎重にふまえるならば、それが主なカロリー源となり、人口増加にいちじるしく影響を与えた可能性は低いといわざるをえない。

 したがって、かれらは採取した食材が自然に回復していく量をこえては、食料を得ることができない。いわばみえないガラスの天井の住人なのである。いくばくかの栽培植物に関する知識を得ていたとしても、養分の乏しい酸性土壌が主体となる日本列島において、家畜に欠くことから有効な肥料をもたなかった当時の人びとにとっては、こえることのできない限界があったのではないだろうか。


『文明に抗した弥生の人びと』1

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