サピエンス全史(上)3

<サピエンス全史(上)3>
図書館で『サピエンス全史(上)』という本を、手にしたのです。
この本は市の図書館に予約し待っていたのだが、大学図書館で見つけて借りたわけです。(いわゆる、学生が本を読まなくなった余波である)
副題に「文明の構造」という言葉があるとおり・・・刺激的な切り口である。


【サピエンス全史(上)】


ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
なぜホモ・サピエンスだけが繁栄したのか?国家、貨幣、企業…虚構が文明をもたらした!48ヶ国で刊行の世界的ベストセラー!

【目次】
第1部 認知革命(唯一生き延びた人類種/虚構が協力を可能にした/狩猟採集民の豊かな暮らし/史上最も危険な種)/第2部 農業革命(農耕がもたらした繁栄と悲劇/神話による社会の拡大/書記体系の発明/想像上のヒエラルキーと差別)/第3部 人類の統一(統一へ向かう世界/最強の征服者、貨幣/グローバル化を進める帝国のビジョン)

<読む前の大使寸評>
副題に「文明の構造」という概念があるとおり・・・刺激的な切り口である。

rakutenサピエンス全史(上)



第2章 「虚構が協力を可能にした」でサピエンスの言語能力を、見てみましょう。
p34~38
<第2章 虚構が協力を可能にした>
 前章で見たトオリ、サピエンスは15万年前はすでに東アフリカで暮らしていたものの、地球上のそれ以外の場所に進出して他の人類種を絶滅に追い込み始めたのは、7万年ほど前になってからのことだった。それまでの8万年間、太古のサピエンスは外見が私たちにそっくりで、脳も同じくらい大きかったとはいえ、他の人類種に対して、これといった強みを持たず、とくに精巧な道具も作らず、格別な偉業は何一つ達成しなかった。

 それどころか、サピエンスとネアンデルタール人との間の、証拠が残っている最古の遭遇では、ネアンデルタール人が勝利した。約10万年前、サピエンスの複数の集団が、ネアンデルタール人の縄張りだったレヴァント地方(地中海東岸の地方)に移り住んだが、揺るぎない足場は築けなかった。敵意に満ちた先住民がいたり、気候が厳しかったり、地域特有の馴染みのない寄生生物に出くわしたりしたのかも知れない。理由は何であり、サピエンスは結局引き揚げ、ネアンデルタール人は中東に君臨し続けた。

 学者たちはこのような乏しい実績に照らして、これらのサピエンスの脳の内部構造は、おそらく私たちのものとは異なっていたのだろうと推測するようになった。太古のサピエンスは見かけは私たちと同じだが、認知的能力は格段に劣っていた。彼らに英語を教えたり、キリスト教の教義が正しいと信じさせたり、進化論を理解させたりしようとしても、おそらく無駄だっただろう。逆に私たちにとって、彼らの言語を習得したり、考え方を理解したりするのは至難の業だろう。

 だがその後、およそ7万年前から、ホモ・サピエンスは非常に特殊なことを始めた。そのころ、サピエンスの複数の生活集団が、再びアフリカ大陸を離れた。今回は、彼らはネアンデルタール人をはじめ、他の人類種をすべて中東から追い払ったばかりか、地球上からも一掃してしまった。サピエンスは驚くほど短い期間でヨーロッパと東アジアに達した。4万5000年ほど前、彼らはどうにかして大海原を渡り、オーストラリア大陸に上陸した。それまでは人類が足を踏み入れたことのない大陸だ。約7万年前から約3万年前いかけて、人類は舟やランプ、弓矢、針を発明した。芸術と呼んで差し支えない最初の品々も、この時期にさかのぼるし、宗教や交易、社会的階層化の最初の明白な証拠にしても同じだ。
 ほとんどの研究者は、これらの前例のない偉業は、サピエンスの認知的能力に起こった革命の産物だと考えている。ネアンデルタール人を絶滅させ、オーストラリア大陸に移り住み、シュターデルのライオン人間を彫った人々は、私たちと同じぐらい高い知能を持ち、創造的で、繊細だったと、研究者たちは言い切る。

 仮にシュターデル洞窟の芸術家たちに出会ったとしたら、私たちは彼らの言語を習得することができ、彼らも私たちの言語を習得することができるだろう。不思議の国のアリスの冒険から、量子物理学のパラドックスまで、私たちは知っていることのいっさいを彼らに説明でき、彼らは自分たちの世界観を私たちに教えられるはずだ。

 このように7万年前から3万年前にかけて見られた、新しい思考と意思疎通の方法の登場のことを、「認知革命」という。その原因は何だったのか? それは定かではない。最も広く信じられている説によれば、たまたま遺伝子の突然変異が起こり、サピエンスの脳内の配線が変わり、それまでにない形で考えたり、まったく新しい言語を使って意思疎通をしたりすることが可能になったのだという。その変異のことを「知恵の木の突然変異」と呼んでもいいかもしれない。なぜその変異がネアンデルタール人ではなくサピエンスのDNAに起こったのか? 私たちの知るかぎりでは、それはまったくの偶然だった。だが、より重要なのは、「知恵の木の突然変異」の原因よりも結果を理解することだ。サピエンスの新しい言語のどこがそれほど特別だったので、私たちは世界を征服できたのだろう?

 それはこの世で初の言語ではなかった。どんな動物も、何かしらの言語を持っている。ミツバチやアリのような昆虫でさえ、複雑なやり方で意思を疎通させる方法を知っており、食物のありかを互いに伝え合う。また、それはこの世で初の口頭言語でもなかった。類人猿やサルの全種を含め、多くの動物が口頭言語を持っている。
(中略)

 最もありふれた答えは、私たちの言語は驚くほど柔軟である、というものだ。私たちは限られた数の音声や記号をつなげて、それぞれ異なる意味を持った文をいくらでも生み出せる。そのおかげで私たちは、周囲の世界について膨大な量の情報を収集し、保存し、伝えることができる。

 サバンナモンキーは仲間たちに、「気をつけろ! ライオンだ!」と叫ぶことはできる。だが、現生人類は友人たちに、今朝、川が曲がっている所の近くでライオンがバイソンの群れの跡をたどっているのを見た、と言うことができる。それから、そのあたりまで続くさまざまな道筋も含めて、その場所をもっと正確に説明できる。すると、集団の仲間たちはこの情報をもとに、川に近づいてそのライオンを追い払い、バイソンの群れを狩るべきかどうか、額を集めて相談できる。
(中略)

 新世代のサピエンスは、およそ7万年前に獲得した新しい言語技能のおかげで、何時間も続けて噂話ができるようになった。誰が信頼できるかについての確かな情報があれば、小さな集団は大きな集団へと拡張でき、サピエンスは、より緊密でより精緻な種類の協力関係を築き上げられた。


サピエンス全史(上)2:農耕がもたらした繁栄と悲劇(続き)
サピエンス全史(上)1:農耕がもたらした繁栄と悲劇

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