『書物の文化史』3

<『書物の文化史』3>
図書館で『書物の文化史』という本を、手にしたのです。
開けてみると、横書きで論文調であるが・・・薀蓄にあふれていて、面白い読み物になっています。
表紙の副題「メディアの変遷と知の枠組み」が、この本の内容を表しています♪



【書物の文化史】


加藤好郎著、丸善出版、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
文字の発生から紙の発明、印刷、出版、画像・映像に至るまで、世界中の書物(メディア)の歴史を、興味深いエピソードを交えて展開。モノとしての書物(メディア)を通じ、「文献文化」「知の枠組み」を考察。世界の各地域・時代に文献はどのような媒体(メディア)に載せられ、どのように読まれてきたかを図版も豊富に交えながら解説。「媒体(メディア)の制約と文献の仕組み」「媒体(メディア)の特性と知の枠組み」という切り口から「書物」の様々な現象を読み解くテキスト。

<読む前の大使寸評>
開けてみると、横書きで論文調であるが・・・薀蓄にあふれていて、面白い読み物になっています。
表紙の副題「メディアの変遷と知の枠組み」が、この本の内容を表しています♪

rakuten書物の文化史


昨今の出版事情、書店事情について、見てみましょう。
p167~168
現代社会のコミュニケーションとは
■現在の出版市場とは
 出版市場における「紙の世界」では、収入の減少が続いているが、ネット販売は増えている。ルート別の販売額を日本出版販売「出版物販売額の実態」から2007年から2013年の6年間を比較すると次のとおりである。
<2013年の販売額>
1.コンビニ販売 3100億円(2007年から4割減)
2.書店での販売 1兆2300億円(2007年から2割減)
3.ネットの販売 1600億円(2007年から7割増)

■大手書店のこれからの戦略
 上記の状況において、大手書店が一つの挑戦を始めた。その方法は、出版社から直接本を買い取ることで、ネット書店からの供給を制限する戦略である。出版市場からネット販売への挑戦と言える。

1.委託販売制度
 通常の流通ルートは、出版社→取次会社→ネット書店および書店を含むシステムである。書店から出版社への委託することによるその売れ残りは、ネット書店および書店から出版社に返品される。現在、返品率は、40%であるが、この制度は、委託販売制度と言われ、「出版社+取次店」が、どの本を何冊程度の書店に卸すのかを決め、「出版社+取次店+書店」の3者で契約するものである。この返品率が多いことが問題になっている。

2.紀伊国屋書店の取り組み
 村上春樹氏の新刊「職業としての小説家」の初版10万部のうち9万部を紀伊国屋書店が出版社から直接購入した。このことで、ほかのネットや書店には1万部しか在庫が置けなくなり、販売に影響が出ることになる。

 紀伊国屋の戦略は、売れ残りの在庫の危険性があるが、ライバルのネット書店への供給を絞り込むこと、取次店を通さない利益率も大きいことになる。紀伊国屋書店のミッションは「本来、本は(本)(店員)(消費者)の出会いがあって本を選ぶことにある」である。それは読書人口の増加につながる。ネット販売だけで本を選ぶことは、「現物を読めない」「人の評価にゆだねる」「本のブラウジングができない」等の危険性もある。

■書店ゼロの自治体の数
 現在書店がまったくない自治体も出てきている。出版業界の売上げは、2014年時点で1兆6000億円であるが、もし消費税が2%上がり、10%になっても出版業界の税収は320億円に過ぎない。

 このことは図書が「文化の所産」であるという観点から見ても大きな影響が出ている。本が売れない理由はいくつかある。消費者のスマートフォンの購入が増加している点、また、国道沿いの書店、商店街の書店が撤廃することで、消費者が購入できない現状がある。買い物難民も増えている。このことは、大人の世界だけでなく子供たちも、本屋で実際に本に触れる機会が少なくなっている。

 書店関係者は「本は薄利多売であるが、そのことが大きく崩れた。書店の取り分を増やさないと廃業が続く。単行本を売った代金は、出版社、出版の取次店、著者に分配される。書店に入るのは、定価の20%である。街の書店は、月に300万~500万売り、ようやく60万~100万円の利益が出る。店の賃料や人件費などがあり利益は少ない」と経営の苦しさを述べている。

 以下は「書店ゼロの自治体数」(2015年5月)である
 合計332(北海道47、福島22、長野35、奈良15、高知13、福岡13、熊本13、沖縄19、他)

紀伊国屋書店の取り組みについては出版流通の壁に詳しく報道されています。

『書物の文化史』2:書籍の電子化、保存
『書物の文化史』1:印刷と出版の歴史

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック