『私の息子はサルだった』2

<『私の息子はサルだった』2>
図書館で『私の息子はサルだった』という本を、手にしたのです。
先日『シズコさん』を読んだ勢いでこの本を借りたのであるが・・・さてどんなかな♪



【私の息子はサルだった】
サル

佐野洋子著、新潮社、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
私は疑いもなく子供を愛しているが、その愛が充分で、適切であるかどうか、うろたえる。誰が見てもいい子ではない。学校で一日五回も立たされる。ただ、大人になった時、愛する者を見守り、心に寄りそってやって欲しいと思うー。『シズコさん』で母を描いた著者は、子供のことも描いていた。感涙必至の物語エッセイ。

<読む前の大使寸評>
先日『シズコさん』を読んだ勢いでこの本を借りたのであるが・・・さてどんなかな♪

rakuten私の息子はサルだった


この本の語り口を、ちょっとだけ見てみましょう。
p41~43
<タニバタさん>
 「ねえ、お母さん、明日学校に迎えに来て」
 「いいよ、でもどうして」
 「夏休みにタニバタと遊びたいの」
 「ふーん」
 「だからね、タニバタが門かっら出てくるまで門で待っていてね、一緒に帰ってね、約束したいの」
 「わかった」

 タニバタさんは入学式の時、新入生代表でりんりんとよく通るはっきりした声で、新入生のあいさつをした。たいしたもんだなぁ、ケンの母親は感心した。
 授業参観に行くと、一人だけずば抜けてしっかりした字を書いた絵日記があった。日記は最後の行までびっしり書いてある。絵もていねいに隅から隅まで手抜きなく描いてある。名前を見る。たにばたみな子と書いてある。ふーん。大したもんだ。

 ケンの母親はケンの絵日記をさがす。はみ出さんばかりである。大きな赤いカニが描いてある。周りをぐいぐい青いクレヨンでぬってあるが白地がむらむらと残っている。馬鹿にいきいきとしているが、描きながらも気もそぞろな様子が目に見えるみたいだ。大きな不ぞろいな字が4行で終っている。まあいいか、とにかく元気がいいもんね。そしてタニバタさんの絵日記をもう一度見て、もう一度感心した。

 「お母さんね、タニバタのお母さんと友だちになってね。そしたらぼくとタニバタ友だちになりやすいでしょ」
 「わかった」
 ケンと母親は校門の影で、中から出て来る子供達を見張っている。ケンは何度も門から中をのぞき込んでいる。ケンは母親の手を握っている。母親も時々のぞき込む。

 「あっ」
 二人とも声にならない声を同時に出したことがわかる。タニバタさんが出て来た。跳びはねながら。タニバタさんは男の子としっかり手をつないで、二人で跳びはねながら笑っている。校門をわき見もせずに跳びはねながら通り過ぎて行った。

 ケンと母親は手をだらんと下ろして、ぼうっと突っ立っている。そして力が抜けた顔を見合わせた。
 「モグラのキンタマだ」
 ケンは小さな声でつぶやく。二人は手をつないだまま、のろのろと道を歩いて行く。二人の前を跳びはねたまんまのモグラのキンタマとタニバタさんは遠ざかって行く。ケンも母親も何も言わないでじいっと、跳びはねて行くモグラのキンタマとタニバタさんを見ている。

 母親はぎゅっとケンの手を握る。ケンはダラッとした手のままだった。


この記事も佐野洋子の世界に収めておきます。
『私の息子はサルだった』1

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