『蜜の流れる博士』3

<『蜜の流れる博士』3>
図書館で『蜜の流れる博士』という本を、手にしたのです。
目次を見てみると、南方熊楠をメインテーマに据えた随筆のようである。
ぱらぱらとめくると「ブレードランナー」を絡めて博物学、民俗学を語ったりして・・・ええやんけ♪



【蜜の流れる博士】
中沢

中沢新一著、せりか書房、1989年刊

<「BOOK」データベース>より
古書につきデータなし

<読む前の大使寸評>
目次を見てみると、南方熊楠をメインテーマに据えた随筆のようである。
ぱらぱらとめくると「ブレードランナー」を絡めて博物学、民俗学を語ったりして・・・ええやんけ♪

amazon蜜の流れる博士


中沢さんがドナルドやミッキーを語っているので、見てみましょう。
p266~269
<地上にひとつの場所を>
 彼らの世界はどうしたって解体なんかしないのだ。それはたぶん、ヨーロッパの世界があいかわらず「マリアのヒーメンの魔力」にたいする信仰を失っていない証拠かもしれない。

 「その信仰がカトリックの世界をつくってきたんだ。でもアメリカはそうじゃない。どこかにすべてを裸のままにむきだしてしまうようなところがあるんだ。たぶんそこにはもうマリアの魔力はおよんでいないのかもしれない。ピューリタンの狂気から生まれた国家として、おなじ世紀末のテーマが、そこではもっとむきだしのかたちで追求されることになったのだ、と僕は考えているのさ。かれらの現代は僕らの現代とはちょっとだけちがうんだ」

 ホテルのバーの片隅で、横にならんですわったフィリップの話をききながら、このとき僕はナム・ジュン・パイクの語った話を思い出していた。パイクは韓国人らしいユーモアをこめて、こう語った。

 「ねえ、あなた、どうしてアメリカにはシュールリアリズムが生まれなかったと思う? それはね、僕の思うところのシュールリアリズムがでてくるまえに、もうウォルト・ディズニーがでちゃったからなのさ。アメリカのアーティストたちは、ヨーロッパのシュールリアリストたちのとったようなラインを追求していったところで、とうていディズニーをこえられないと感じたんだろうな。ディズニーのほうがずっとおもしろいし、ポピュラーなうけだっていいしね。

 それに、その当時のアメリカには、アーティストなんてよべる人間はほとんど数えるほどしかいなかったんだ。それほど田舎だったんだ。でも、僕はこのこと、けっこう気にいっている。それは、シュールリアリズムの表現革命がさ、ナジャみたいなオカルティックな女性をとおしておこなわれたんじゃあなくて、フラストレーションのかたまりみたいなアヒルや、ボーイスカウトの鼻もちならない指導員みたいな一匹のネズミによってひきおこされたってことのおもしろさね」

 この話はフィリップをよろこばせた。
 「ヨーロッパの前衛はいつも母親のイメージにつきまとわれてきた。デメーテル、イシス、イシュタル、ヘカナ、ダイアナ、マリア・・・人間の条件の臨界点にむかってダイビングしていった彼らは、そこでいつも女たちの魅惑的なすがたをみいだすことになったんだ。僕たちの文明は女性のなかに世界の秘密をみてきた。そうして女性という秘密のベールにむかって接近していった。でもそのヒーメンにふれるだけで、彼らはひきかえしてこようとした。

 このベールをひきさいてしまうことが、どんな恐ろしい事態をひきおこすことになるか、彼らはそのことを直感的に知っていたのだ。彼らは、そのベールがひきさかれるとき、世界はハルマゲドンをむかえるのだ、と考えたらしい。シュールリアリストたちもその例外じゃあない。もっとも、僕のみるところ、彼らのやりかたは度をこしていたけどね。でもドナルドやミッキーになると話はちがう」

 「ディズニーはホモだったしね。そうなんだ、僕もそのことはまえまえから感じてはいたんです。TV的なんだ、なにもかもが。ほら、番組をやっていないあきチャンンルの白色ノイズの映像。むきだしの無。白色ノイズとコミックの場面が一瞬にしていれかわる。白色ノイズはマリアのヒーメンじゃあない。もっと人間を無防備にしていくなにかでしょう。裸にしていくなにか。僕は裸体の伝統において、カトリックの世界とプロテスタントの世界とのあいだには、なにか決定的に異質なものがあると感じてきたけれど、それはひょっとするとそのベールの存在にかかっているのかも知れませんね。

(長くなるので後略)」


ウーム 大使の場合、ディズニーのマーケティングが嫌いなだけで、ディズニー作品はそんなに嫌っていないのだが・・・
ヨーロッパの前衛や中沢さんは、その作品を嫌っているようですね。いや、凄い♪

『蜜の流れる博士』1
『蜜の流れる博士』2

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