『世界「最終」戦争論』4

<『世界「最終」戦争論』4>
図書館で『世界「最終」戦争論編』という本を予約して、待つこと5日でゲットしたのです。・・・本屋の店頭から消えた頃の新書が狙い目なのかも♪


【世界「最終」戦争論】
戦争

内田樹, 姜尚中著、集英社、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
アメリカの国力の低下と共に勃興する諸大国の新たな覇権主義。拡大する中東の戦乱、国境を越える大量の難民、欧州のテロ事件。行き過ぎたグローバル経済と格差社会。国内に目を転じれば大規模な災害が起こる中、平和主義の戦後レジームからの脱却を主張する動きが勢いを増している。いよいよ混迷を深める世界と社会の情勢。その背景にあるのは、世界史レベルのパラダイム(知的枠組)の地殻変動である。顕在化している近代の崩落過程についてリベラル派の言論人を代表するふたりが語り合い、難局を避けるために必要な世界の見取り図を提示する。

<読む前の大使寸評>
予約して待つこと5日でゲットしたが、本屋の店頭から消えた新書が狙い目なのかも♪

<図書館予約:(2/13予約、2/18受取)>

rakuten『世界「最終」戦争論』1


内田先生が提唱するシンガポール化の続きを、見てみましょう。
p165~168
<独裁者は郷土を荒廃させる>
内田:シンガポール化政策の最大の障害は日本のこの豊かな自然なんですよ。だから、シンガポール化をめざす人たちは自然を破壊して、里山を居住不可能にする政策を積極的に展開していますでしょ。

 「里山を居住不能にする」というのは安倍政権の非常にわかりやすい政策の方向だと思います。そうしないとシンガポール化できませんから。全国民が都市部に居住して、賃労働をして、生きるために必要なものすべて市場で商品として購入する仕組みにすれば、GDPはなんとか維持できる。そのためには、都市部で賃労働する以外には「生きていけない」という仕組みを作らないといけない。

 例えば、福島の原発による国土汚染の問題でも、安倍政権はあまり気にしている風がないですよね。あれは実際には国土を喪失しているわけですよ。尖閣とか竹島どころじゃない。巨大な国土が居住不能になったわけだから、本来なら頭を抱えて悩んでいいはずなのに、みんなけろっとしている。その後も原発再稼動を進めていますけれど、活断層の上にある原発を、わざわざ安全性に問題のある仕方で稼動させるというのは、無意識的には「事故が起きても構わない」と思っているからです。

 原発事故があと2,3回も起きれば、国土の半分は居住不能になる。そうすれば、もう都市を逃れて里山で暮らすというようなオルタナティブはなくなる。そうなれば、日本も晴れてシンガポール化する。原発再稼動推進派の人たちは、無意識には国土の汚染を歓迎しているんだと思いますよ。でも、国土の保護って、本来は統治者の最優先課題じゃないんですか。経済成長より山河の保全でしょ。

姜:そうです。原発事故で人が住めない廃墟にしたわけですから、まさに国土喪失です。

内田:TPPでも、小規模の農業が壊滅するのは目に見えているけれど、今の政権はまったく気にしていない。農業がダメになれば、当然、地方の居住不能エリアがどんどん広がってゆく。もう都市部以外では暮らせないということになる。そうやって地方の人口が首都圏に集まってくれば、経済的には大変歓迎すべき事態なわけです。たとえ人口減で、日本の人口が7千万、8千万になっても、それが首都圏に全部集まって、それ以外の土地は無人ということになれば、経済成長は理論上は可能ですから。

姜:韓国が今、そうなりつつあります。

内田:そうなんですか。やっぱりね。今、「地方創生」というスローガンを掲げていますけれど、僕はあの政策の実体は、里山を居住不能にすることだと見ています。

 地方創生の目玉が「コンパクトシイティ構想」なんですけれど、これは地方都市の駅前に集合住宅を作って、そこに住民を集めてコンパクトな経済圏を作るというものです。そうすれば、限界集落や準限界集落は潰せる。

 今だとそういう人口のない地域でも、道路を通したり、バスを通したり、ライフラインを通したりしなければいけないけれど、コンパクトシイティにみんな移住すれば、里山は居住不能になる。都市を離れて田舎で農業をやりたいという人は、今は公共交通も利用できるし、電気も点くし、パソコンも使えますけれど、里山へのインフラ配備は費用対効果が悪いから停止するということになれば、暮らすことが困難になる。『北の国から』(テレビドラマ)のように、井戸を掘って、ランプで暮らす覚悟がないと、都市部を離れることができなくなる。

 その「無駄な」インフラに投じていた税金で駅前に高層ビルを建てて、そこに集合住宅を作り、医療や教育などの行政サービスを集中させれば、住民は便利だし、効率的な経済活動もできる。そういう話です。でも、こんなの幻想だということは誰にでもわかる。だって、そうやって集められたコンパクトシイティの住民たちは生産現場である農地から引き剥がされた純粋な消費者でしかないからです。

 住民たちが高齢化して、死に絶えたところで、彼らの消費活動に支えられていたコンパクトシイティも存在根拠を失い、そのまま廃墟になる。多分、30年ももたないと思いますよ。

姜:田舎の人々の生活の場も、働く場もすべて取り上げてしまう。それは人口的に棄民をつくり出しているのと同じですよね。廃墟と棄民を作り出している。僕もTPPの本質はそこにあると思いますよ。

内田:そうです。農地も森林も、すべて放棄されて、広大な無住の荒廃地ができる。鳴り物入りで作られた地方のコンパクトシイティが廃墟になった後、最終的に人間が住めるのは都市部しかなく、雇用は賃労働しかなく、生活必需品はコンビニで買うしかなく、娯楽は人工物しかないという状況になる。

 人口が一億を切った後も経済を回そうとしたら、人口を都市部に集めるしかない。そうすれば労働者の雇用条件も劣化するし、消費活動も定型化するから、企業としては人件費コストが切り下げられ、利益率は向上する。僕が今、総務省の役人で、「人口減少社会でどうやって経済成長するか、何か案はあるか?」と上司に訊かれたら、「地方の里山を居住不能にするのが一番手早いと思います」というレポートを書きますね。そのくらいのことはある程度の頭の働く人間なら、誰でも思いつきます。

姜:そのほうが管理しやすいですしね。一億総難民、あるいは一億総棄民。富裕層との格差の非対称性は圧倒的になりますね。

ウーム 頭脳明晰な安倍さんが、レトリックでどう言いくるめようとも格差は拡大してやまないようですね。

『世界「最終」戦争論』1
『世界「最終」戦争論』2
『世界「最終」戦争論』3

内田:
姜:

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