リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16

<リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16>
図書館で『リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16』というムック本を手にしたが…
リドリー・スコットの映画美術について、オタク気味に詳しく述べられています。
これぞ、大使のツボでんがな♪


【リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16】
スコット

風間賢二編、キネマ旬報社、2001年刊

<「MARC」データベース>より
「エイリアン」の大ヒット、そして次に続く「ブレードランナー」で多くのファンを獲得したリドリー・スコット。光と影の魔術師といわれる彼の映画手腕を様々な角度から検証する。

<大使寸評>
この本の紹介記事を書いていたが…
読みどころが多いし、Amazonの古本が格安だったので、早速注文したのです。

Amazonリドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16


五十嵐太郎さんが、リドリー・スコットの美術を語っています。
p50~52
<オリエンタリズムの都市>より
 『エイリアン』と『ブレードランナー』(1982)をつなぐのは、薄汚れた未来の風景である。エイリアンの強力な酸性の血は、酸性雨となって空から降り続け、宇宙船の内部で激しく落ちていた水しぶきは、都市全体に拡大された。

 『エイリアン』のアンドロイドは冷徹であり、非人間的な存在だったが、『ブレードランナー』のレプリカントは人間以上に人間的な存在である。スコットは、最初に後者の脚本を読んだとき、「細部まで凝った建築物によって、想像上の世界をまるまる映像化できる」と思ったという。

 スコットは「映画には、背景が俳優と同じくらい重要な瞬間がある。デザインも映画の脚本なのだ」という。その結果、ハリソン・フォードは俳優よりもセットのほうに手間をかけていると感じ、喧嘩したらしいが、実際、この映画は印象深い未来都市を構築した。

 2019年のロサンゼルスでは、アジア的な混沌と古代的かつ未来的なメガストラクチャーが共存し、街中にメディアが氾濫する。そして『ブレードランナー』以降、アジア的な都市のイメージを導入することは、SF映画の常套手段になった。
デッカード

 フィリップ・K・ディックの原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(1968)にアジアのイメージは混入していない。映画版からアジア化した。このアイデアは未来的な工業デザイナーのシド・ミーードによるものではない。彼もアジア風の都市スケッチを描いたが、アジア的な未来像を最初に決定したのはスコットだった。

 もともとミードは空飛ぶクルマのデザインを依頼されたのであり、彼の楽天的で明るい未来像は『ブレードランナー』とは違う。プロデューサーによれば、多くのデザイナーを雇ったものの、「リドリーこそが、映画の全体像における世界観を生み出し」たのである。もっとも、彼は「レトロフィッティング」、すなわち既存のものを改造するアイデアを多く使う。

 精緻なセットのほかに、ブラッドベリ・ビルや、デッカードのアパートとしてフランク・ロイド・ライトが設計したエニス=ブラウン・ハウスが撮影に使われた(『ブラック・レイン』でも、ヤクザの親分の家がライト風である)。

 スコットによるデッカードのアパートのスケッチは、ガウディにも触発されている。ミードもアパートのキッチンを未来風にデザインしたが、映画では採用されていない。ライトもガウディも、無機質なモダニズムではなく、エキゾティックな装飾をもつ。ライトの住宅はマヤ風のコンクリート・ブロックを用いていたが、1マイル以上の高さの高さのタイレル本社の造形はマヤのピラミッドを引用している。

 スコットの世界観はテクノ・オリエンタリズムを想起させる。これは欧米において未来テクノロジーの国としてアジアが表象されることをいう。つまり、時間的な未来であるテクノロジーと空間的に遠いオリエンタリズムが重なる、二重の他者。

 「西洋」が幻想する「オリエント」は伝統とハイテクが共存しており、その異世界が西洋を魅了する。興味深いのは、このイメージが現実のアジアにフィードバックされていることだ。例えば、渋谷駅前のQ-FRONTや伊東豊雄の風の卵は映像と建築が融合し、『ブレードランナー』的な都市を拡大させる。実際、伊東はこの映画に刺激されたことを告発している。

 スコットは、「いま現在の建築物のなかに、僕があの映画で描いた美術感覚が見てとれる。つまり、われわれはただ過去の映画に影響されるだけでなく、映画を通じてのちの建築様式に強い影響をあたえたわけだ」と自負しているが、決して誇張ではない。

 『ブラック・レイン』は、現実化された『ブレードランナー』である。青みがかった風景、ネオンと広告が過剰に強調されたが、セットではなく、実際の大阪が舞台にされた。大阪駅はとてもゴシック的に見える。そして『アキラ』的なオートバイのバトルを行う。なお、クラブみやこのある4本の光の塔を持つ建物は、高松伸の設計したキリンプラザ大阪だ。高松は映画『バットマン』でも参照された80年代のポストモダンを代表する建築家である。その作品はメタリックなデザインで、エロティックなイメージを漂わす。


今はないキリンプラザ大阪だが…現代アートのメッカみたいなところでしたね。

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