日本のものづくり遺産

図書館で『日本のものづくり遺産』という本を手にしたが・・・
ン? カラー写真が多いが、なんかプロ向きの記事になっているなあ。

国立科学博物館産業技術史資料情報センター編という、やや堅い内容の異色の本でした。

【日本のものづくり遺産】
遺産

国立科学博物館産業技術史資料情報センター編、山川出版社、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
日本の「産業技術」は、いかにして世界有数になりえたかー「蚊取線香」から「ウォークマン」「写ルンです」まで…国立科学博物館登録の「未来技術遺産」からわかる、日本で生まれた技術革新の歴史。2008-2014年度登録の「未来技術遺産」(重要科学技術史資料)をすべて収録。「未来技術遺産」の登録分野ごとに年表、コラムで解説。理系でなくてもわかる。
【目次】
1 映像・情報・コンピュータ/2 電気・電力/3 産業機械/4 自動車・船・一般機械/5 金属/6 化学/7 繊維・紙・木材/8 鉱業・建設・窯業/9 食品・農林漁業

<パッと見の大使寸評>
国立科学博物館とタイアップした本、独法の補助金とつながりのある本?ということで異色の本ではあるが・・・・
内容は、カラー写真も多く、思いのほか充実しています。

rakuten日本のものづくり遺産


冒頭に<「未来技術遺産」って何ですか?>というQ&Aがあるので、一部を紹介します。

Q4:登録されるとどうなるのですか?
A:「未来技術遺産」に登録された資料の所有者の方々に、登録証と記念盾をお渡しします。ささやかな顕彰ですが、これにより人々の理解とともに大切な遺産を文字通り「未来」へ遺してもらうことができればと思います。そのため国立科学博物館は登録資料、すなわち「未来技術遺産」を国民の皆さんへ広く伝えるとともに、所有者には定期的に保存状況を確認させていただくなどのアフターケアを行っています。

Q6:なぜ国立科学博物館は「未来技術遺産」登録制度を始めたのですか?
A:例えばご年配の方々なら憶えていらっしゃると思いますが、昭和30-40年代は真空管のラジオやブラウン管テレビが当たり前でした。それがICやトランジスターといった半導体に代わり、薄型の液晶やプラズマテレビが今では一般的になっています。技術の移り変わりは、とても速いものです。真空管やブラウン管が過去の遺物となれば、生産していた企業もそれに決別し、新しい技術に取り組まざるを得ない状況にあります。ですから過去の技術者たちが築いた製品や経験は、世界的な激しい技術革新と産業構造の変化のなかで急速に失われていきます。現代の経済的視点からしたら、それらはすでに役割を終えた「過去の古い技術」かもしれません。しかし、その「技術」を創造すべくさまざまな壁を乗り越え、努力を続けた先人たちの思いとあわせて、日本の「技術」を人類の智として世界に発信するとともに未来の人々へも伝えていく義務があると、私たちは考えています。


それでは、ものづくりの代表例として「電卓」を見てみましょう。

「電卓」が育んだ最先端産業p46
1.半導体技術
 トランジスタからIC、LSIといった半導体技術は当初、宇宙・軍事といった国家事業分野でアメリカが先導していました。日本企業は民生機器への応用に取り組み、電卓への半導体の搭載もそのひとつでした。
 電卓産業はその後、本家のアメリカを凌いで世界一の規模となっていく日本の半導体産業発展のきっかけをつくりだしました。

2.太陽電池技術
 光エネルギーを電気エネルギーに変える太陽電池が世界で初めて電卓に搭載されたのは1976年、シャープが発売したEL-8026でした。当時は充電池を併用し、太陽電池で充電する方式でしたが、翌77年には現在の太陽光発電にも使われるアモルファス太陽電池が開発され、応用範囲が格段にアップ。太陽電池の実用化を促したのも電卓でした。

3.液晶技術
 液晶の存在は1888年にオーストラリアの植物学者F・ライニッツアーが発見しました。80年後の1968年にアメリカで初めて液晶を使った表示装置が開発されましたが、商品化に至らず放置されたままになります。この技術が将来の低消費電力化につながる可能性に気づいたシャープはいち早く実用化に取り組み、73年に世界で初めて液晶表示を備えた電卓EL-805を世に送り出します。

 その後各メーカーが液晶開発に乗り出し、日本の液晶技術の向上につながりました。81年340億円だった日本の液晶ディスプレイ生産はおよそ20年後の2000年、当時の40倍となる1兆4000億円に達しています。

業務用に6万円ほどの関数電卓を購入したときの高揚感を覚えているが・・・
電卓は今では百均で買えるほど激変したコモディティとして、思い入れが深いのです。

斯様に、ガラパゴス内では卓越していたシャープであるが・・・
中国が世界の工場となった現在では、中国の経営感覚、判断スピードの煽りを受けて業績不振に喘いでいます。

2015.3.4シャープに2度目の業績下方修正をもたらした単純かつ深刻な原因より
<液晶テレビは価格競争が激化>
 次に営業利益を見てみよう。図3は営業利益の修正額を事業セグメントごとに分析したものだ。これを見ると、液晶テレビ等に代表されるデジタル情報家電と屋台骨である液晶の落ち込みが目立つ。しかも、両事業とも営業利益は2月3日の修正で大幅下方修正となっている。

 デジタル情報家電には、液晶テレビを主要製品とする事業とスマートフォンを主要製品とする分野が含まれるが、今回の下方修正の原因となったのは、売上高と営業利益ともに、すべて液晶テレビを主要製品とする分野だ。

 シャープは液晶テレビの市場動向を見誤ったようだ。米国では30種類以上を展開する製品戦略が浸透せず、国内では高精細の「4Kテレビ」の商品化で出遅れた。低価格攻勢を仕掛けてくるアジア勢に対抗するためにも、4Kテレビのような高付加価値製品こそシャープが主戦場とすべき製品分野であるはずだが、そこで出遅れたとなっては泥沼の価格競争に巻き込まれるだけだ。
 

もうひとつ、おまけ(追い討ち)だ。

2015.6.16シャープ経営危機の当然より 
 シャープが経営危機に直面している。2015年3月期決算は、純損益が2223億円の赤字。コンサルタントの湯之上隆氏は「シャープがここまで深刻な経営危機に陥ったわけ」(11日)で、その原因を継続的な観察から整理した。

 「危機はある時突然やってくるものではない」。湯之上氏は04年、同社の技術開発の責任者へのインタビューで、営業利益率がサムスン電子の10分の1にとどまる理由を尋ねた。「よくわからないんだ」という答えに、これでは利益率が向上しないと、大変驚いたという。07年には新興諸国の家電売り場を巡った。日本家電の評価は「価格が高い」という声ばかり。シャープを含めた日本家電の転落の予兆を感じとった。

 これらをまとめ、シャープは技術力への自信は強いが、「コストに対する意識が希薄なため、営業利益率が常に数%と低い」。次に、日本市場にこだわり「真のグローバル企業にはなれていない」。そして、「技術、製品の原価構造、国内外のマーケットの状況」を踏まえた総合的な経営ができていないという。

 資本金の減資や大規模リストラなどでは「本質的な解決策にはならない」とみる。
(編集長 矢田義一)

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