朝日デジタルの書評から41
<朝日デジタルの書評から41>
日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。
・・・・で、今回のお奨めです。
・かないくん
・村上海賊の娘〈上・下〉
さっそく、図書館に借り出し予約するのもいいかもね。
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日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。
・・・・で、今回のお奨めです。
・かないくん
・村上海賊の娘〈上・下〉
さっそく、図書館に借り出し予約するのもいいかもね。
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かないくんより ![]() <世代結ぶ「死」との距離感覚:鈴木繁(本社編集委員)> 隣席の「かないくん」が小学4年で死んだ。ひとり向こうに行った「しんゆうじゃない、ふつうのともだち」だった少年のことを、絵本作家が60年以上たってふいに思い出し、絵本にしようとして結びを描きあぐねている。老作家には死期が近い。 「かない」は、谷川の亡くなった級友の姓でもあるという。企画したのは糸井重里。「ほぼ日刊イトイ新聞」によれば、まず谷川俊太郎と話をし、受諾した詩人は大筋を一晩で書いた。絵を依頼されたマンガ家松本大洋は、初の絵本にためらい、考えた末に受けたが、完成したときには2年近い歳月が流れていた。執筆と作画の違い以上に、死との距離感覚の違いが関係している気がする。 地球上に生物が発生して十数億年の間、死はなかった。バクテリアの仲間、原核生物は老いず死なず、分裂するのみ。死は「ヒトが進化史で獲得した『能力』」と『有性生殖論』(NHKブックス)で生物学者高木由臣は語っている。生が世代から世代へとリレーされるように、死もまたリレーされていく。 人の生のイメージは拡散し続け詩の衰退はやまない。生物としての進化が誰にでも無償で与えてくれる死は、詩情の最上の牙城か。寺山修司の言を借りれば、谷川は暗い戦後詩に「おはよう」を持ち込んだ詩人。ここでも死にあいさつするようなさわやかなエンディングが印象に残る。白みを生かしたデザインがそれをさらに引き立てる。 松本大洋は「かないくん」を自分の友だちであるかのように、温かく、寂しく、ありていに描き出している。思い出の中から跳ね出してくるウサギや、ごつごつとした外皮の内に命を秘める樹木とともに。 谷川から差し出されたものを、大事に抱き取ろうとする松本のしぐさが見えるようだ。 ◇ [作]谷川俊太郎 [絵]松本大洋、東京糸井重里事務所、2014年刊 <商品の説明>より ある日、ともだちのかないくんが学校を休んだ。 かないくんは親友じゃない。ふつうのともだち。 日常に訪れた、はじめての“死”。 死ぬって、ただここにいなくなるだけのこと? 詩人、谷川俊太郎が、一夜で綴り、 漫画家、松本大洋が、二年かけて描いた絵本。 企画監修は糸井重里。 <読む前の大使寸評> 谷川俊太郎のお話を、松本大洋が二年かけて描いた絵本とのことなので、見てみたいのです。 絵本作家としての松本大洋についてはマンガと絵本でも、触れています。 rakutenかないくん |
村上海賊の娘〈上・下〉より ![]() <個性派ぞろいの痛快活劇:瀧井朝世(ライター)> 今年発表の吉川英治文学新人賞、本屋大賞の大賞受賞作。戦国時代、第一次木津川口の戦いを題材にした痛快な活劇大作だ。主人公は瀬戸内海に君臨した村上水軍の娘、長身痩躯なやんちゃ娘、村上景。敵も味方も魅力的な個性派ぞろい、彼らがぶつかりあう合戦シーンはまさに血湧き肉躍る名場面が続く。 著者は城戸賞を受賞した脚本の小説化作品『のぼうの城』で注目された。大阪生まれの広島育ちで、幼い頃から村上水軍の話を見聞きしており、週刊誌連載の依頼を受けテーマに選んだ。そこから構想と執筆に4年半。担当編集者の田中範央さんは「徹底的に調べあげて史実を頭に叩き込み、先にシナリオを書き感触をつかんでから小説連載に取り組んでいました。著者のこの苦労が報われて本当にうれしい」。 部数の推移をみると、まず昨年10月の初版は上下計9万5千部。当初から評判はよく、今年1月21日の本屋大賞ノミネート発表時点での累計部数は上下計18万部。その後大賞の内定を受けての事前増刷もあり、4月8日の本屋大賞発表時点では上下計75万5千部。以降は毎週増刷し、現在上下計94万5千部だ。刊行当初は30代以上の男性読者が多かったが発表後の購買層は幅広く、特に50代以上の女性の増加が目立つ。 「テレビのニュースや新聞で本作を知り、購入されるケースが多いようです」と、営業部の松本太郎さん。 昨年から小説の舞台である広島と愛媛では盛り上がりを見せ、著者も現地の書店に足を運んでサイン本などを作成していた。だが本屋大賞ノミネート後は「投票の呼び掛けになるようなことはしたくない」と書店訪問を一切やめたという。純粋に作品の面白さで評価されたことを示す結果となった。 ◇ 『村上海賊の娘〈上・下〉』和田竜著、新潮社、2013年刊 <「BOOK」データベース>より 和睦が崩れ、信長に攻め立てられる大坂本願寺。海路からの支援を乞われた毛利は村上海賊に頼ろうとした。その娘、景は海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女だった…。 <読む前の大使寸評> この本は第一次木津川口の戦いを題材にしているようだが・・・・ 個人的には、村上水軍と鉄砲集団雑賀衆との出会いが興味深いのです。 伝説の鉄砲集団:雑賀衆でも触れたが、雑賀衆のエピソードは、小説や映画のネタとしても面白いし、これこそ歴史秘話というべきでしょうか。 rakuten村上海賊の娘〈上・下〉 |
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