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zoom RSS 『狼が来るぞ!』3

<<   作成日時 : 2018/01/11 16:30   >>

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<『狼が来るぞ!』3>
図書館で『狼が来るぞ!』という本を、手にしたのです。
この本は「SPA!」名物コラムから精選とのことで・・・四方田さんは右の論客という側面もあるようです。



【狼が来るぞ!】
おおかみ

四方田犬彦著、平凡社、1999年刊

<「BOOK」データベース>より
もうすぐ恐るべき新世紀がやってくる。猫かぶりの読者よ、こころせよ。「SPA!」名物コラムから精選107篇。1995‐1999の喧嘩、生き死に、オバケのつまった、世紀末きわめつけのこの1冊。

<読む前の大使寸評>
この本は「SPA!」名物コラムから精選とのことで・・・四方田さんは右の論客という側面もあるようです。

amazon狼が来るぞ!


「旅行家」について述べられているので、見てみましょう。
p28〜30
<観光と旅行> 
 ある街や国を訪れて、その場所にしかない珍しいものを見たり、記念写真を撮って自分の住んでいる場所に帰ることと、その未知の場所にずっと滞在して、現地の言葉でなんとか生活しようとしたり、病気になったり、新しい友だちをこしらえたりすることは、本質的に違うことである。ポール・ボウルズなら前者をツーリスト、後者をトラヴェラーと呼ぶだろう。日本語に訳してみれば、「観光客」と「旅行家」ということになるのだろうか。

 「旅行家」といったところで、なにも1年中忙しげにあちらこちら移動しまくっている必要はどこにもない。ただ自分の生まれ育った国や街の流儀をひとたび忘れて、別の人生を歩み出そうとする心構えをもっているかどうか、ということである。

 観光客はそんなことは考えていない。日本で待っている知りあいにどんな絵葉書を送ろうとか、お土産はどんなものにしようか、帰ったらなにをしようか、などということばかり考えている。だから一口に外国に行ったことがあるといっても、この二つの間には大変な違いが横たわっている。

 ぼくはこれまでの人生で三回、旅行者となったことがある。一度目は韓国のソウル。二度目はニューヨーク。そして三度目は、ついこないだまでいたボローニャ。いずれの滞在も1年から2年ほどの長さで、年齢的にいえば、ぼくが25歳、33歳、41歳のときの出来事だった。

 その体験が自分の生き方を区切り、新しい時間へと踏み出すために役にたったことはいうまでもない。と同時に、外国から日本へと戻ってくるたびに、自分が偶然に生まれ落ち、育ったこの国に対する考え方も微妙に変わってきた。いまからそのことを簡単に書いておこう。

 最初に韓国から帰ってきたときには、日本全体が巨大な砂糖菓子の塊のように思えた。1年の間、軍服や迷彩服を着用したり、グラウンドで軍事教練に励む学生たちとつきあった直後だったからかもしれないが、徴兵制度もなく暇をもてあましてキャンパスでサークル活動とナンパにしか関心のない東京の大学生が子供に見えてしかたがなかった。

 ソウルの学生たちは強い民族意識と、それを支えるだけのエリート意識をもっていた。そして、ときに堅苦しいと思えるまでに礼儀正しく、それでいて羽目を外したときは徹底的に大騒ぎをするのだった。一方、東京の学生たちの大部分は歴史意識など、これっぽっちも携えていなかった。もちろんエリート意識だって、かけらもなかった。行儀は悪く、そのくせ世間態を考えないで面と向かって自分の意見を口にすることが恥であるかのように考えていた。

 次にニューヨークから帰ってきたときはどうだったかというと、ああなんと堅苦しい、形式だらけの国に帰ってきたのだろうという思いでいっぱいだった。アメリカの間では実に簡単に人が人を紹介しあったり、されあったりするのが当然だった。そのうちに人は気の通じあう友だちをふと発見することができる。ところが同じことが東京であったとしても、知りあいの数だけは次々と増えていくけれど、どこまでたっても友だちを作ることが難しいところだなあ、というのが第一印象だった。日本では人間が気さくにできていないのだ。なにしろ、知らない人に声をかけられたら絶対に口を利いちゃけません、と母親が子供に教える国なのだから。

 ではボローニャで1年を過ごしたあとはどうかというと、これはもうものすごい速度ですべてのものごとが運動している国に帰ってきたのだなあ、というのが本音である。成田空港のリムジンバスが3分刻みに到着し、それがものの5分遅れただけで、案内人が乗客に向かって頭を下げて説明するというさまを帰国そうそうに目撃したぼくは、はたしてこんな国でふたたび生きていけるのか、心配になってしまった。やれやれ…。
(95.6.21)


『狼が来るぞ!』1:発展する大東亜共栄圏
『狼が来るぞ!』2:世界のチャイナタウン事情

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