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zoom RSS 『「COMICばく」とつげ義春』2

<<   作成日時 : 2018/01/10 23:00   >>

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<『「COMICばく」とつげ義春』2>
図書館で『「COMICばく」とつげ義春』という本を、手にしたのです。
マンガ界における純文芸誌ってか・・・執筆者につげ兄弟、杉浦日向子、林静一らのビッグネームも見える凄い雑誌やないけ♪
ほとんど独力で、この雑誌を出版した著者も凄いけど。


【「COMICばく」とつげ義春】
ばく

夜久弘著、ベネッセコ-ポレ-ション、1989年刊

<「BOOK」データベース>より
1984年に創刊され、87年までの4年間に15号刊行された季刊マンガ誌「COMICばく」は、強烈な個性をもった作家をずらりと並べた〈マンガ界における純文芸誌〉として、熱狂的ファンの支持をうけた。その「COMICばく」の看板ともいえたのがつげ義春で、寡作をもって鳴る彼が毎号(!)作品を発表するということ自体、重大事件と呼んでも決しておおげさではなかった。本書は、ほとんど独力で雑誌を作りつづけた著者が、創刊からやむなく休刊にいたるまでの迂余曲折を綴った、「もうひとつのマンガ史」である。

<読む前の大使寸評>
マンガ界における純文芸誌ってか・・・執筆者につげ兄弟、杉浦日向子、林静一らのビッグネームも見える凄い雑誌やないけ♪
ほとんど独力で、この雑誌を出版した著者も凄いけど。

rakuten「COMICばく」とつげ義春

石「石を売る」

「石を売る」の原稿を受けとったあたりを、見てみましょう。
p169〜172
<つげ義春の不調>
 ぼくは、つげ義春の原稿を受け取ったばかりだった。休みたいといっていた5号目の原稿を入手したというのに、ぼくの気持は浮き立たなかった。嬉しくないわけはないのだが目の前の憔悴しきったつげ義春をみると、とても単純に喜ぶ雰囲気ではなかったのだ。
 
 「カゼでね…」
 「カゼって、つげさん、この前のときもそういってたでしょう」
 「そう、あれがまだ続いてるの。いつもユンケル飲むと治っちゃうんだけど、今回は全然だめだった。千二百円もするやつ十本も飲んだのに…」
 「この前からじゃ、三ヶ月も経っちゃってるじゃないですか」
 「うん、悪くなりもしないかわりに治りもしない、そんな感じのとこで押さえちゃったみたいなんだよね。微熱はずっと続いてるし、目まいはするし、原稿があるから休むわけにはいかなかったしね」

 怨みごとをいいながらつげ義春は洟をかんだ。そして、ふと上目遣いにぼくを見た。

 「あっ、そうだ、夜久さんこの間原稿料上げたでしょう」
 ぼくは悪戯をとがめられたような気がしてドギマギした。常識的には感謝されてもいい原稿料のアップを図りながら、負い目のようなものを感じている自分がおかしかった。原稿料は1ページにつき、三千円を上積みしたのだった。

 「まわりの状況はいろいろ変わっているんだから、やっぱり原稿料も多少はねえ…」
 「でも『ばく』は赤字なんでしょ」
 「赤字といっても許容範囲内のものですから、つげさんの新作を掲載している雑誌という価値観からすれば、商業的なことは問題じゃありません。まあ、ぼくの私見ですけど」

 つげ義春は苦い笑いを浮かべ、それ以上原稿料については言及しなかった。
 「ところでつげさん、今回の作品、また傾向が変わりましたね。なんだかとてもリアルでペーソスがあっておもしろいですね」
 「うん、一応この次もね、これでやってみるつもりなの。どうせ、夜久さん休ませてくれないから、今回の作品を描きながら平行してコマ割りを進めていたんだ。次は42ページになると思う」
 「ええ、凄いじゃないですか、そんなに長いの描いてもらえるんですか」
 「そういうふうに喜ばれると困るなあ。体調はごらんの通りだし、描ききれるかどうか実は不安もあるんだから」

 つげ義春が暗く沈みこんでいたのは、カゼのせいだけでなく、次号の長篇を心配してのことだった。
 つげ義春の苦悩が『ばく』への積極姿勢から生じているのだと分かり、ぼくの気分は、うって変わって軽くなった。窓外を弾む足どりで歩いているひとびとと同じ季節のなかに自分もいるのだということが、急に実感されるようになった。

 このとき受けとった作品「石を売る」は、後に連作で描き継がれ、つげ義春のライフワークと目される問題作の端緒になるものだった。

 つげ義春の作品には、少年期に材をとったもの、「隣りの女」のように昭和30年代を描いたもの等がシリーズ化されていたが、「石を売る」から始まる連作は作者の現在に最も近い時代を扱っていた。それだけに他のシリーズのようなノスタルジックな皮膜がなくなり、主人公の息遣いが直接伝わってきそうななまなましさがあった。

 『ばく』の5号が出て、しばらくすると、「石を売る」への反響がドッと寄せられた。「つげさんはほんとうに石を売ってらっしゃるんですか」という声に代表されるように、作品があまりにリアルで、つげ義春が自らの現状を告白し始めたような衝撃があったのだ。なかには、つげ義春が多摩川の河原で石を売っている姿を見られるのではないか、と調布へ足を伸ばす女性ファンも現れる始末だった。


『「COMICばく」とつげ義春』1

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