『空想読解なるほど、村上春樹』2

<『空想読解なるほど、村上春樹』2>
図書館で『空想読解なるほど、村上春樹』という本を、手にしたのです。
このところ村上春樹関連の本を集中的に読んでいるいるのだが・・・
ツボが疼くとでもいいましょうか♪



【空想読解なるほど、村上春樹】


小山鉄郎著、共同通信社、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
青いティッシュペーパーはなぜ嫌いか?青豆はなぜ生き延びたのか?あの青いあざとは何か?『ノルウェイの森』刊行時唯一のインタビュアーであり、『アンダーグラウンド』刊行を特報した著者が、ハルキの謎にせまる、愛に満ちたブックガイド。

<読む前の大使寸評>
このところ村上春樹関連の本を集中的に読んでいるいるのだが・・・
ツボが疼くとでもいいましょうか♪

rakuten空想読解なるほど、村上春樹




ジョージ・オーウェルの「カタロニア賛歌」が語られているので、見てみましょう。
p12~14
<闘わなくてはならない「効率社会」>
 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故に触れて語った、村上春樹のカタルーニャ国際賞授賞式での受賞スピーチが話題となりました。

「カタルーニャ」はジョージ・オーウェルの『カタロニア賛歌』の舞台です。1936年からのスペイン内戦の際、報道記事を書くつもりでバルセロナにやってきたオーウェルは、同年暮れに共和政府側の義勇軍に参加して戦います。この従軍体験記が『カタロニア賛歌』です。

 スペイン人たちの夢と情熱への賛歌ですが、一方で共和政府内部の権力争いや、時がたつにつれて労働者の手から権力が奪われていくさまが、明晰な視線で描かれています。そこでの体験が全体主義的な社会への批判の書である近未来小説『1984年』(1949年)の執筆に繋がっていきました。

 この『1984年』を意識して、村上春樹が書いた長篇が『1Q84年』(2009年、10年)です。オーウェルの『1984年』にはスターリニズムを寓話化した独裁者「ビイッグ・ブラザー」が登場しますが、村上春樹の『1Q84年』のほうには「リトル・ピープル」なるものが登場します。

 その「カタルーニャ」でのスピーチです。村上春樹はオーウェルのことなどに触れて語ってはいませんが、頭の中には『カタロニア賛歌』の舞台の地でのスピーチであること、自作の『1Q84年』にも繋がる地でのスピーチであることは、もちろん意識されていただろうと、思います。

 村上春樹は、今回の原発事故に触れて、歴史上唯一、核爆弾を投下された経験を持つ日本人にとって、福島第一原発事故は二度目の大きな核の被害であることを述べ、我々は核に対する「ノー」を叫び続けるべきだったと訴えたのです。

 原爆の惨禍を体験した日本社会から「核」への拒否感がどんな理由で消えてしまったのか。村上春樹は「『効率』です」と語っています。
『効率』という言葉は、このスピーチで5回も使われていますが、これを読みながら、村上春樹の一貫した姿勢というものを感じました。

 村上春樹にとって、明治以降の日本の問題点は「一つの視点から、効率を求めて人を整列させるシステムとして、近代というものがある」ことだと、私は考えています。
 例えば、近代以降の日本の学校、軍隊、病院、監獄などは、みな一点からすべてが見通せるようになっています。それらは日本が近代となって、効率を求め、一つの視点から、人を整列させるシステムとして出来たものです。
 こうした効率社会と闘ってきたのが、村上春樹の文学です。その例を一つだけ挙げてみましょう。

 『1Q84年』と同じ時代、つまり1984年の日本を舞台にして書かれた長編『ねじまき鳥クロニクル』(1994年、95年)に、綿谷ノボルという人物が出てきます。この綿谷ノボルは主人公「僕」の妻の兄ですが、日本を戦争に導いたような精神の持ち主として描かれています。『ねじまき鳥クロニクル』という作品は、「僕」が、この綿谷ノボルと対決し、彼をたたきつぶして、綿谷ノボル側に連れ去られた妻を自分の側に取り戻す物語です。


図書館で借りて読んだ『ねじまき鳥クロニクル』をつけておきます。

【ねじまき鳥クロニクル・第三部】


村上春樹著、新潮社、1995年刊

<「BOOK」データベース>より
奇妙な夏が終わり、井戸は埋められた。そして人々はみんなどこかに去っていった。ねじまき鳥の声ももう聞こえない。僕に残されたのは、頬の深く青いあざと、謎の青年から引き渡された野球のバットだけだ。でも僕はやがて知ることになるー何かが僕を新しい場所に導こうとしていることを。意識と過去の帳の奥に隠されたねじのありかを求めて、地図のない冒険の旅が開始される。そしてその僕の前に、ねじまき鳥の年代記(クロニクル)が、橇の鈴音とともに静かにひもとかれる。完結編。

<読む前の大使寸評>
これまで第一部、第二部と読んできたのだが・・・
妻のクミコとその兄の綿谷ノボルの動きが読めないというか、謎めいているのです。

rakutenねじまき鳥クロニクル・第三部


『空想読解なるほど、村上春樹』1

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