『ソロモンの指環』2

<『ソロモンの指環』2>
図書館に予約していた『ソロモンの指環』という本を、待つこと5日でゲットしたのです。
「BOOK」データベースがこの本を「永遠の名作」と讃えているが・・・さて、如何なるものか♪


【ソロモンの指環】


コンラート・ローレンツ著、早川書房、2006年刊

<「BOOK」データベース>より
孵卵器のなかでハイイロガンのヒナが孵った。小さな綿毛のかたまりのような彼女は大きな黒い目で、見守る私を見つめ返した。私がちょっと動いて話しかけたとたん、ガンのヒナも私にあいさつした。こうして彼女の最初のあいさつを「解発」してしまったばかりに、私はこのヒナに母親として認知され、彼女を育てあげるという途方もない義務を背負わされたのだが、それはなんと素晴らしく、愉しい義務だったことか…「刷り込み」理論を提唱し、動物行動学をうちたてた功績でノーベル賞を受賞したローレンツ博士が、溢れんばかりの喜びと共感をもって、研究・観察の対象にして愛すべき友である動物たちの生態を描く、永遠の名作。

<読む前の大使寸評>
「BOOK」データベースがこの本を「永遠の名作」と讃えているが・・・さて、如何なるものか♪

<図書館予約:(9/03予約、9/08受取)>

rakutenソロモンの指環



マルティナの世話について、見てみましょう。
p150~152
<ガンの子マルティナ>
 そのあとはガンの母親がするとおりの世話で一日が暮れた。私たちは野原へゆき、やわらかい青草を食べた。それから、くだいたゆで玉子にイラクサをまぜたものがおいっしいごちそうであるいおとを、ヒナに覚えさせた。一方ヒナのほうも少なくとも今のところは、私が1分でも彼女からはなれ彼女をひとりおきざりにしたら、ただちに彼女はみすてられたように感じる、ということを私に理解させた。

 つまり私がそんなことをすると彼女はとたんにいいようもない不安におちいり、心もはりさけそうに泣きわめくのだった。私はあれこれと試みたあげくついにあきらめた。おして小さな籠をつくって、いつもヒナをもち歩けるようにした。私が自由に動けるのは、その子が眠っているときだけであった。

 ところがヒナはけっして長い間眠りつづけることはなかった。最初の日の昼間、私はじつはこのことに気づかず、彼女がぐっすり眠りこんでいるものと思っていた。だから夜になって愕然とした。

 ガンの寝床として私は電気であたためたすばらしいゆりかごを用意してやった。このゆりかごは今までにも、巣から逃げだした鳥のヒナたちを母親の胸にかわって何度もあたためてきたのである。夕方かなりおそくなってから、私はちっぽけなマルティナをゆりかごの電気ぶとんの下に押しこんでやった。

 彼女はすぐ満足してすごく早口にささやいた。これはガンのヒナが眠りこむ生理的気分にあることを表現するもので、「ヴィルルルルル」と聞こえる。私はゆりかごを入れた籠を部屋のすみにおき私自身もおき私自身もベッドにもぐりこんだ。ちょうど私がうとうとと眠りかけたとき、マルティナが静かにねぼけた声でもう一度「ヴィルルルルル」といったのが聞こえた。私は気にしなかった。するとつづいて、もう少し大きな声で、問いかけるように、別の気分感情声が聞こえてきたのである…「ヴィヴィヴィヴィ?」

『ニルスのふしぎな旅』の著者セウマ・ラーゲルレーブ女史は、ガンの気分感情声の意味を天才的なひらめきでみごとにいいあてた。彼女はヴィヴィヴィ?というこの声を、「私はここよ、あなたはどこ?」と訳したのである。ヴィヴィヴィヴィ?…私はここよ、あなたはどこ? 私はしばらく答えずにいた。ふとんの中にもぐりこみ、ひたすらヒナがまた眠りこんでしまうことを祈った。だめだった。

 ヴィヴィヴィ…声はやまなかった。おまけにほうりだされたときのあの脅迫めいたwめき声さえくわわってきた。「お母さん、どこよ?」…子どもが口をわっと開き、唇をつき出して泣くように、ガンの子も泣いている。

 ただしガンでこれにあたるのは、首を高くあげ、頭の羽毛を逆立てた姿勢である。そして次の瞬間には、するどく、心を突きさすように、ピープ…ピープ…がはじまった。もうこうなったらしかたがない。私はベッドから出て、やおら箱のところへいった。マルティナはうれしそうに私をむかえ、ヴィヴィヴィヴィヴィヴィとあいさつをやりだした。


『ソロモンの指環』1:ガン類の刷り込み

"『ソロモンの指環』2" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント