内田先生の韓国講演

<内田先生の韓国講演>
内田先生が韓国講演について8月16,17日にツイートしています。

<16日>
@levinassien: ソウルなう。金浦空港で出版社二社の二人の金さんと、と学塾主催の朴先生のお出迎えを受けました。日程てんこもりみたいです。なぜウチダ本が韓国で売れるのかについて朴先生からご説明を頂きました。やはり学術情報を生活言語に「架橋する」という仕事をする人が少ないのだそうです。

@levinassien: そこでレヴィナスと一神教と知識人の責務と日本文化の二重性について話しました。受ける「ツボ」は日本とほとんど同じでした。逐次通訳でも、笑いがとれると気分いいですね。

@levinassien: 講演ならびにプチ打ち上げだん。出版社の金さんのフルアテンダンスなので、一体自分がどこで何をしているのか、よく分かっていません。今日の講演は書店兼画廊兼カフェでのイベントなので、聴衆は40人。ほとんど女性です。びっくり。韓国の人文書のヘビーリーダーは女性なんだそうです。
<17日>
@levinassien: おはようございます。ソウル三日目です。昨日はハードな一日でした。お昼は読書会のメンバーと会食、午後は教育関係者とのセッション。夜は講演3時間(逐次通訳なので時間かかるのです)と打ち上げ。ホテルに戻ったのは1時過ぎでした。ふう。これであとは新聞の取材が一つだけで終わりです。

@levinassien: セッションでは韓国の教育の危機的状況について切実なレポートを伺いました。日本よりはるかに社会格差が激しい韓国では社会的上昇のための戦いがハードで、多くの学生たちは疲れ果てて、無気力になっている。学校教育が手段化して、のびやかな知的好奇心が育ちにくくなっている。

@levinassien: 日本と違うのは、その危機に対して教育行政に文句をつけたり、メディアで批判したりするより先に、「じゃあ、自分たちで学びの場を作ろう」というふうに個人が自分の発意ですぐに動き始めることです。今回僕を呼んでくださったのは、出版社二社と三つの「手作りの学びの場」の主宰者たちでした。

@levinassien: 学校に居場所がみつからない子どもたち、知的好奇心が満たされない主婦やOL、そういう人たちが集まって手作りの「学びの場」を作り出している。そこが同時にビジネスやイベントの起点にもなっている。そのコンセプトは凱風館と近いものでした。

@levinassien: 第一夜の会場キルダム書院は書店でカフェで画廊でイベントホールです。主宰者の朴先生は民主化運動の活動家で「マルクスの本を書き写した」反共法違反の罪で13年半獄中にあった方です。獄中で日本語を学び、出獄後学位を取り、今はレヴィナス哲学に深い関心を寄せています。73歳です。

@levinassien: 「先生はえらい」を出してくれた「タンポポ」出版社は同時に若者たちに学びと出会いの場を開放しています。僕の本をとりあげてくれ、日本での朴先生(キルダム書院の朴先生とは別人)のロングインタビューを載せた隔月刊誌は読書会の人たちが自力で編集して作り上げました。

@levinassien: 講演会は二つの出版社(ガラパゴスとタンポポ)の共同主宰でした。若い学生たちがほとんどで200人以上来てくれました。そこで「ポストグローバル社会の共同体と教育」について語りました。

@levinassien: グローバル企業の利益追求行動が国民経済の目指す方向と「ずれて」しまった歴史的段階を「ポストグローバル社会」というふうに僕は定義しています。企業ができるだけ安い人件費で過労死するまで働く労働者と安い人件費と電力コストとゆるい公害規制法規を求めるのは合理的な行動です。

@levinassien: でも、それを追求することと国民生活の質を維持することはどこかで背反する。その「損益分岐点」を日本はもう超えたと僕は考えています。国民国家が国家としての仕事を「経済成長」に特化するなら、国民国家の本来の仕事は国民自身が自力で果たさなければならない。そういう話をしました。

@levinassien: 講演会のあと、若い韓国人学生たちが僕の本を抱えて、サインを求めて長い列を作ってくれました。ひとりひとりと握手しました。日本も韓国も直面している問題は深いところで共通しているようでした。

@levinassien: 真夜中近くに始まった打ち上げには主宰者側のほとんどの方が集まってくれました。僕たちは同じ歴史的危機に直面します。固有名を持ち、身体を持った日韓市民相互の信頼と敬意を両国を友邦として結びつける基礎としましょうと最後にご挨拶しました。素敵な出会いでした。みなさん、どうもありがとう。

@levinassien: 午前中は二紙の取材。教育崩壊についてのロングインタビュー。共生の作法を学ぶ場としての学校を市場原理と競争原理から守らなければならないという持論を1時間半語りました。それから待望の参鶏湯。お仕事が終わったので、昼から冷たいビールが飲めます。めちゃ美味しいです。

@levinassien: お茶したあとに、タンポポ(「先生はえらい」と「街場の教育論」の版元)とガラパゴス(「若マル」と「寝な構」の版元)とキルダム書院(朴先生の学塾)の皆さんと訳者のお二人(金さんとの朴さん)とお別れしました。まことに愉快で刺激的な三日間でした。皆さん、また来ますね。

@levinassien: 皆さん、ただいま帰りました。疲れましたけど、実りの多い旅でした。国内の市場で知的消費財として読み捨てられるようなものは「絶対に」書いてはいけないということを思い知らされました。これからはまじめに仕事をしようと思います。つまり「お待ちのゲラは当分戻らない」ということなんですけど…



領土問題で日韓関係がギスギスしている真っ最中の訪韓ではあるが・・・
このような文化面での交流はいいことなんだろう。
だけど・・・
韓国では、漢字廃止政策により言語学上の壊滅的変容のただなかにあるそうです。
漢字廃止により抽象的な漢字語が消滅の危機にあるわけで、内田先生の語る内容が、ほんとうに理解されているのか、はなはだ疑問である。
(日本文テキストが事前に通訳に渡されていたら誤訳は防げるが、テキストなしの逐次通訳となると、同音異義語の関係で韓国人通訳のキャパを越えるのではないか?)

"内田先生の韓国講演" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント