村上春樹『雑文集』3

<村上春樹『雑文集』3>
図書館で村上春樹『雑文集』という文庫本を手にしたのです。
目次を見ると翻訳に関する箇所もあり、借りる決め手になりました。

ところで家に帰って調べてみると、この本を借りるのは2度目であることが分かり、2017年2月に紹介記事まで書いていました(またか)。


【雑文集】


村上春樹著、中央公論新社、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
デビュー小説『風の歌を聴け』新人賞受賞の言葉、伝説のエルサレム賞スピーチ「壁と卵」(日本語全文)、人物論や小説論、心にしみる音楽や人生の話…多岐にわたる文章のすべてに著者書下ろしの序文を付したファン必読の69編!お蔵入りの超短篇小説や結婚式のメッセージはじめ、未収録・未発表の文章が満載。素顔の村上春樹を語る安西水丸・和田誠の愉しい解説対談と挿画付。

<読む前の大使寸評>
目次を見ると翻訳に関する箇所もあり、借りる決め手になりました。

rakuten雑文集


この章はロシアの読者に向けて書かれたそうです。
村上作品の世界観が語られているので、見てみましょう。
p481~483
<自分の物語と、自分の文体>
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』という長編小説を書き上げたのは1985年のことだ。この小説のもとになったのは、その5年ばかり前に書いた「街と、その不確かな壁」という中編小説である。この「街と、その不確かな壁」という作品はある文芸誌に掲載されたのだが、僕としては出来がもうひとつ気に入らなくて()、単行本のかたちにすることなく、そのまま手つかずで放置されていた。

 いつか適当な時期が来たらしっかり書き直そうという心づもりでいたのだ。それは僕にとってとても大きな意味を持つ物語であり、その小説もまた僕によってうまく書き直されることを強く求めていた。

 でもいったいどうやって書き直せばいいのか、そのとっかかりがなかなかつかめなあった。この小説にとって必用なのは小手先だけの書き直しではなく、大きな転換であり、その大きな転換をもたらしてくれるまったく新しいアイデアだった。そして4年後のある日、なにかのきっかけで(それがどんなきっかけだったのかは今となっては思い出せないのだけど)僕の頭にひとつのアイデアが浮んだ。「そうだ、これだ!」と僕は思って、さっそく机に向かい、長い書き直し作業に取りかかった。

 この『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』という小説は、「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」という二つの異なった物語によって成り立っているわけだが、「世界の終り」の部分は中編小説「街と、その不確かな壁」の枠組みをほぼそのまま用いている。そしてそこに、新たに「ハードボイルド・ワンダーランド」という物語が付け加えられることになった。

 まったく違う二つの話をくっつけてひとつの話にしてしまおう、というのが僕の基本的なアイデアである。ふたつの話はぜんぜん違う場所で、ぜんぜん違う文脈で進んでいくのだが、最後にぴたりと噛み合ってひとつになる。どうやってそれらがひとつになるのか、それは読者にはなかなかわからない仕掛けになっている。


村上春樹『雑文集』2:安西水丸は褒めるしかない
村上春樹『雑文集』1:言い出しかねて

2017年2月の紹介箇所も付けておきます。
『村上春樹 雑文集』2:翻訳のあたりp224~226
『村上春樹 雑文集』1:物語の善きサイクルp400~403

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