村上春樹『雑文集』2

<村上春樹『雑文集』2>
図書館で村上春樹『雑文集』という文庫本を手にしたのです。
目次を見ると翻訳に関する箇所もあり、借りる決め手になりました。

ところで家に帰って調べてみると、この本を借りるのは2度目であることが分かり、2017年2月に紹介記事まで書いていました(またか)。


【雑文集】


村上春樹著、中央公論新社、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
デビュー小説『風の歌を聴け』新人賞受賞の言葉、伝説のエルサレム賞スピーチ「壁と卵」(日本語全文)、人物論や小説論、心にしみる音楽や人生の話…多岐にわたる文章のすべてに著者書下ろしの序文を付したファン必読の69編!お蔵入りの超短篇小説や結婚式のメッセージはじめ、未収録・未発表の文章が満載。素顔の村上春樹を語る安西水丸・和田誠の愉しい解説対談と挿画付。

<読む前の大使寸評>
目次を見ると翻訳に関する箇所もあり、借りる決め手になりました。

rakuten雑文集


村上さんの本の表紙には、たいてい安西さんのイラストが採用されているように・・・
両名の交流が載っているあたりを、見てみましょう。
p374~376
<安西水丸は褒めるしかない>
 安西水丸画伯について文章を書くのは、けっこうむずかしい。といっても、本当のことを言えばぜんぜんむずかしくなんかなくて、書くべきこと、描きたいことはたくさんある。桶の縁から溢れ落ちるほどる。それをただ思いつくままにすらすらと書いてしまえば簡単なのだが、それがなかなかうまくいかない。

 というのはそういうことを書くと、いつも決まって、いつも決まって、あとでなんとなく僕がやましい思いをさせられることになるからだ。たとえば、
「いや、このあいだの村上君の書いた、あの僕についての文章だけどさ、あれ、面白かったよね。でもね、えへん、いや、僕はいいんだよ。僕は、こほん、そんなことぜんぜんかまわないんだけどさ、うちの家族がなんだかちょっと気にするみたいなんだよね。つまり案内とかさ、こほ、それから娘とかさ、読んでなんだかへんな顔するんだよね、それにうちの家内の母親なんかも、えへん、ああいうのが出るとね、気にしてわざわざ電話してきてきたりするんだよね」

 というようなことが、話のついでにさりげなくちょっとでてくる。
 僕は水丸さんの奥さんには一度お目にかかって挨拶したこともある。お嬢さんには会ったことはないけれど、まだ結婚前の身である、そういう人たちが僕の書いた駄文を読んで嫌な気持ちになったり、「お父さんのことをあんなに悪く言うなんて、ムラカミってなんてひどい人なのかしら」と憤っていたりするところを想像すると(実はそんなにひどいこと書いてないないんだけれど)胸がきりきりと痛む。そのうえ奥さんのお母さんにまで心労をおかけしているかと思うと、これはなんといっても申し訳ないことである。そういうことをふと考えると、筆を持つ手が重くなるというか、キーボードを叩く手がつい鈍くなってしまうのだ。

 こういっちゃなんだけれど、水丸さんのこのへんの牽制の仕方はなかなか巧妙である。にっこりとして「いや、僕はいいんだよ。僕はいいんだけどさ・・・」というあたりがこつである。

村上春樹『雑文集』1:言い出しかねて

2017年2月の紹介箇所も付けておきます。
『村上春樹 雑文集』2:翻訳のあたりp224~226
『村上春樹 雑文集』1:物語の善きサイクルp400~403

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