『男子観察録』1

<『男子観察録』1>
図書館で『男子観察録』という文庫本を手にしたのです。
パラパラとめくってみると、ヤマザキマリの男を観察する目は、わりと硬派なんだなあ。
我が子を谷に突き落とすようなお母さんの薫陶を受けると、こんな娘になるのか♪


【男子観察録】


ヤマザキマリ著、幻冬舎
、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
地球上、もっとも珍妙で愉快な生き物、それは男。ハドリアヌス帝、プリニウス、ゲバラにノッポさんに山下達郎さん。古今東西の男を見れば真の「男らしさ」が見えてくる?世界的、はたまた極私的目線で観察し倒す新男性論。

<読む前の大使寸評>
パラパラとめくってみると、ヤマザキマリの男を観察する目は、わりと硬派なんだなあ。
我が子を谷に突き落とすようなお母さんの薫陶を受けると、こんな娘になるのか♪

rakuten男子観察録


とり・みき、といえばヤマザキと片棒を担いで創作することが多いマンガ家である。
とり・みきが解説としてヤマザキマリを語っているので、見てみましょう。
p241~243
<解説:とり・みき>
 なんと美しい文章かと思う。
 奇をてらったレトリックや流行語を使わない、まっすぐで正攻法の、しかし華美さや情動を排した抑制のきいたその筆致にまず感動する。

 内容よりも先にその表現方法に言及するのは、芝居を見た後に「よくセリフが憶えられましたね」という感想を述べるのにも似て、失礼千万なことだは重々承知している。しかもこちらは小説家や文芸評論家のような文章のプロではなく、一介のマンガ家だ。上から目線にもほどがある。

 にもかかわらず、彼女の著作の解説という機会を持つこともあまりないと思うので、ヤマザキマリの文章に漂う「品格」というのは、やはり声を大にして強調しておきたいところだ。

 もしかすると、テレビのコメンテーターとしての彼女や、ほぼ語りおろしの文体で綴られている新書でしかマザキマリを知らなかった読者には、一見硬質で改行も少なく漢字熟語の多い本書のようなエッセイは意外に映ったかもしれない。

 テレビやラジオに登場するマザキマリは、まるで速射砲のように短時間最大パワーで内なる情動を一気にさらけ出す。くだけた言葉でいえば「おしゃべり」で「ガラッパチ」で遠慮なくもの申す、しかし親しみやすいキャラクター、というのが多くの人にとっての彼女のイメージだろう。

 だが本書のようなエッセイでは、彼女は冷静に言葉を選択し、立場の異なる相手の価値観にも目を配る。一部の外国生活者にときおり見られる、片方との比較によって片方をおとしめる出羽守的なレトリックもない。

 そもそも形容過多な感情よりも事実の記述によって自分の想いを伝える、という方法を彼女はとるが、それは本来の意味でハードボイルドの手法であり、おの源流となった、彼女が敬愛する作家ヘミングウェイの文体にも通ずるものがある。

 選択する言葉も、どちらかと言えば70年代以前の日本文学を思わせるような語彙が多く、若い読者には古風に映るかもしれない。外国在住なのに外来語が少ないのも特徴的で、僕などはしゃべりや文章原稿に不必要なカタカナ語が多いことを、しばしば彼女から指摘されたりする。

 ヤマザキマリの書くこうした文章は、彼女が10代で渡欧する以前の基礎的な読書歴に加え、現代日本の余計な情報が遮断あれた異国での日本文学・海外文学の純粋培養的な摂取体験が影響いているのは間違いないが、読むこちらは、ヤマザキ渡欧のバブル時代から日本版ロスジェネ時代にすっかり失われてしまった日本語の品格を、テレビでバスタオル一丁で温泉につかっているマンガ家の文章によってあらためて教えられる、という不思議な感覚になる。


『国境のない生き方』1

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