『たちどまって考える』1

<『たちどまって考える』1>
本屋の店頭で『たちどまって考える』という新書を手にしたのです。
パラパラとめくってみると、ヤマザキマリの最新評論集のような本になっています。
これは図書館予約している場合ではないでえ・・・ということで、衝動買いしたわけでおます。


【たちどまって考える】


ヤマザキマリ著、中央公論新社、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
パンデミックを前に動きを止めた社会。世界を駆ける漫画家・ヤマザキマリもこれほど長期間家に閉じこもり、自分や社会と向き合ったのは初めてだった。しかしその結果「たちどまることが実は必要だったのかもしれない」という想いにたどり着く。ペストからルネサンスが開花したようにまた何かが生まれる?混沌とした日々を生き抜くのに必要なものとは?自分の頭で考え、自分の足でボーダーを超えて。あなただけの人生を進め!

<読む前の大使寸評>
ヤマザキマリの最新評論集のような本になっています。
これは図書館予約している場合ではないでえ・・・ということで、衝動買いしたわけでおます。

rakutenたちどまって考える



「第4章 パンデミックと日本の事情」でパンデミックが語られているので、見てみましょう。
p195~197
<漫画家のくせに>
 私は10代半ばからイタリアへ渡り、油絵と美術史を学びました。それから外国人の家族を持ち、古代ローマ史と日本の比較文化漫画を描き、数ヶ国に暮らしてきた経験があることから、テレビや雑誌、WEBメディアなどで、自分の考えや意見をしゃべらしていただく機会があります。

 そこではもちろん専門家とは違う、私なりの視点を通じて考えたことを述べるようにしていますが、4月に放送されたパンデミックに関する番組に出演した際、「漫画家がこんなところに出てきて、偉そうなことをしゃべるな」といった反応がSNSにあがっていたそうです。「漫画家は漫画だけ書いてりゃいいんだよ」という書き込みは頻繁なのであまり気にしてはいませんが、それにしても「漫画家は漫画だけ」という短絡的な見解には考えさせられてしまいます。

「#検察庁法改正案に抗議します」のリツイートが話題になったときも、そのハッシュタグをつけた人たちを中心に「俳優や歌手である前に、人間であることをなぜ注視してもらえないのか」といった議論が起きていました。「有名人は発信力があるからダメ」ということだとしたら、そんな発信にいとも簡単に影響される人にも問題はあるわけです。
(中略)
 
<異質な人を排除する脆弱性>
 自分たちが考えている意見と違った言動をする人は、動揺のもととなり、不安を募らせる存在以外の何者でもない。特に日本は、自分たちの共同体にとってそういった異質性をもった人間を排除しようとする力学が働きやすい社会です。

 パンデミックにおいても、医療従事者の家族を遠ざけたり、感染者を差別したりする動きが指摘されていましたが、そうしたことも感染リスクへの心配以前に、異質なものへの拒否反応からきているのではないでようか。

 日本文学の大家だったドナルド・キーンさんは、2011年の東日本大震災をきっかけに日本国籍を取得しました。日本を愛するゆえに、と聞いていましたが、そこにはある強い覚悟もあったと亡くなられたあとに知り、驚いたものです。生前アメリカの友人に送ったというキーンさんのメールニュウースガ番組で取り上げられたことがありましたが、そこには彼の言葉で「日本の人は、私がいかに日本を愛しているいるかを語ったときしか、耳を傾けてくれません」といった内容が綴られていたと報じられていました。

 キーンさんは、近年の日本が戦争の教訓を忘れつつあることへの懸念と、「日本が大好きだから、アメリカ人でなく、日本人として責任をもって批判的なことでも意見ができるように」という、民族的先入観を払拭するべく帰化した方です。

 日本を深く理解しようとするキーンさんの姿勢には真摯さしか感じられませんが、それでも彼が日本への批判を口にすれば「アメリカ人に言われたくない」と叩く人が出てくる。その分類は「漫画家のくせに」と同様で短絡的です。


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