『サル化する世界』9

<『サル化する世界』9>
図書館に予約していた『サル化する世界』という本を、待つことおよそ5ヵ月で、ゲットしたのです。
内田先生には毎度「内田樹の研究室」の紹介を務めている太子である。この本には期待できそうやでぇ♪


【サル化する世界】


内田樹著、文藝春秋、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
現代社会の劣化に歯止めをかける、真の処方箋!堤未果氏との特別対談も収録。
【目次】
1 時間と知性/2 ゆらぐ現代社会/3 “この国のかたち”考/4 AI時代の教育論/5 人口減少社会のただ中で/特別対談 内田樹×堤未果 日本の資産が世界中のグローバル企業に売り渡されるー人口減少社会を襲う“ハゲタカ”問題

<読む前の大使寸評>
内田先生には毎度「内田樹の研究室」の紹介を務めている太子である。この本には期待できそうやでぇ♪

<図書館予約:(3/25予約、9/02受取)>

rakutenサル化する世界



「失われた20年」が語られているので、見てみましょう。
254~256
<「失われた20年」の迷走>
Q:目標の100ヵ国支持には遠く及ばず、共同提案国は32ヶ国程度にとどまりました。

内田: アジアではブータンとモルジブとアフガニスタンの3ヶ国しか支持してくれなかった。日本はアジア、アフリカにODAをばらまいていましたから、それらの国々からはそれなりに信頼され、期待されていると思い込んでいたけれど、実はまったく人望がなかった。金はあるけれど、政治的にはただのアメリカの属国に過ぎないと思われていた。

 国際問題について日本の固有の見識なり、独自のビジョンがあるとは誰も思っていなかった。「日本が常任理事国になってもアメリカの票が1票増えるだけだから、意味がない」という指摘に、日本政府は一言も反論できなかった。

 戦後60年ひたすら対米従属に勤めることで日本は国力をつけて、国際社会で重要なプレイヤーになったつもりでいたわけですけれど、まさに「ひたすら対米従属に勤しんで
きた」がゆえに、世界中のどこの国からも一人前の主権国家だとは思われなくなっていた。まことに悲劇的なことでした。

 ここ十数年の日本の迷走は、このショックがずっと尾を引いているせいだと思います。92年のバブル崩壊で「金で国家主権を買い戻す」というプランが崩れ、2005年の常任委員国入りプランが水泡に帰して、経済大国としても、政治大国としても、国際社会の中で果たすべき仕事がなくなってしまった。

「失われた20年」と言いますけれど、日本が中国に抜かれて42年間維持してきた世界第2位の経済大国のポジションを失ったのは2010年のことです。バブル崩壊から20年近く、日本はそれでも世界第2位の金持ち国家だったんです。

 でも、その儲けた金をどのような国家的目標のために使うべきなのかがわからなくなってしまった。「腑抜け」のようになったビジネスマンの間から、「自分さえよければそれでいい。国のことなんか知るかよ」というタイプの「グローバリスト」が登場してきて、それがビジネスマンのデフォルトになって一層国力は衰微していった。それが今に至る流れだと思います。

Q:なるほど

内田: 経済って結局は人間が動かしているんです。システムが自存しているわけじゃない。生きた人シ¥ステムに正気を供給してゆかないと、どんな経済システムもいずれ枯死してしまう。経済システムが健全で活気あるものであるためには、その活動を通じて人間が成熟するような仕組みであること、せめてその活動を通じて国民的な希望が賦活されていることが必須なんです。

 だから「エコノミック・アニマル」と罵られた高度経済成長期のビジネスマン」モ、ベンツ乗って、アルマーニ着て、ドンペリ抜いていたバブル期のおじさんたちも自分たちが国家的な目標を達成すべく経済活動をしているのだという正当化ができた。「オレたちはただ金儲けしているわけじゃないよ。お国のために戦っているんだ」という大義名分を自分でもある程度は信じていた。マンハッタンのロックフェラーセンターを買ったり、コロンビア映画を買ったり、フランスでシャトーを買ったり、イタリアでワイナリーを買ったりしていたけれどあれは「われわれは金で欲しいものはすべて買えるくらいに偉大な国になったんだ」と舞い上がっていたんです、
(中略)

Q:「失われた20年」を経て、いま日本人が希望をもてる道筋とはなんでしょうか。

内田: 国民的な目標として何を設定するか、まことに悩ましいところです。ダウンサイジング論や平田オリザさんの「下り坂をそろそろと下りる」という新しいライフスタイルの提案は、その場しのぎの対症療法ではなく、人口減少社会の長期的なロードマップを示していると思います。

 先進国中で最初に、人類史上はじめての超高齢化・超少子化社会に突入するわけですから、日本は、世界初の実験事例を提供できるんです。人口減少社会を破綻させずにどうやってソフトランディングさせるのか。その手立てをトップランナーとして世界に発信する機会が与えられた。そう考えればいいと思います。その有用な前例を示すのが日本にあたえられた歴史的責務だと思います。

 これから日本が闘うのは長期後退戦です。それをどう機嫌よく闘うのか、そこがかんどころだと思います。やりようによっては後退戦だって楽しく闘えるんです。高い士気を保ち、世界史的使命を背中に負いながら堂々と後退戦を闘いましょうというのが僕からの提案です。


『サル化する世界』8:高齢者問題
『サル化する世界』7:よくわからないまえがきp5~11
『サル化する世界』6:タフな物語の必要性
『サル化する世界』5:母語が生む新語・新概念
『サル化する世界』4:堤未果さんとの対談
『サル化する世界』3:対独協力国だったフランス
『サル化する世界』2:China Scare―中国が怖い
『サル化する世界』1:なんだかよくわからないまえがきp3~4

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