『日中海上決戦』

<『日中海上決戦』>
図書館で『日中海上決戦』という本を、手にしたのです。
現実は、台湾沖から尖閣沖にかけて中国軍の大型コーストガードの跳梁は、この小説の想定を越えているのではないかと思ったりするわけで。


【日中海上決戦】


喜安幸夫著、学研パブリッシング、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
平成27年、トカラ列島の横当島に中国のステルスUAV(無人偵察機)墜落した。領海侵犯して残骸回収を急ぐ中国潜水艦に、尖閣沖の漁船衝突事件を契機に組織改革に成功した自衛隊が即時に反応。F-2戦闘機を護衛に島嶼防衛のレンジャー部隊・西普連を向かわせた。だが、またも記録映像を隠蔽する親中派与党政府の弱腰に乗じ、空母を就役させた中国は尖閣、さらに沖縄の領有まで宣言するー。その時、日本は?周辺諸国は。

<読む前の大使寸評>
現実は、台湾沖から尖閣沖にかけて中国軍の大型コーストガードの跳梁は、この小説の想定を越えているのではないかと思ったりするわけで。

rakuten日中海上決戦


この本の冒頭部あたりの語り口を、見てみましょう。
p10~14
古代帆船とステルスUAV 
「あっ、見えた。あの島ですか」
 船体が上昇し、ベトナムの士官が小さな島影を指さした。船体が下がり、すぐに見えなくなった。一同はなおも視線を右舷前方に向けている。いずれも半ズボンに上半身は裸で、頭にはノンラーといわれる円錐形の藁で編まれたベトナムの葉笠をかぶっている。ベトナム語でノンは笠でラーは葉の意味である。ジャカルタを出航するとき、
「・・・きっと役に立ちますよ」

 インドネシア在住のベトナム人から贈られたものだ。すごく役に立っている。だがチーク材の船に上半身裸で、ノンラーをかぶって甲板で手を振っていたら、通りかかったタンカーや貨物船の船員たちは、一瞬1970年代のベトナム戦争の難民船を連想するかもしれない。しかしそれは、遠い昔の出来事である。いま東アジアの情勢は、当時とはまったく異なった展開を見せているのだ。

「おぉ!」
 ノンラーをかぶった男たちは一斉に振り返り、視線を海上から空へ向けた。だ。
(おかしい!)

 海自幹部も含め海軍士官らはジェットエンジン音に直観した。やはりそうだった。飛行物体は煙を引いている。かすかに火も見える。

「えっ? あれは!」
 思わず谷本船長が疑問を投げたのは、飛行物体の引く火炎に対してではない。その形状に対してだった。軍人ではない谷本にも、それが数百メートルの低空を飛び、翼が本体に対して異常に長く、通常の戦闘機よりも小型であることは分かる。
「ジェットUAV!」

 叫んだのは海自幹部だった。無人飛行機(UAV)だ。海自幹部の声が叫びになったのは、それが自衛隊のものでも米軍のものでもないからだった。
「チャイナ!」
「ここは鹿児島県では!」

 インドネシア仕官の声にベトナム士官の声がつづいた。係争地でもない日本の領海上空に中国のUAVが飛来・・・甲板の男たちがそれを直観するには根拠があった。

 中国が自国史上初の航空母艦施ロウを浸水させたのは、今年2015年2月19日(木)だった。この日、旧暦の元旦である。中国や台湾を含めた東南アジア諸国では、この日が実感として新年の始まりである。

 中国政府はわざわざこの日に、空母の進水を合わせた。この演出にチベットやウィグルを除いた中国国内は、1964年に初の原爆実験成功の時に匹敵するほどに沸きかえり、台湾や東南アジア諸国へのインパクトも大きかった。

 施ロウを中心とした中国初の航母機動艦隊は、浙江省寧波に司令部を置く東海艦隊に配属され、初の外国親善訪問先に選んだのが、ロシアのウラジオストックだった。どの国に威容を示したいのか明らかである。
(中略)

“敵”潜水艦 
 ・・・中国軍はすでにジェットUAVを実戦配備し、有効につかっている
 ・・・相当高度なもので、攻撃能力も?
 国際軍事筋で噂され、その実体はベールに包まれている。ハティ・ク・ハティ号の3ヶ国海軍士官・海自幹部たちの脳裡に走ったのは、
(施ロウより発進した)

 性能の優れたUAVなら考えられることだ。空母より発進し、トラブルがなければ自立飛行でまた空母に帰艦する。しかもステルスなら・・・。日中中間線からは往復およそ八百キロの距離だ。その高度な性能は、インドネシアとベトナム、日本、さらに台湾、フィリピン、タイ、マレーシアなど東アジア諸国にとっては、中距離ミサイルに匹敵する脅威となる。



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