『ペンの力』3

<『ペンの力』3>
図書館で『ペンの力』という新書を手にしたのです。
おお 「政治と文学」をめぐる巨頭の緊急対談ってか・・・これは興味深いのでおます。



【ペンの力】


浅田次郎×吉岡忍、集英社、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
戦後70年間、暗黙のうちに、政治的な立場を表明せずに中立を保つことが作家のとるべき理想的態度とされてきた。だが、特定秘密保護法案やいわゆる「共謀罪」が可決され、言論の自由が岐路に立たされつつあるいま、「政治と文学」をめぐる従来的なスタンスは根本から問い直されている。閉塞感にあふれた「もの言えぬ時代」の中で、日本ペンクラブ前会長・浅田次郎と現会長・吉岡忍が、もはや絵空事とはいえなくなった「言論弾圧」の悪夢に対して警鐘を鳴らした緊急対談。

<読む前の大使寸評>
「政治と文学」をめぐる巨頭の緊急対談ってか・・・これは興味深いのでおます。

rakutenペンの力


第6章でエネルギーや環境問題あたりを、見てみましょう。
p198~202
<第6章 それでも私たちは戦争に反対する>
■ソ連のチェルノブイリ原発事故
吉岡:福島へは、ペンクラブの面々もずいぶん行きましたよ。そうね、スリーマイルやチェルノブイリのときは、どうだろう、何か声明みたいなものを出しているのかしら。

浅田:ペン小史を読んでいるんですけど、出てこないですね。信じられないな。

吉岡:いずれにしても、よくも悪くも世界が身近になって、北朝鮮のミサイルと核開発や中国の言論状況はもちろん、世界中のテロと世界と難民問題でも、エネルギーや原発問題でも、何かすべてがつながって、日本の問題、ペンクアブの課題になってくる。そんな時代ですね。

浅田:そうなんでしょうね。だから、ある意味、井上ひさし会長時代から、ちょこちょこそういうことを、ペンクラブでやり始めた。

吉岡:やっぱり9.11があったからですよ。冷戦崩壊後のグローバリズムの・・・あれは一つの帰結ですね。

浅田:9.11があったから。

■地球環境問題
吉岡:さっき言ったように、梅原猛会長の時代にね、地球環境ということを積極的に言い始めたんですよ。むろん戦争は最大の環境破壊である、と言うことも可能なので、それ以前から意識はされていたとも言えるんですが。

 でも、例えば、石牟礼道子さんの『苦海浄土』をどう受け止めたのか。あの作品はチッソの水銀汚染だけじゃなく、人間と歴史の関係、文明のあり方の問題まで、魂に触れるような言葉で描いていますが、それがペンのなかで問題になったという話はあまり聞いてないですね。

浅田:環境問題というのも、僕もずっと覚えているけれども、いろいろな問題が積み上げられてきたよね。
 でも、それは、どこかで、原発の肯定にすり変わったんだよ。原発が一番クリーンなエネルギーであるという話に変わったんだよ。

吉岡:ああ、そうだね。使用済み核燃料を10万年も保管しつづかなきゃいけない、なんていう問題はなかなか頭に浮ばなかったんですもんね。

浅田:何かね、あそこが、やっぱり一つの分岐点だったね。

吉岡:いや、3.11で福島原発事故が起きたあと、ペンの主催で、日比谷の日本プレスセンターで集まりをやりましたよね。会員同士、ペンは原発問題についてどう考えるのかを議論した。
 その会場で、会員のなかから、東京電力の原発キャンペーンのCMに出ていたような会員を除名すべきだ、という意見が出たでしょう。何人も賛成者がいて、ちょっともめたことがありました。

浅田:あった。

吉岡:どう考えるんだと言われて、壇上に、浅田さんや僕もいて・・・。

浅田:つるし上げられたな。

吉岡:そうとう批判されましたよ。でも、その場で答えなきゃいけない。
 僕が言ったのは、僕自身は原発に反対だ、と。だけど、原発に賛成した人を追い出す、除名する、そういう組織のあり方がいいとも思わない、ということね。僕だって、いまこうやってしゃべっていることが、いつか間違いだったと気づくことがあるかもしれない。誰だって、何かを間違えることがあるんだから。

 それはね、言論表現の自由を主題とする団体として、いつも考えておかなくちゃいけないことだと思うんですよ。対話する、議論する、考える、そういうなかで間違いなら間違いを修正していく、やっぱりそれがペンのあり方なんじゃないか。

 もちろん会員もそのことは十分理解しているから、その場はそれで収まりましたけど、あのときはペンの存在意義が問われているな、と感じました。逆に言えば、それだけ原発問題を僕らがちゃんと考えてこなかった、ということでもあったんですけどね。

浅田:3.11の前までは、原発論議は、環境問題に押しまくられていたよ。

吉岡:そうでしたね。

浅田:むしろ問題は、火力発電のCO2をいっぱい出す問題とかさ、水力発電の自然破壊だとかさ。

吉岡:温暖化問題ですね。

浅田:そう、そう、そう。そういうふうに言われていたから。 あのね、僕は、もちろん、原発には反対ですけれども、それ以前にあまり言われてないことなんだけれども、あるにしても、数が多過ぎる問題。


『ペンの力』2
『ペンの力』1

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