『ペンの力』1

<『ペンの力』1>
図書館で『ペンの力』という新書を手にしたのです。
おお 「政治と文学」をめぐる巨頭の緊急対談ってか・・・これは興味深いのでおます。



【ペンの力】


浅田次郎×吉岡忍、集英社、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
戦後70年間、暗黙のうちに、政治的な立場を表明せずに中立を保つことが作家のとるべき理想的態度とされてきた。だが、特定秘密保護法案やいわゆる「共謀罪」が可決され、言論の自由が岐路に立たされつつあるいま、「政治と文学」をめぐる従来的なスタンスは根本から問い直されている。閉塞感にあふれた「もの言えぬ時代」の中で、日本ペンクラブ前会長・浅田次郎と現会長・吉岡忍が、もはや絵空事とはいえなくなった「言論弾圧」の悪夢に対して警鐘を鳴らした緊急対談。

<読む前の大使寸評>
「政治と文学」をめぐる巨頭の緊急対談ってか・・・これは興味深いのでおます。

rakutenペンの力


第4章で日中戦争期あたりを、見てみましょう。
p117~121
<第4章 日中戦争期の戦争と文学>
吉岡:僕は先の大戦が終わってから生まれた戦無派だけど、学生時代にベトナム反戦運動をやって、そのあと戦争が終わってから、ベトナムのソンミ村とか、パレスチナとか現場に足を運びました。旧ユーゴの民族紛争、スーダンの内戦、9.11同時多発テロ直後のニューヨークなどもみてきたんです。

 イスラエルやパレスチナが怖いのはね、あのあたりは周囲が岩なんですよ。建物も石でしょう。そうすると、僕ら、防弾チョッキを着て現地へ行くんだけど、そのとき、気をつけなければいけないのは、前から来る弾じゃなくて、跳ね返ってくる弾。

浅田:ちょうだんと読む。漢字で書くと、跳ねる弾。

吉岡:跳弾っていうんですか、あっちそれて飛んでいった弾が跳ね返ってくるんだ。あれに気をつけろって言われて。だけど、防弾チョッキって、ここがあいているんですよ、脇が。前と後は防弾するんだけど、あいているこおこから銃弾が飛び込んでくるから、おまえ、気をつけろって言われるんです。

浅田:よく行くね、そんなところ(苦笑)。

吉岡:先ほどの上海、南京、ジョシュウの戦いは、最後は白兵戦ですよね。それだって、相当怖いですよ。よく戦場に行ったと思うね。

浅田:何で、あの戦争をやめられなかったんだろうなぁ。つくづく考える。日中戦争だけは、いくら考えても、ほんとうに謎の戦争だ。大義がないんだよ。だから、何のための戦争か、兵隊は考えていたと思うよ。何のために、この戦争をしているのかなぁということは。

 阿倍普三首相が、この間の安保法制の論議で在留邦人の保護と言ったときに、どこかで聞いた言葉だなと思ったんだ。その昔は居留民保護って言った。

吉岡:そうそう。

浅田:昔からね。上海事変の出兵だって、居留民保護って、最初に言った。あれは理由として、言っちゃいけないと思う。もちろんわかるよ、でも、居留民保護というのは、きわめて容易に出兵の理由となる。

吉岡:それですぐ頭に浮ぶんだけどね。清沢冽という評論家がいたじゃないですか。まだちょっとだけ言論の自由があった時代に、島崎藤村などと一緒に日本ペン倶楽部をつくる(1935年)少し前、その居留民保護についてこんなことを言っています。

 つまり、居留民保護を名目に軍隊を出すときの「ソロバン勘定」をしてみろって。
確かに居留民は中国にいた。だけど、それを助けるといって、万の単位の兵隊を送り出すのにいくらかかるんだ、と。軍隊を動かすときの費用は半端じゃないから、財政は逼迫する、出兵した兵士の何人かは確実に死ぬだろう。
(中略)

 それでも出兵することがソロバンに合うのか、国策として正しいのか、よく考えるべきだ、というのが彼の主張ね。愛国心はソロバンに合わない、というのが清沢の結論です。



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