(文化の扉)ルビ 小さな働き者

<(文化の扉)ルビ 小さな働き者>
2/04朝日の(文化の扉)で振り仮名について述べられているので、スクラップしたのです。
更に、ブログにも残そうということで、コピペしたのだが・・・
ダブル保管となり、いっこうにペーパーレスにならないのでおます。


(2019.2.04デジタル朝日からコピペしました)


漢字の読みにとどまらず、言葉遊びなど何でもござれ。文字の脇に小さく寄り添う振り仮名だけど、日本語の歴史のなかでは「影の主役」といっても過言ではない存在感を放っている。知っているようで意外と知らない、その真価に迫る。

 振り仮名は、どのようにして誕生したのだろうか。謎を解くため、『振仮名(ふりがな)の歴史』の著書がある清泉女子大学の今野真二教授(日本語学)を訪ねた。
 「振り仮名には日本語の面白さが凝縮されている。振り仮名の歴史をたどっていけば、より大きな日本語の歴史が見えてきます」。その言葉に従って、まずは古代へと目を向けよう。

 日本には初め、中国から伝来した漢字しか文字がなかった。そこへ、日本独自の仮名が生まれる。だが、この二つの文字はタイプが違った。漢字は意味を表す「表意文字」で、仮名は音を表す「表音文字」。これらを併用したことが、すべての始まりだったと今野教授は言う。
 「和語と漢語がミックスされて、日本語ができあがった。それらを橋渡しするために出てきたのが、振り仮名です」
 起源は定かではないが、平安時代、漢文を読むために付した「訓点」がルーツとされる。その後、広く使われるようになったのは室町時代から。この時点では、漢字の「読み」としての振り仮名がほとんどだった。

     *
 江戸時代に入ると、読本など戯作の世界で「表現」としての振り仮名が花開く。滝沢馬琴は「南総里見八犬伝」のなかで、さらし首を意味する獄門を、あえて同じ意味の梟首(きょうしゅ)と書いて、文字の左右に意味と読みとを振り分けた。書き手の使いたい漢字ありきの表現だ。
 その流れは明治期にも受け継がれ、文豪の泉鏡花は、すべての漢字に振り仮名を付す「総ルビ」で小説を書いた。さらに創作に限らず、振り仮名は新聞などメディアでも大活躍。だが、それに異を唱える者もいた。

 作家の山本有三は、1938年に発表した小説『戦争と二人の婦人』の巻末で、「ふりがな廃止論」を展開。振り仮名を「黒い虫の行列」と呼び、義務教育を受けさえすれば、国語はそのままで読めなければならないと主張した。山本は戦後の国語改革にも携わり、46年には漢字の使用を制限する「当用漢字表」が公布される。そこには、「ふりがなは、原則として使わない」とも書かれていた。

     *
 教育の観点から漢字や振り仮名の整理が進む一方、表現者からは反対の声も上がった。作家の井上ひさしは、81年に出した『私家版 日本語文法』のなかで、「振仮名損得勘定(ルビはそんかとくかをかんがえる)」と題した一文を発表。知識や知的な楽しみは振り仮名によって世の中に広がったとし、「働き者の黒い虫たちにこれ以上、駆除剤を撒(ま)くと日本語はバラバラになってしまう」と訴えた。

 そして現代、振り仮名は文章の電子化によって再び岐路に立たされている。文書作成ソフトごとに設定が異なり、互換性も悪い。未来はあるのだろうか。
 「小さい活字を使った明治の活版印刷だって、すでに面倒くさかったはず。面倒だけど、どうしても使ってしまう。二つの文字を使い続けた民族の精神性なのでしょう」と今野教授。黒い虫とは案外、我々自身なのかもしれない。(山崎聡)

 ■異質なものだと実感 作家・円城塔さん
 昨年刊行した小説『文字渦』のなかで、本文とは別の文章を振り仮名で書きました=図参照。ルビにはずっと興味があって、変だなと思っていたわけです。
 昔は手書きだからルビに何を書いても自由でしたが、いまは電子版がある以上、何でも野放図にやっていいわけではない。現行の仕様に沿った制限があります。

 『文字渦』では、本文1文字につくルビは2文字、そのうち上の文字に句読点がこないようにプログラムを書いて、合っているかどうかを確かめながらやりました。だから電子書籍で文字の大きさを変えても、行頭にルビの句読点はこないんです。
 人間の認知機構も変で、本文を読もうとしてもルビに目が行ってしまうから意外と読めない。普段は気にしていないものこそが、異質なものなのだと実感しました。

 <訪れる> 仙台文学館(仙台市青葉区、022・271・3020)は、井上ひさしの自筆原稿の一部を所蔵する。東北弁に似た独特の方言を振り仮名で表現した小説『吉里吉里人』のほか、振り仮名を使って複数の方言話者を書き分けた戯曲「國語元年」など。事前に申し込みをすれば閲覧もできる。


以前読んだ『文字渦』を紹介します。

【文字渦】


円城塔著、新潮社、2018年刊

<出版社>より
昔、文字は本当に生きていたのだと思わないかい? 秦の始皇帝の陵墓から発掘された三万の漢字。希少言語学者が遭遇した未知なる言語遊戯「闘字」。膨大なプログラミング言語の海に光る文字列の島。フレキシブル・ディスプレイの絵巻に人工知能が源氏物語を自動筆記し続け、統合漢字の分離独立運動の果て、ルビが自由に語りだす。文字の起源から未来までを幻視する全12篇。

<読む前の大使寸評>
「紙の動物園」のような言語学的SFが大使のツボであるが、この本はそれよりもさらに学術的であり・・・果して読破できるか?と、思ったりする。

<図書館予約:(9/05予約、10/16受取)>

rakuten文字渦
『文字渦』3:新字の謎
『文字渦』2:「第5回遣唐使」
『文字渦』1:CJK統合漢字


(文化の扉)ルビ 小さな働き者2019.2.04

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