『BOOK MARK』1
<『BOOK MARK』1>
図書館で「BOOK MARK」という本を手にしたのです。
表紙のコピーにも「翻訳者による海外文学ブックガイド」とあり、つい借りたのでおます。
翻訳とは和文からの訳、和文への訳があるわけで・・・
宇治拾遺物語の翻訳を見てみましょう。

太子も『星の王子さま』の原書をもっているので、気になるのです。
図書館で「BOOK MARK」という本を手にしたのです。
表紙のコピーにも「翻訳者による海外文学ブックガイド」とあり、つい借りたのでおます。
【BOOK MARK】 ![]() 金原瑞人×三辺律子編 、CCCメディアハウス、2019年刊 <商品の説明>より 「もっと海外文学を!」「翻訳物っておもしろい!」読めば一生忘れられない。心にぐっとくる204冊。 ・これがお勧め、いま最強の十七冊 ・本に感動、映画に感激 ・まだファンタジー?ううん、もっとファンタジー! ・えっ、英語圏の本が一冊もない!? ・過去の物語が未来を語る ・明日が語る今日の世界 ・眠れない夜へ、ようこそ ・やっぱり新訳! ・顔が好き ・わたしはわたし、ぼくはぼく ・Listen to Books! ・これ、忘れてない? <読む前の大使寸評> 表紙のコピーにも「翻訳者による海外文学ブックガイド」とあり、つい借りたのでおます。 rakutenBOOK MARK |
翻訳とは和文からの訳、和文への訳があるわけで・・・
宇治拾遺物語の翻訳を見てみましょう。
<気合と気合と気合と:町田康>p152~153 子どものころ。杉田玄白や前野良沢といった昔のお医者さんが、やはり西洋の医学を勉強しないとどうにもならない、というので、「ターヘル・アナトミア」というオランダの医学書を翻訳したときの苦心談などを記した、「蘭学事始」のエピソードを子ども向けに書いた読み物を読んだ。 それでわからなかったのは、辞書もなく、あまりオランダ語がわかららない人たちが、いったいどうやってこれを翻訳したのかということで、子どもの私が読んだ本では、気合い、ということになっていた。 つまりみんなで集まって頭を揉みながら考え、起きているときも寝ているときもそのことを思い詰めるいち、ふと電光の如くに思案が浮んで、その場にいるみんなの頭の中が、暗闇に電灯が灯ったようにパッと明るくなり、訳語が浮んでくるというのである。そんなことってでもあるのだろうか。と私は子どもながら訝った。 それから四十数年経って河出書房新社が「日本文学全集」を出すことになり、「おまえは宇治拾遺物語を翻訳しろ」といわれた。「へい、ようがす」と威勢よく引き受けて、さあ、困った。というのは、私は学校で古文を少し習ったきりで、それも余のことに気を散らせて先生の話をちゃんと聞いておらなかったため、少しも古文が読めぬのである。 それでも引き受けた以上はやらないとようがないのでやるうちに、わからない文章にも、ほとんどわからないところとまったくわからないところがあるが、まったくわからないところが一つわかると、ほとんどわからないところがかなりわかる、ということがわかってきた。 つまり、大事なのはまったくわからないところで、そこがわかればボンヤリしていた全体がクリアーになるのである。ただし、まったくわからないところはまったくわからなく、ほとほと困り果てたとき私は、四十年前に読んだ、着合い、の一件を勃然と思い出し、これでいったらどうだろうかと考え実行した。 それが正しいか間違っているか、それはわからない。私にはなにもわからない。ただただ無意味な気合を張らせて暗闇で力んでいる。タアアアッ。 |

太子も『星の王子さま』の原書をもっているので、気になるのです。
<『星の王子さま』:河野万里子訳>p154 この物語を初めて読み通したのは、大学一年が終わった春休みのことだった。授業で部分的に使った原書が手元にあったので、子どものころ日本語版は読みきれなかったっけと思い出しながら、なにげなくフランス語で読み始めたのだ。 そして、驚いた。印象がまるで違う。テンポはいいし、時々くすっと笑えるし、胸に沁みる言葉もいっぱい。若かった私は、心の奥に孤独な気持ちや挫折感や、未来への焦りを抱えていたのだが、そんな内面を包んで、前を向かせてくれるやさしさに満ちていた。 それから四半世紀。そんな私が、新訳の訳者になろうとは。当時に立ち返るように、私は心を躍らせて日本語にしていった・・・プライドの陰で愛を伝えきれなかったバラ。ちょっとハードボイルドなヘビ。恋する人のような繊細さと、大事な人を支えようとする知恵をあわせ持つキツネ。 純粋で毅然とした王子さま・・・生と死と愛、そして「いちばんたいせつなこと」をそっとおしえてくれるこの一冊が、今度は読んでくれる人の内面を包む“心のお守り”になってくれたらと、願いながら。 |
この記事へのコメント