ミヒャエル・エンデ著『モモ』6

<ミヒャエル・エンデ著『モモ』6>
駅前のバザーでミヒャエル・エンデ著『モモ』という文庫本を、手にしたのです。
お値段は100円という「持ってけ泥棒」値段であり、汚れもない状態であり・・・
即、購入したのです。
ぱらぱらとめくると・・・
エンデ自筆の挿絵も載っていて、サービス満点でおます♪


【モモ】


ミヒャエル・エンデ著、岩波書店、2005年刊

<「BOOK」データベース>より
町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります…。「時間」とは何かを問う、エンデの名作。小学5・6年以上。

<読む前の大使寸評>
お値段は100円という「持ってけ泥棒」値段であり、汚れもない状態であり・・・
即、購入したのです。
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rakutenモモ



第7章で灰色の紳士たちについて、見てみましょう。
p143~146
<7章 友だちの訪問と敵の訪問>
 けれどもモモは、こわがっちゃいけないとじぶんに言いきかせました。そしてありったの力と勇気をふるいおこして、灰色の紳士の心がひそんでいる手ごたえのないやみのなかに、まっしぐらに入っていきました。

 このモモのようすを、灰色の紳士は横目でうかがいながら観察していました。モモの顔つきにあらわれた変化を、見のがしませんでした。そして灰色の葉巻のもえさしから新しい葉巻に火をうつしながら、ひにくっぽくにやりと笑いました。

「むだな骨折りはやめたほうがいいよ」男は言いました。「われわれに立ちむかうなんて、できるわけがないからね。」
 モモはあきらめませんでした。
「それじゃ、あんたのことがすきな人は、ひとりもいないの?」と、ささやき声でききました。

 灰色の紳士は背中をまるめて、きゅうにがっくりうなだれました。そしてややたってから、灰色の声でこたえました。
「きみみたいな人間には、いままでお目にかかったことがないな、ほんとにはじめてだ。わたしはたくさんの人間を知っているんだがね。きみみたいな人間がもっとたくさんいたら、われわれの時間貯蓄銀行はすぐにつぶれちゃって、われわれじしんも消えてしまう・・・生きるてだてがないからな。」

 外交員はふいに口をつぐんで、モモをまじまじと見つめました。じぶんにもよくわからない、手におえないなにかと、けんめいにたたかっているようでした。灰色の顔がいっそうに灰色になっています。

 男はふたたび話しはじめましたが、そのようすは、話すまいとしてもことばのほうがかってにでてきてしまってとめようがない、といったようすです。われとわが身におこったこのできごとに愕然として、ますます顔をゆがめました。でもモモには、ついに男の内心のほんとうの声が聞こえてきました。

「われわれは正体をかくしておかなくてはならないんだ」と、とおくからひびくように声が聞こえます。「われわれがいることも、していることも、だれにも知られてはいけない。・・・われわれはどんんあ人間の記憶にものこらないように気をつけている・・・知られないでいるあいだしか、仕事ができない・・・むずかしい仕事だ、人間から生きる時間を一時間、一分、一秒とむしりとるんだからな・・・人間が節約した時間は、人間の手にはのこらない・・・われわれがうばってしまうのだ・・・われわれは時間に飢えている・・・ああ、きみたち人間ときたら、じぶんたちの時間のなんたるかを知らない!・・・だが、われわれは、われわれは知っていて、きみたちの時間をとことんまでしゃぶりつくすのだ・・・それも、もっとももっとたくさんいるようになる・・・もっとももっとだ・・・われわれの数がふえているからだ・・・もっとたくさん・・・もっとたくさん・・・」

 さいごのほうのことばを断末魔のうめきのようにのどからしぼりだすと、灰色の紳士は両方の手でわれとわが口を必死でふさぎました。目はかっと見ひらかれ、モモを見すえています。ややあってから、ようやく男はわれにかえったようです。

「ど、どうしたどうしたんだ?」男はどもりながら言いました。「おまえは、わたしのことばを聞いてしまったんだな! わたしはくるってしまった!おまえがくるわせたんだ、おまえのせいだ!」・・・するときゅうに哀願するような声になって・・・「わたしのしゃべったことは、まるっきりでたらめだよ。わすれてくれ! ほかの人たちとおんなじに、わたしのことをわすれてくれなくちゃいけないれ! わすれてくれ! わすれてくれ! 」

 男はモモをつかんで、ゆさぶりました。モモはくちびるを動かしましたが、声がでません。
 すると灰色の紳士はとびあがって、あわててあたりを見まわし、鉛色の書類かばんをつかむと、車に走りよりました。すると、なんともふしぎなことがおこりました。ちょうど爆発の場面をさかさまに見るように、人形とあたりにちらばっていた小物がぜんぶ、サッと空に舞いあがったと思うと車のトランクに吸いこまれ、トランクのふたがバタンとしまったのです。車は小石をあたりにとびちらして走っていってしまいました。
(中略)

 目のまえのしおれた草のあいだから、ほそいけむりのすじが立ちのぼっていました。ふみつぶされた灰色の葉巻の吸いがらがくすぶっていて、すこしずつ灰になっていきました。


ミヒャエル・エンデ著『モモ』5:友人であるジジとベッポ
ミヒャエル・エンデ著『モモ』4:灰色の男たち(続き)
ミヒャエル・エンデ著『モモ』3:灰色の男たち
ミヒャエル・エンデ著『モモ』2:ニコラとニノのけんか
ミヒャエル・エンデ著『モモ』1:円形劇場に住みついた

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