『地球星人』

<『地球星人』>
図書館に予約していた『地球星人』という本を、待つことおよそ4ヶ月でゲットしたのであるが、村田さんの作品では『コンビニ人間』だけを読んだが、なかなかの印象を受けたのでおます。・・・大型新人とでも言うんでしょうか。♪



【地球星人】


村田沙耶香著、新潮社、2018年刊

<出版社>より
私はいつまで生き延びればいいのだろう。いつか、生き延びなくても生きていられるようになるのだろうか。地球では、若い女は恋愛をしてセックスをするべきで、恋ができない人間は、恋に近い行為をやらされるシステムになっている。地球星人が、繁殖するためにこの仕組みを作りあげたのだろうー。常識を破壊する衝撃のラスト。村田沙耶香ワールド炸裂!

<読む前の大使寸評>
村田さんの作品では『コンビニ人間』だけを読んだが、なかなかの印象を受けたのでおます。・・・大型新人とでも言うんでしょうか。

<図書館予約:(2/14予約、6/09受取)>

rakuten地球星人


この本の語り口をちょっとだけ、見てみましょう。
p41~44
 自転車で走っていると、同じ形の家が並んでいる風景が、巣だなあ、と思う。昔、由宇と一緒に秋級(あきしな)の山の中で見つけた、大きな繭に似ている。
 ここは巣の羅列であり、人間を作る工場でもある。私はこの街で、二種類の意味で道具だ。
 一つは、お勉強を頑張って、働く道具になること。
 一つは、女の子を頑張って、この街のための生殖器になること。
 私は多分、どちらの意味でも落ちこぼれなのだと思う。

 塾は、駅前に二年前にできた公民館の二階にある。
 靴を脱いであがると二つ部屋があり、奥の部屋は中学受験をする六年生の特進コースの教室で、塾長先生が授業を担当している。手前の部屋は、私のように受験をしない子たちの普通コースだ。こちらのクラスは、大学生のアルバイトの伊賀崎先生が担当している。
 自転車をとめて教室に入ると、もう皆座っていた。静ちゃんがこっちこっち、と手招いて、私は隣に座った。
 皆、日に焼けていたり、髪を切っていたり、夏休み前に会ったときとすこし姿が違っていた。

「奈月ちゃん、隣町の花火大会行くでしょ? 浴衣着るよね?」
「うん、そのつもり」
「ね、新しいの見にいかない? 金魚の可愛い柄のやつ、この前見たんだ」
 皆、夏休みを満喫しながらも退屈しているらしく、お喋りが止まらない。二十人ほど子供が集まった教室は、笑い声とざわめきでいっぱいになった。

「こら、静かにしなさーい」
 ドアをあけて伊賀崎先生が入ってきた。「わあ」と静ちゃんが嬉しそうな声を出した。
 伊賀崎先生は人気のあるアイドルグループの男の子によく似ていて、女子から人気がある。かっこいいだけでなく、授業もわかりやすくて面白いと評判だった。

 私はせめて「働く道具」としてはもう少し優秀になりたいので、一生懸命勉強している。
「奈月ちゃん、社会良くなってきてるね」
 先生に言われて、私は「はい」と頷いた。
 先生が私の頭を撫でた。先生の手が離れていっても、頭の毛の下の皮膚がびりびりと痛んでいた。

「奈月ちゃん、少し残ってプリント作り手伝ってもらえる?」
「はい」
 伊賀崎先生は私によく用事を頼む。静ちゃんから「いいなあ」といわれながら、その日も私は教室に残って先生と二人きりで作業をした。

「奈月ちゃんは姿勢が悪いよね」
 シャツの裾から先生の手が入ってきて、私の背骨を直接撫でた。
「ほら、こうやって背骨をのばすんだよ。ね、そうしないと、肩こりとかが起きちゃうからね」
「はい」
 私は先生の手から逃れるように背骨をのばした。

「うん、姿勢がよくなった。奈月ちゃん、おへそにも力を入れてね」
 先生の手が前にまわりそうになったので、慌てて身体を捩った。
「どうしたの。先生は姿勢を教えているんだよ? 大人しくしていないとだめだよ」
「はい」
 先生の手がブラジャーを掠めた。私は黙ったまま背骨をのばしていた。
「これでいいよ」
 先生の手がやっと離れたけれど、私の身体は強張ったままだった。

ウーム 危うし奈月ちゃん、という展開であるが・・・
この小説は単なるロリコン小説ではないはずである。

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