(インタビュー)脱・指示待ち型へ

<(インタビュー)脱・指示待ち型へ>
 日本電産会長兼CEOの永守重信さんがインタビューで「テレワークは好機、自己管理の力高めあしき慣例変える」と説いているので、紹介します。

“プロゼクトⅩ”を地で行くような立志伝は、最近ではあまり流行らないようだが・・・今回の永守さんは過激な言動が目立っていたようですね


(永守重信さんへのインタビューを5/22デジタル朝日から転記しました)


日本企業の経営はコロナ禍で大きく揺らいでいる。先を見据えた製品開発と企業買収で成長してきた日本電産も例外ではない。しかし、永守重信会長兼CEO(75)はコロナ後の日本では経済や社会、そして人々の働き方が大きく変わると語る。災いを福に転じさせるのに必要なものは何なのか。たたき上げの経営者に聞いた。

Q:経営者としてコロナ危機をどう受け止めていますか。
A:創業以来、何度も厳しい局面はありました。ただ、今回は人命が関わっているという点でまったく違う。2008年のリーマン・ショックでは『こんな時こそ死にものぐるいで成長していこう』とハッパをかけ、業績をあげました。今回は、会社がつぶれるかもしれない、ではなく、人の命が失われてしまうかもしれない。人命最優先の経営という経験は、この半世紀で初めてです。

Q:今回のようなリスクを減らすため、1990年代から海外で事業を広げてきたのでは。
A:世界中どこで異変があってもカバーできるよう、生産拠点や取引先を分散してきました。昨年来の米中貿易戦争で影響が少なかったのも、中国の拠点がだめでもメキシコから出荷できたからです。しかし、今回は世界中の工場がいっぺんにやられた。

 グループ各社は複数の仕入れ先企業に幅広く発注してきました。ところが、仕入れ先は分散していなかったので、モノが入ってこなくなった。築き上げた供給網も完璧ではなかった。反省しています。

Q:今後、どうするのですか。
A:これからもやってくる感染症の拡大を前提としたグローバルな生産態勢を作る必要がある。40ヶ国以上に拠点がある態勢をすぐには変えられないが、数年かけて抜本的に作り替える。一部の部品はすでに自社で作り始めました。自動化、ロボット化、テレワーク……新たな手段はいろいろあるけれど、限界もある。先を見据えて必要とあれば、今後とも企業を買収してでも乗り切っていく。

Q:危機時のリーダーには、何が必要でしょうか
A:自らの信念、哲学です。それがないと、緊急事の判断はできない。必ずぶれるし、自らも、周囲も納得させることができません。経営者も政治家も同じです。

 私はどんなことがあっても、会社をつぶさないことを最優先にしています。危機の行方次第では、自らの私財すべてを投げ出さないといけないかもしれない。『雇用の維持こそが社会貢献』と長年言ってきましたが、解雇を強いられるかもしれません。そうならないようにするのが経営者の責務です。

Q:リーダーの決断が誤った結果を生む恐れはありませんか。
A:数年前、解雇をしないことで有名だった米国の大企業が業績悪化を理由に大量解雇に踏み切りました。当時のトップに理由を尋ねたことがあります。彼は『ここには1万人しか乗れない船しかない。でも、2万人いる。このまま出航したら沈没する』と語った。躊躇するうちに事態は悪化する。リーダーが憎まれることもあるだろうが、やむを得ません。

Q:いま世界各国の首脳がリーダーシップを争っていますが、懸念はありませんか。
A:感染拡大を防ぐためのリーダーシップは否定しませんが、自国第一主義ばかりが目立つのは気がかりです。その方が国民受けはする。でも、誤った決断です。各国が協調しなければ、ワクチンの開発も進まない。行き過ぎた自国第一主義は、その国の政治基盤の崩壊すら招きかねません。

    ■     ■
Q:「3密」の回避は私たちの働き方も大きく変えそうです。
A:うちもテレワークを広範囲で導入せざるをえなくなったが、若い世代は使いこなしています。グループ会社の共同会議にオンラインを活用したら、例年なら10日ほどかかったのが4時間で済みました。これからは、出社は同僚が集まる週1日とか、住まいも都心である必要もなく、広い仕事部屋を持てるかもしれない。海外担当なら時差を生かして満員電車に乗らなくてもよくなるでしょう。

Q:テレワークは働き方改革の柱になる、ということですか。
A:私は、テレワークは日本人には向いていないと思っていました。というのも、日本人には指示待ち型が多いからです。子どもの頃から親や先生に言われたことに従うのを是とし、自ら何かを始めようとしない。会社員になってからも、大部屋に机を並べて、何かあれば、すぐ上司にうかがいを立てる。でも、テレワークなら上司の顔色を見て仕事することもなくなるので、指示待ち型から変わるかもしれない。

Q:しかし、自己管理が難しいというマイナス面もあります。
A:自己管理ができるようになるのは日本人にとって、間違いなくプラスです。日本人は自分の意見を言おうとしないので、外国人とのディベートで負けてしまう。これからは、積極的に自分で仕事を探し(Proactive)、専門性を磨いて(professional)、生産性を高められる(Productive)の『3P』で人材を評価していきたい。

Q:人材評価が難しくなるのではありませんか。
A:4月から『入社から何年たったら課長』というような社歴や年齢、学歴の条件をやめたら、意外とテレワークにマッチしていることがわかりました。これからは20代の課長もありです。新入社員も欧米のように給与に差をつけていく。コロナ禍は、日本のあしき横並び主義を変えるきっかけになる気がします。

    ■     ■
Q:コロナ後の世界はどうなっていくのでしょうか。
A:米国でトランプ大統領が誕生したように、新型コロナの登場前からグローバル社会はひずみを生み、変革の時期を迎えていたと思います。コロナ後は、これまで以上に地球環境と格差への取り組みが重要になります。

 経済活動が鈍り、いま世界の空は真っ青だと聞きます。人類が環境を悪化させていたことが『見える化』されたのです。感染症の拡大は格差の拡大にもつながる。解決には各国の協調が不可欠で自国第一主義では解決できません。

Q:国内外のビジネス環境はどうなりますか。
A:いま以上の競争社会になるのは間違いない。淘汰はすでに始まっています。実力の差は好況時には見えませんが、不況時にはっきりする。生き残れば、競争相手が減り、大きなチャンスをつかむ可能性もある。特に技術革新の激しい業界は、首位の利益が100なら、2位はその半分、3位は収支とんとん、4位以下は赤字という激戦地になるでしょう。

Q:生き残りに必要なものは。
A:日本の企業は99%が中小企業です。他社と同じことをやるだけでは負けます。かつての日本電産のように、ライバルの2倍、1日16時間は働かないと、成長できない。私も『すぐやる、必ずやる、出来るまでやる』と言い聞かせてきました。昔はブラック企業と言われましたが、あの時代のがんばりがなかったら、今の我が社はありません。

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Q:コロナ禍によって若い世代の間では不安が高まっています。
A:いま授業がないと心配している若者が多いと聞きます。でも、いまの若い人たちは100年人生です。わずか1年や半年は何てことはない。授業がなくても、やることはいくらでもある。英語がぺらぺらにしゃべれるように独学するのもいいでしょう。指示待ち型ではダメです。

Q:2年前から京都先端科学大学の運営に携わっていますね。
A:これからの日本は一芸に秀でた人材、とがった人材が求められます。いまの教育界にはびこる偏差値と大学ブランド信仰をなくし、そんな人材を育てたい。今年4月には工学部も新設しました。専門科目の授業はすべて英語。卒業研究の代わりに、企業から課題をもらって解決策を考える独自のプログラムも考えています。

Q:130億円を超す私財を寄付してまで、教育にこだわるのはなぜですか。
A:教育は人間の行動を変えるからです。私は職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)で学びましたが、将来はどう変わるか、何を学び、どんなものを作ればいいかを教わった。そしてオイルショックで省エネが叫ばれたとき、省電力のモーターを開発しようと、会社を起こした。今の学生らには、大人や先輩がつくったレールに乗ろうと思うな、会社を起こせと常日頃から言っています。

Q:でも、低成長が続く日本では、夢や希望がなかなか持ちにくくなっていませんか。
A:人生とは、一流企業に入ったから幸せなわけではありません。どんなときでも、夢や希望はあります。だからこそ、若者に夢と希望と理想をもたせ、挑戦することで自らの人生を切り開くような人間教育が必要です。(聞き手=大阪経済部長・多賀谷克彦、西尾邦明)

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永守重信:1944年生まれ。73年に京都市で創業。積極的な企業買収で売上高1.5兆円、グループ従業員12万人の世界有数のモーター製造会社に育てた。


(インタビュー)脱・指示待ち型へ永守重信020.5.22

この記事も 朝日のインタビュー記事スクラップR16に収めておきます。


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