『大いなる眠り』1

<『大いなる眠り』1>
図書館で『大いなる眠り』という本を、手にしたのです。
レーモンド・チャンドラー著、村上春樹訳の『さらば愛しき女よ』が良かったので・・・二匹目のドジョウを狙うように借りたわけでおます。



【大いなる眠り】


レーモンド・チャンドラー著、早川書房、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
マーロウは話をつけると約束して、早速ガイガーの経営する書店を調べはじめる。「稀覯書や特装本」販売との看板とは裏腹に、何やらいかがわしいビジネスが行われている様子だ。やがて、姿を現したガイガーを尾行し、その自宅を突き止めたものの、マーロウが周囲を調べている間に、屋敷の中に三発の銃声が轟いたーアメリカ『タイム』誌「百冊の最も優れた小説(1923-2005)」、仏「ル・モンド」紙「20世紀の名著百冊」に選出の傑作小説。待望の新訳版。

<読む前の大使寸評>
レーモンド・チャンドラー著、村上春樹訳の『さらば愛しき女よ』が良かったので・・・二匹目のドジョウを狙うように借りたわけでおます。

rakuten大いなる眠り


マーロウがスターンウッド将軍邸を訪れたあたりを、見てみましょう。
p14~15
<2> 
 私は口を開いたまま、彼をじっと見ていた。柔らかく湿った熱気が帷のように我々を囲んでいた。老人は肯いた。まるで首が頭の重さを案じているみたいに。やがて執事が軽食ワゴンを押して、ジャングルをかき分けるようにやってきた。そして私のためにブランディートソーダをミックスしてくれた。銅の氷バケツを湿ったナプキンで包むと、蘭のあいだをそっと抜けて去っていった。ジャングルの奥でドアが開き、閉まる音が聞こえた。

 私は飲み物を一口すすった。老人は私を見ながら、何度も何度も唇を舐めた。唇のひとつが、ゆっくりともう一方に重ねられた。そこには葬式を思わせる忘我があった。葬儀屋が手をこすり合わせるのと同じだ。

「君自身について話してくれないか、ミスタ・マーロウ。それくらいの権利はあると思うのだが」
「かまいませんよ。しかし語るに足るようなことは皆目ありません。年齢は33歳、大学に行ったこもあり、もし要求があれば、英語は今でもいちおうしゃべれます。もっとも私の職業においては、その手の要求はあまり数多くはありませんが。かつて地方検事のミスタ・ワイルドのもとで、捜査員の仕事をしていたことがあります。検事局の主任捜査官であるバーニー・オールズという人物から電話があり、あなたが私に会いたがっておられると聞きました。結婚はしていません。警官の女房というのがもうひとつ好きになれないので」

「そしていささか拗ねものでもある」と言って老人は微笑んだ。「ワイルドのもとで仕事をするのは気に入らなかったのかね?」

「解雇されたのです。命令不服従ということで。命令不服従については、私には多少の実績があります、将軍」」
「そいつは私もご同様だ。それくらいでなくちゃ話にならん。ところで君はうちの家族について何を知っている?」
「奥さんを亡くされ、二人の若い娘がいる。どちらも美人で、手に負えない。一人は三回結婚している。いちばん最近結婚した相手は、かつての酒の密売業者で、その世界ではラスティー・リーガンという名前で通っていた、それくらいのことしか耳にしていません、将軍」

「その中で、何かひかかるところはあるかね?」
「ラスティー・リーガンの部分がいささか。しかし私は酒を密売する連中とは常に友好的にやってきましたから」

 彼は微かな、倹約された笑みを口元に浮かべた。「そいつはこちらもご同様だ。私はラスティーのことがずいぶん気に入っていた。クロンメル出身のでかい巻き毛のアイルランド人でな、哀しい目をして、ウィルシャー大通りに負けないくらい広々とした笑みを浮かべることができた。最初に会ったとき、私もたぶん君が考えているのと同じようなことを思ったよ。こいつは、今はたまたま猫をかぶっているが、けっこう食えないやつかもしれんぞと」

「あなたは彼のことが好きだったに違いない」と私は言った。「そういう言葉づかいを学んだところを見ると」


以前に読んだ『さよなら、愛しい人』を付けておきます。

【さよなら、愛しい人】
さらば
レイモンド・チャンドラー著、早川書房、2009年刊、11年1月読破

<「BOOK」データベースより>
刑務所から出所したばかりの大男、へら鹿(ムース)マロイは、八年前に別れた恋人ヴェルマを探しに黒人街の酒場にやってきた。しかし、そこで激情に駆られ殺人を犯してしまう。偶然、現場に居合わせた私立探偵フィリップ・マーロウは、行方をくらましたマロイと女を探して紫煙たちこめる夜の酒場をさまよう。狂おしいほど一途な愛を待ち受ける哀しい結末とは?読書界に旋風を巻き起こした『ロング・グッドバイ』につづき、チャンドラーの代表作『さらば愛しき女よ』を村上春樹が新訳した話題作。

<大使寸評>
映画『チャイナタウン』が、パクリとは言わないまでも、この本をを下敷きにしていることが良くわかります。ただ、フィリップ・マーロウは、エロ話で盛り上がるジェイク・ギテスよりは上品ですね(笑)

Amazonさよなら、愛しい人


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