『新・韓国風土記 第一巻』3

<『新・韓国風土記 第一巻』3>
本棚に積読になっていた本であるが、8年ぶりに読んでみようと思いたったのです。
・・・なにしろ、神戸市の図書館が閉鎖中で、読む本に事欠いてきたもんで。

この本は、全5巻シリーズの第一巻とのこと。


【新・韓国風土記(第一巻)】
韓国(画像は第4巻)
安宇植編、読売新聞社、1989年刊

<「BOOK」データベースより>
朝鮮王朝の都として発達したソウル、海の守りの要衡釜山、収奪に耐え観光立国を実現した済州島。檀君神話の昔から「漢江の奇跡」の現代まで、ソウル、釜山、済州島が歩んだ独自の道を俯瞰する。

<大使寸評>
父の本棚で見つけたこの本もアマゾンで出ないので、古書ということだろう。
80年代のソウル、釜山を韓国人が綴った内容となっています。

webcatplus新・韓国風土記(第一巻)


東横インから見た関釜フェリー

「第2部第4章 海の気質・海の文化」で、釜山を見てみましょう。
p168~170
<大陸と海を結ぶ関門>
 釜山は港町である。港は出会いの場所である。水と水が、文明と文明が、人と人とが出会い、ぶつかり合い、揉み合うところ、それが港であり港町である。だが、釜山はありきたりの港町ではない。

 ユーラシア大陸の東端に、牛の乳房のような格好で突きでた、朝鮮半島の南端に位置する港町釜山は、ソ連や中国など大陸の勢力を背景に、日本やアメリカなど太平洋の海洋勢力に対して広く門戸を開いた関門である。大陸の勢力が強大なときは太平洋に向かう捌け口となり、海洋勢力が進出してくるときは大陸に向かう足場となったのである。

 大陸、海洋の二大勢力にとって、いつも開かれていなければならなかったのが釜山であり、この二大勢力の衝突によって、民族の歴史にはっきりと節目が刻まれてきたのが釜山であった。開放性と流動性によって特徴づけられる釜山の文化の特性は、こうした地政学的な条件からきている。

 影島区東三洞と沙下区多大浦で発見された新石器時代の貝塚は、先史時代に朝鮮半島と日本列島との間に、文物の交流がなされたことを裏づける物的な証となっている。日本の古代国家を築いたとされている北方の騎馬民族は、おそらく朝鮮半島を突っ切って南下し、釜山から日本列島へ渡っていったに違いない。

 また、蒙古(元)が世界各地を征服した時代、釜山一帯は征服者たちの兵站および発進基地となり、逆に倭寇が朝鮮半島に侵入して略奪を重ねる足場、豊臣秀吉による朝鮮侵攻すなわち壬辰倭乱の際には、豊臣軍の上陸地点となった。それだけではない。開港を強要された1800年代後半にも、また朝鮮動乱の折にも、釜山は韓国における最後の砦となるなど、朝鮮近・現代史の生々しい現場となった。

 壬辰倭乱の傷跡は、東莱府使宗象賢とともに城を枕に討ち死にした数多くの名もなき民衆の墓碑である「壬辰戦亡遺墟碑」として、東莱区福泉洞に残されている。また、四百余年にわたって釜山浦に設けられた倭館は、いまも龍頭山公園の「約条制札碑」によってその跡をとどめている。さらにまた、植民地時代に日本人居留民によってつくられた緑町の公娼街は、私娼街となって西区玩月洞にその面影を残している。

 朝鮮民衆の恨みと哀しみを象徴した関釜連絡船が横づけされた港、敗戦によってすごすごと故国へ引き揚げていく日本人が列をなした港、朝鮮動乱の折の臨時首都、戦乱によって郷里をなくした人々が涙ぐみながら三日月を眺めた影島大橋の手すり、各地からなだれ込んできた戦争難民でごった返したヤミ市、対馬の厳原との間を往き来する密輸特攻隊が暗躍した町、政治家張ケイ根が日本に密航していった港、ベトナム派兵の出航地、それから十年後のベトナム・ボートピープルの上陸地、北洋漁場開拓のための漁船団の出港地・・・釜山の歴史はこのように多様な表情をもっている。

 釜山は、いつの時代も民族の歴史の最前線にあった。そのため、釜山に住んでいる人々は歴史の流れの変化を敏感にかぎ取って生きてきた。激変を繰り返す歴史の現場で研ぎすまされたその感性は、現実へのすぐれた対応能力として示され、彼らの気質を形成し、それが個性となって根を下ろした。
(中略)

 政治や文化よりは経済や娯楽を、感傷よりは打算を、名分よりは実利を優先させる性向が強い釜山の人々だからこそ、洗練された高尚な文化よりも、飾らずに愉しむことのできる大衆文化を好むのは、ごく当然のことだろう。


『新・韓国風土記 第一巻』2:両班の体面p85~86
ソウル、釜山の歴史 :植民地下での変化p38~40、釜山の変化p153~155

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