『文芸誤報』2

<『文芸誤報』2>
図書館で『文芸誤報』という本を手にしたのです。
先日読んだ同じ著者の『文学的商品学』という本が面白かったので、この書評集も期待できそうである。


【文芸誤報】


斎藤美奈子著、朝日新聞出版、2008年刊

<「BOOK」データベース>より
2005年以降の文学を読みまくり全172冊+α。
【目次】
1 嬉し恥ずかしデビュー作(『となり町戦争』三崎亜記/『四十日と四十夜のメルヘン』青木淳悟 ほか)/2 書き続けるのが作家の仕事(『みんな元気。』無城王太郎/『幸福な食卓』瀬尾まいこ ほか)/3 天下分け目の賞の行方は(2004年下半期芥川賞予報/『対岸の彼女』角田光代 ほか)/4 功なり名とげてなお精進(『鉄塔家族』佐伯一麦/『死の棘日記』島尾敏雄 ほか)/5 旬な脇役、評論とエッセイ(『愛と死をみつめて』大島みち子+河野実/『世界文学を読みほどく』池澤夏樹 ほか)

<読む前の大使寸評>
先日読んだ同じ著者の『文学的商品学』という本が面白かったので、この書評集も期待できそうである。

rakuten文芸誤報



太子も読んだ『ツアー1989』がどのように評されているか興味深いので、見てみましょう。
p128~129
<『ツアー1989』中島京子>
 手の込んだ長篇小説だ。まず、ある主婦のもとに15年前の手紙が届く。書かれたのは1989年。差出人は香港にいるらしい。「凪子さん」と自分に呼びかけている。しかし、彼女にはそんな男と会った記憶もないのである。

 2番目の男性は、15年前の自分の日記を見つけて読みふけってしまう。香港旅行中に会った女や消えた男のことが書かれていた。だが、すべては夢の中の出来事のよう。
 
 3人目の女性は、ネット上で奇妙なブログを発見する。そこには彼女しか知らないはずの15年前の出来事が綴られていた。1989年の日付。その頃彼女は旅行会社の添乗員をしていたが…。

 と、このように、物語は同じ日付(1989年の3月)の同じ場所(香港)をめぐる記憶の問題として提出される。3人の背景にあるのは「迷子つきツアー」と呼ばれる奇妙な団体ツアーだった。1989年から92年にかけて実施されたそれは<通常のパッケージツアー客の1人を『迷子』として現地に置き去りにすることにより、他のツアー客に『不思議さ』や『奇妙な感覚』を体験させること>を目的としていたのである。

 15年といえば、殺人事件の時効が成立するだけの年月である。小説は一見「迷子つきツアー」の謎解きのような装いを凝らしているけれど、ミステリーのように読んではいけない。最終章「吉田超人」にたどり着く頃には、読者自身も「不思議さ」「奇妙な感覚」に巻き込まれていることに気づくだろう。

 中島京子は現在注目すべき気鋭の作家のひとりである。2003年に田山花袋の『蒲団』を換骨奪胎した『FUTON』(講談社文庫)で作家デビュー。2005年には知る人ぞ知るイギリス人の女性旅行家イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を下敷きにした恋愛小説『イトウの恋』で読者を増やした。

 資料を作品に取り込むのが上手な人で、こういう知的な作風が私は大好き 『ツアー1989』は「資料も自作してみました」という感じに見えるが、そのへんはわからない。
 ちなみに「吉田超人」とはウルトラマンの中国語表記である。

ウン なにやらミステリー調で、どことなく、村上さんの「中国行きのスロウ・ボート」を彷彿とするのです(大使の場合)


『ツアー1989』を付けておきます。

【ツアー1989】
ツアー

中島京子著、集英社、2006年刊

<「BOOK」データベース>より
記憶はときどき嘘をつく。香港旅行の途上で消えた青年は何処へ。15年前の4日間をめぐる4人の物語。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると、中国ツアーの短篇小説集のようである。怖い物見たさというか村上春樹風でもあるし借りたわけでおます。

amazonツアー1989


『文芸誤報』1:『沖で待つ』絲山秋子

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