『文芸誤報』1

<『文芸誤報』1>
図書館で『文芸誤報』という本を手にしたのです。
先日読んだ同じ著者の『文学的商品学』という本が面白かったので、この書評集も期待できそうである。


【文芸誤報】


斎藤美奈子著、朝日新聞出版、2008年刊

<「BOOK」データベース>より
2005年以降の文学を読みまくり全172冊+α。
【目次】
1 嬉し恥ずかしデビュー作(『となり町戦争』三崎亜記/『四十日と四十夜のメルヘン』青木淳悟 ほか)/2 書き続けるのが作家の仕事(『みんな元気。』無城王太郎/『幸福な食卓』瀬尾まいこ ほか)/3 天下分け目の賞の行方は(2004年下半期芥川賞予報/『対岸の彼女』角田光代 ほか)/4 功なり名とげてなお精進(『鉄塔家族』佐伯一麦/『死の棘日記』島尾敏雄 ほか)/5 旬な脇役、評論とエッセイ(『愛と死をみつめて』大島みち子+河野実/『世界文学を読みほどく』池澤夏樹 ほか)

<読む前の大使寸評>
先日読んだ同じ著者の『文学的商品学』という本が面白かったので、この書評集も期待できそうである。

rakuten文芸誤報



大使好みの絲山秋子がどのように評されているか、見てみましょう。
p212~213
<『沖で待つ』絲山秋子>
 今期(第124回)芥川賞受賞作である。絲山秋子は2003年、文学界新人賞『イッツ・オンリー・トーク』(文春文庫)でデビュー。2年あまりの間に4回ノミネート。『袋小路の男』(講談社文庫)で川端康成文学賞を、『海の仙人』(新潮文庫)で芸術選奨文科大臣新人賞を受賞した実力派だ。

 もしかして絲山秋子は、(大きな賞の選考委員である)じじばばキラーなのか。
たしかにその気はある。文章もトゲトゲしていず、一見「癒し系」なのだ。

 だから彼女が賞をとったときの選評はいつもおもしろい。今回、一番楽しいボケをかまして、いやしみじみ楽しい気分にさせてくださったのはこの選評だった。

<女性と男性が企業内の同じ職場で同一の仕事をこなす光景は、かつてほとんど見られなかった。女性総合職の出現によって女と男のたいとうなに働く場が生れた。それは新しい現実である。その新しさがいかなる意味を持ち、どのような可能性を人間にもたらしたかを追求したのが本作であるといえよう>(黒井千次)

 えーっと、先生、こういう関係はね、20年くらい前からあるんですよ。男女雇用機会均等法が施行されたのは1986年ですから。

『沖で待つ』は「同期」の物語である。メーカーに同期入社した「私」と「太っちゃん」は、どちらかが先に死んだら互いのパソコンのハードディスクを壊すことを約束するのだ。

<「おい、おまえこの計画乗るのか、どうなんだよ」/「いいけど、太っちゃんに見られちゃうんでしょ。それがやだな」/「だからそのための協約なんだって。玉恵さんとかだったら絶対パソコンの中身全部見るよ。俺わかるもん。おまえの、いるかいないかわかんねえ彼氏とかでも見るよ。だって、そういう人は何でも知りたがるから。でもおまえだったら見ないって約束したら見ないでいてくれるような気がするのさ」>

 パソコンとは脳のいわば出先機関である。互いの脳(心)の中には踏み込まず、しかし互いに仕事ぶりはよく知っている。だからこそ可能になった約束。さすが絲山秋子、いい線を突いてくる。実際には、同期同士で結婚する裏切り者も多いとはいえ。

ウン じじばばキラーなのか。・・・それから不良っぽい、なかなかのキャラクターだと思うのでおます。


先日に読んだ『文学的商品学』という本を付けておきます。

【文学的商品学】


斎藤美奈子著、紀伊國屋書店、2004年刊

<「BOOK」データベース>より
商品情報を読むように、小説を読んでみよう。庄司薫から渡辺淳一まで、のべ70人の82作品を自在に読みとく。
【目次】
はじめにー商品情報を読むように小説を読んでみよう/1 アパレル泣かせの青春小説/2 ファッション音痴の風俗小説/3 広告代理店式カタログ小説/4 飽食の時代のフード小説/5 ホラーの館ホテル小説/6 いかす!バンド文学/7 とばす!オートバイ文学/8 人生劇場としての野球小説/9 平成不況下の貧乏小説

<読む前の大使寸評>
膨大な数の書評を書いている著者だから、商品学と銘打つのは・・・いいんじゃないか。
rakuten文学的商品学

『文学的商品学』3:平成不況下の貧乏小説
『文学的商品学』2:フード小説
『文学的商品学』1:浅田次郎『プリズンホテル』


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