『鉄の文明史』2

<『鉄の文明史』2>
図書館で『鉄の文明史』という本を手にしたのです。
古代日本へどのようにして鉄作りが伝播したのか・・・興味深いのです。


【鉄の文明史】


窪田蔵郎著、雄山閣出版、1991年刊

<「MARC」データベース>より
鉄を造る原材から、シルクロード、旧約聖書などの古代文化の中に見られる鉄など、鉄の歴史を西アジア、中国・韓国、日本にたどる。著者自らが足で調べた興味深い話の数々。

<読む前の大使寸評>
古代日本へどのようにして鉄作りが伝播したのか・・・興味深いのです。

amazon鉄の文明史

怪蛇とアンドロメダ王女

「第3章 シルクロードの鉄」で鉄の叙事詩が語られているので、見てみましょう。
p82~85
<中央アジアで見た八俣遠呂智>
 シルクロードの中心地ウズベク共和国のタシケント市南230キロに、サマルカンド市がある。そこから僅か東東南へ70キロの場所に、国が代わってタジク共和国に属するがペンジケント市がある。ゼラフシシヤン河の水流を利用してできた運河の多いオアシス都市である。

 13世紀には蒙古軍の侵入を受け、一旦は完膚なきまでに破壊されたが、地の利を得ているので再び人々が集まり近傍に町並が復興した。

 この辺りは隊商交易の拠点で早くから鉄器文化が知られていたとみえ、隣接する紀元前2世紀のサラーズモ遺跡からは、刀、鏃、盾の鋲などの鉄製品が多数発見されている。この街の歴史博物館を見学したおりに、その外壁に漆喰の平面を鑿で線画風に彫った壁画があった。

 ところがその絵は明らかに日本の八俣遠呂智のルーツともいえるもので、人面蛇身の二匹の怪物が馬上の騎士に切り殺されようとして、傷だらけになりのたうち回っている場面が彫られていた。この辺りも物語の伝播した道と考えられよう。
(中略)

 少し離れるが、川崎製鉄の広報誌『鉄』では、鉄の叙事詩と題して次のような二つの話を紹介している。一つはロシアのムーロムという町の領主パーヴェル公の妃が、羽の生えた魔性の蛇と通じてしまい王は退治を計画する。妃の策略で蛇の泣きどころを知り、王は弟のピョートルに依頼して、某僧院の壁の割れ目にあった名剣アグリークを得て退治している。もう一つはニーベルンゲンの物語で、王子ジーフリトが鍛治屋の弟子となったことから始まるが、非常な乱暴者であり喧嘩早いので、親方が恐ろしい龍の住む森に炭焼きに行かせた。

 その結果王子は龍を退治して、名剣バルムンクとグルグント王グンテルの妹クリムヒルトを得ている。これらにはいずれも若干の後日譚がある。一脈の関連は無視できない構成である。しかしこうなると大蛇退治も色濃く潤色されたものと言わざるを得ないであろう。

 狼にまつわる話も同様だがこの龍蛇退治の話も、シルクロード一帯さらにヨーロッパやアフリカなどにまで広大な地域に分布しており、古代文化の想像もつかない壮大な浸透力を思わせる。

 オロチ神話の原形としては、ギリシャ神話のゼウスの息子ペルセウスが怪蛇からアンドロメダ王女を救った話や、ヘラクレスのアケロオス退治などが良く知られている。
(中略)

 このようにみてくると、どうも西域地方に遠呂智のルーツがあるようで、中国の類似神話もこの方面と密接な関係があるようである。延々とシルクロードを伝わってくるうちに製鉄関連の種族に好まれ、農耕治水神話が換骨奪胎されてしまって、日本では時代の経過にともない製鉄神話になったようである。


『鉄の文明史』1

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