『鉄の文明史』1

<『鉄の文明史』1>
図書館で『鉄の文明史』という本を手にしたのです。
古代日本へどのようにして鉄作りが伝播したのか・・・興味深いのです。


【鉄の文明史】


窪田蔵郎著、雄山閣出版、1991年刊

<「MARC」データベース>より
鉄を造る原材から、シルクロード、旧約聖書などの古代文化の中に見られる鉄など、鉄の歴史を西アジア、中国・韓国、日本にたどる。著者自らが足で調べた興味深い話の数々。
<読む前の大使寸評>
古代日本へどのようにして鉄作りが伝播したのか・・・興味深いのです。

amazon鉄の文明史



「第3章 シルクロードの鉄」で製鉄先進国が語られているので、見てみましょう。
p59~65
<鉄を表す言葉の流れ>
 シルクロードの鉄器文化は紀元前十二世紀頃から八世紀頃にかけて、主としてヒッタイト系の製鉄技術を持った民族が東進、あるいは後に中途から西南進するなどして各地を漂泊し、トルクメンは勿論、ウイグル、タタール、キルギス、カザフなど、沿線に扶植していったものと推定されている。

 その付近の言語を見るとほとんどチュルク語系である。現在のウズベク語の原形がこのチュルク語であって、チャガタイ汗国時代の用語、そしてウイグル、さらに突厥の言語にまで遡及するとされている。

 それを裏付けるようにこの辺りを歩いてみると、これらの地域では製鉄先進国の言葉である。英語(Iron)でもドイツ語(Eisen)でもフランス語(Fer)、スペイン語(Hierro)でもない。独特の鉄を表現する言葉が用いられている。政治的影響力の強いロシア語(〇)ですらも、ソ連化教育によって使われる程度で、民族同士の間ではほとんど用いられていない。

 砂漠やオアシスで、トルコ+イラン、トルコ+ロシア、トルコ+蒙古、あるいは朝鮮や中国、アラビアなどの混じりあった、複雑な混血を思わす人々に再三出会った。そうしてバイカル湖畔やアルマータ市の街角で、日本人と余りにも似通った容貌の人々に行き交うことにも驚かされた。

 タクラマカン砂漠周辺でも中国中央部とは全く異なった、ウイグル族をはじめトルコ的風貌・習慣をもつ人々をしばしば見受けた。移住や連行の関係か飛石的に異民族が居住するところもある。

 そこで鉄器文化の東遷と民族の関係を調べる目安として、鉄のことをどのように各地で表現しているか、ホテルや航空機の中での聞き齧りをカナ発音で写してみた。発音を表現するのはむずかしけ十分ではないが、辞書も参照して出来る限り拾ってみた。

 その結果は地域独特の訛りや一、二の聞き違いもあろうが、大きく分けて次の通りであった。
①古代トルコ語が若干変化した形で伝播した言葉を使う地域。中には全く異なる言語体系なのに借用語の形で定着している地域もある。

②ツングース族は製鉄技術を知ったものの、鉄の表現に独自の用語を維持し、これがやがて南部へと伝播していき、民族によっては若干の変化を示している地域もある。

③アラビア語は砂漠を漂泊した民族によってエジプトに入る一方で北上し、ヨルダン、シリアなどに至っている。

④インド語系の言語は、インド諸族から中継ぎしたソグド商人などの鉄搬送を示すかのように、北上してパンジャブ地域からパミール高原、さらにアフガニスタンの一部など、いわゆる東西・南北の接点に残存している。

⑤イラク・イランはペルシャ語が主流であるが、一部はインド語の影響も無視できないようである。なお隊商の往来した関係か、ソグド人の後裔とされているタジク族の言語はもちろん、アフガニスタンのパシュート語にも幾分親縁関係がみられる。

⑥中国語の発音はティエで、迂遠な形でトルコ語の影響を受けていると言えよう。福建省まで下るとビンナン語ではティとなってくる。また日本語も大部分はさらに変化した形でこれに連接しているものと考えられる。ただ東北地方に残るテツの発音はツングース語系に属するということができよう。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント