『ムーミン谷へようこそ』2

<『ムーミン谷へようこそ』2>
図書館で『ムーミン谷へようこそ』という本を手にしたのです。
スウェーデン国籍を持つトーベ・ヤンソンの風貌はどこかアジア的であり、フィンランドの血が現れています。扱う言語もスウェーデン、フィンランドのバイリンガルであることも興味深いのです。



【ムーミン谷へようこそ】


冨原眞弓著、ベストセラーズ、1995年刊

<「BOOK」データベース>より
【目次】
ムーミンに登場するキャラクター/ようこそムーミンの世界へ(自然なしあわせのかたち/「ムーミン的」な暮らしとは/かわいい子には旅をさせよう/偶然にゆだねられた運命/もうひとりのトロール/自分探しの旅のはじまり/ムーミントロールの恋 ほか)/解説 トーベ・ヤンソンとムーミン

<読む前の大使寸評>
スウェーデン国籍を持つトーベ・ヤンソンの風貌はどこかアジア的であり、フィンランドの血が現れています。扱う言語もスウェーデン、フィンランドのバイリンガルであることも興味深いのです。

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「ムーミン谷の冬」あたりを、見てみましょう。
p61~64
<自分探しの旅のはじまり>
 ある冬の真夜中、ひっそりと寝しずまるムーミン屋敷の応接間に、青白い月の光が差しこんでいる。ムーミンたちは11月から4月にかけて冬眠するのだが、「月光にまっすぐ顔を照らされた」ムーミントロールだけが眼をさまし、どういても冬眠に戻れなくなってしまう。

 夏のムーミン谷を包んでいたのが、ものみなすべてを養い育てる太陽の暖かい光と熱だとすれば、見わたすかぎりの銀世界と化したムーミン谷を照らすのは、青く冷たい光を投げかける月である。月が生きものに神秘的な影響をおよぼすというのは、古今東西を問わず広く認められる俗信だが、この作品でも月は決定的な役割を演じる。

 <魔法の冬>とも訳せる『トロールの冬』という原題が示すように、なにが起きても不思議ではない魔法に満たされた季節、それがムーミン谷の冬である。夏の世界に君臨する太陽が何ヶ月も顔を出さなくなる北欧の長く暗い冬のあいだ、冬の世界をつかさどる月が、太陽の領域であった表の世界の日常を少しずつ浸食しはじめる。

 こうして、月の光をまともに浴びたムーミントロールは、冬のムーミン屋敷の日常である<眠り>から引きはがされ、まったく異質と思える世界にひとりぼっちで放りだされる。子ども時代をまもなく終わろうとするムーミントロールにだけ訪れたとつぜんの<めざめ>に、ひとつのステージからべつのステージへと移るための通過儀礼の隠喩が読みとれる。


 応接間の大きなタイルストーブのまわりでは、家族たちが夏の夢にいだかれて屈託なく眠っている。白いカヴァーで覆われた家具、時を刻むのをやめて久しい柱時計、テュールに包まれた埃っぽいシャンデリア、月光がきわだたせる暗闇。心なごませるはずの見なれた応接間が、ふいに不気味で見なれないものに変わる。

 作者自身による挿し絵が重要なファクターとなる。たとえば、ムーミントロールが応接間にたたずむ頁大の挿し絵では、得体のしれない不気味な予感が、陰影あざやかな描線によってたくみに演出される。

 手前に描かれているのは掛け布団をすっぽりかぶって眠るムーミンママだ。かろうじて耳だけがのおいている。ベッドの枠に掛かっているのはエプロンだろう。左手にある大きな柱時計は、黒い髪を振りみだし、両腕を腰にあてた、のっぺらぼうのおばけのようだ。
(中略)
・・・顔の見えないムーミンママの寝姿に、ムーミントロールの孤独が読み取れる。


『ムーミン谷へようこそ』1

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