『文学的商品学』1

<『文学的商品学』1>
図書館で『文学的商品学』という本を手にしたのです。
膨大な数の書評を書いている著者だから、商品学と銘打つのは・・・いいんじゃないか。


【文学的商品学】


斎藤美奈子著、紀伊國屋書店、2004年刊

<「BOOK」データベース>より
商品情報を読むように、小説を読んでみよう。庄司薫から渡辺淳一まで、のべ70人の82作品を自在に読みとく。
【目次】
はじめにー商品情報を読むように小説を読んでみよう/1 アパレル泣かせの青春小説/2 ファッション音痴の風俗小説/3 広告代理店式カタログ小説/4 飽食の時代のフード小説/5 ホラーの館ホテル小説/6 いかす!バンド文学/7 とばす!オートバイ文学/8 人生劇場としての野球小説/9 平成不況下の貧乏小説

<読む前の大使寸評>
膨大な数の書評を書いている著者だから、商品学と銘打つのは・・・いいんじゃないか。

rakuten文学的商品学



浅田次郎『プリズンホテル』が語られているので、見てみましょう。
p117~119
<個人経営のリゾートホテルはトンデモ城である>
 舞台裏系リゾートホテル小説のヒット作といえば、これをあげないわけにはいけません。シリーズ化もされている浅田次郎『プリズンホテル』です。

 舞台は山間の温泉リゾートホテル「奥湯元あじさいホテル」。風光明媚な立地ではあるものの、このホテルのスタッフは曲者ぞろいです。オーナーはヤクザの親分で、支配人はスタッフの中では唯一のホテルマン経験者ですが、失火が原因で一流ホテルをクビになり業界を転々としてきた人物。従業員は、ヤクザの子分と日本語がわからない外国人が半分ずつ。とんでもない混成チームによって、このホテルは運営されているのです。

 この布陣が決まった時点で、小説の成功は約束されたも同然です。なにせ番頭が客を迎えるときの礼儀からして、こうですからね。

「へいっ。うけたまわっておりやす。このたびは遠路はるばるのご到着、ご苦労さんにござんす。まずはワラジをお解きになりやして、ごゆっくりとご逗留下せえ」
 黒田はそこまで言ってふいに顔を上げ、ひとけのないフロントに向かって叫んだ。
「おいっ、若い者ンは誰もいねえのかっ。客人のご到着だ!」
(『プリズンホテル』)

 着任したての支配人が目をまわすのも、それと知らずに訪れたお客がひるむのも、これでは無理もありません。インテリアの趣味の悪さだって天下一品です。新支配人がホテル内を点検して歩くシーンを見てください。

力いっぱいホテルマンの顔をして、花沢支配人は部屋から出た。
 廊下に飾られた調度類の趣味も、早急に何とかしなければならない。エレベーターホールに突然置かれている鎧。裏山に面した出窓には、水牛のツノとか、打出の小槌を振り上げた大黒天とか、巨大な色絵ツボとか、正体不明な骨董類がゴテゴテと飾られている。階段の上がりがまちには、時代劇の番所でもあるまいに、サスマタ、ソデガラミ、ハシゴといった捕物道具がズラッと並べてあった。
「たまらんなあ…」
 中央階段を下りかけて、花沢は思わず呟いた。
(同前)


ウン この書評を見て、図書館に『プリズンホテル』の借出し予約を入れたのでおます。(副本2、予約0)となっていたので3日もすれば入手できるでしょう。


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