『バカのための読書術』2

<『バカのための読書術』2>
図書館で『バカのための読書術』というふざけたタイトルの新書を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくってみると・・・
タイトルと違って内容はまともでおます。いわゆるキャッチコピーでんがな。



【バカのための読書術】


小谷野敦著、筑摩書房、2001年刊

<「BOOK」データベース>より
現在、「知」は混迷状態に陥っている。インテリたちはかつてないほど熱心に西洋の新理論の輸入に血道をあげ、難解な言葉と言い回しに身をやつしている。その一方で、有名大学の学生がフランス革命の存在を知らなかったりする。では、この両極の中間に位置する人は、何をどう読めばよいのか。学校は出たけれどもっと勉強したい人、抽象的な議論がどうも苦手だという人。そういう「バカ」たちのために、本書はひたすら「事実」に就くことを指針とし、インチキ現代思想やオカルト学問、一時の流行に惑わされず、本を読み勉強するための羅針盤となるべき一冊である。本邦初「読んではいけない」リスト付き。
<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると・・・
タイトルと違って内容はまともでおます。いわゆるキャッチコピーでんがな。

rakutenバカのための読書術


「第5章 歴史をどう学ぶか」から幾つか、見てみましょう。
p116~120
<「史観」とは何か>
 さいきん、「史観」という言葉をよく耳にする。「自由主義史観」とか「司馬史観」とかいうものだ。昔は「民衆史観」なんていう言葉もよく耳にした。私には、この「史観」とか「歴史観」とかいう言葉の意味がよくわからないのである。

 たとえば、「司馬史観」とは何なのだろう、と思ってよく調べてみると、近代日本は国の近代化にがんばった、日清・日露戦争は立派に戦った。しかしそれ以後は、朝鮮を併合したりシナに無謀な進出をしたり米国と戦ったりしてダメになった、とか、そういう見方のことらしく、それは司馬遼太郎の長篇小説『坂の上の雲』やエッセイや講演から窺える、というのである。

 しかしそれは、単に日本近代をどう評価するか、という問題に過ぎないではないか。だいたい司馬遼太郎は、何も近代ばかりを書いていたわけではない。古くは空海から、幕末・維新期に至るまで多くの小説を書いているのであって、それらはここで言われている「司馬史観」とは何の関係もない。

 たとえばエーゲルは、人類はアジア的な段階からギリシャ的、ローマ的な段階を経てキリスト教的段階に至る、と考えたし、ユダヤ・キリスト教では、いずれ最終戦争が起こって、人々は最後の審判を受ける、と考えられ、仏教の末法思想では、ブッダ入滅後、正法、像法、末法の世界が順にやってきて世界が終わる、と考えられた。こちらのほうがよっぽど「史観」らしいが、かといってヘーゲルを含めてこれは一種の信仰であり、学問とは言えず、ヘーゲルの歴史哲学などというのは、ノストラダムスの大予言と大して変わらないたわごとである。
(中略)

<2種類の歴史の書き方>
 たとえば日本の通史を書くとき、わかっていることをすべて書く、ということはできないから、事実の取捨選択が要る。その場合、大きくわけて二つの書き方がある。

 A. 藤原道長の栄華とか、信長、秀吉、家康とか、有名人、つまり政治家や軍人を中心とした歴史。
 B. 中世の民衆はどういう生活をしていたか、人口変動はどうだったか、といった民衆史。

 この二つである。現在、中学や高校で教える歴史は、この二つを適宜ミックスしたものになっている。戦前の公式的な教育の世界では、むしろAが中心で、特に天皇家に忠節を尽した人が英雄視されたので、楠木正成や東郷平八郎が英雄だったりした。戦後は、楠木や東郷はほとんど重要視されなくなったし、赤穂浪士の討入りなんてのも、あまり教科書には載っていない。

 Bは、いっぱんにマルクス主義史学と言われるものの方法で、戦後のアカデミズムは一時期この勢力が強く、ために民衆史が研究の中心となった。中世史の網野善彦も、この系統である。これがいわゆる「民衆史観」である。そして、司馬遼太郎などは、アカデミズム史学が民衆史観に覆われた、その空隙を埋めるようにして、従来型のAの歴史を、史料を駆使して描き、人気作家になったのである。

 だから、中学・高校時代に司馬や梅原猛を読んで「歴史ファン」になった者が大学の史学科などへ入ると、往々にして、民衆の暮らしに関する古文書を読まされたりして、信長も秀吉も出てこないので失望したりする。

『バカのための読書術』1

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