新潮日本文学アルバム井伏鱒二』5

<『新潮日本文学アルバム井伏鱒二』5>
図書館で『新潮日本文学アルバム井伏鱒二』という本を、手にしたのです。
井伏鱒二といえば、以前に読んだ『徴用中のこと』にあるとおり戦中派の作家という印象も強いし、『黒い雨』の作者でもある。

なお、(その5)としているのは(例のごとく)この本を8ヶ月前に借りていたからです。

【新潮日本文学アルバム井伏鱒二】


井伏鱒二、新潮社、1994年刊

<「BOOK」データベース>より
少年時代は画家志望。青春の孤独を通して得たユーモアとエスプリ、清新な感覚で開花した市井人の文学。原爆の悲劇を世界に訴えた『黒い雨』の巨匠の生涯。

<読む前の大使寸評>
井伏鱒二といえば、以前に読んだ『徴用中のこと』にあるとおり戦中派の作家という印象も強いし、『黒い雨』の作者でもある。

rakuten新潮日本文学アルバム井伏鱒二


戦時中の活動を、見てみましょう。
p48~51
<作家としての“道”昭和5年~昭和15年>
 昭和13年2月には『風来漂民奇譚ジョン万次郎漂流記』により第6回直木賞を受賞しているのである。『さざなみ軍記』を書き綴るということ、それは、戦乱の中で「急速度に心が大人びてゆく」若き公達の行く末を追っていくことでもあり、同時に「この物語は私の十年間の気持ちをところどころに貼り付いたアルバムのごときもの」でもあった。

「私の力量ではそれが現わせないと思ったので、自分自身が少しでも経験を積むのを利用して」書き綴ってきた井伏鱒二自身の、作家としての「経験」と「力量」の、その軌跡の具現化でもあった。

 昭和11年2月、三好達治等の詩誌「四季」の同人となる。昭和13年9月、同人文芸雑誌「文学界」に参加し、翌年4月同誌に「多甚古村の人々」を発表する。或る南国の海辺の村に起こったさまざまな事件を通して、庶民生活の表裏をほのぼのと描きだした日記体を用いた作品で「川」「集金旅行」「本日休診」などと同じく、幾つかの挿話を積み重ねていく連作の形をとる、著者の好んで用いる執筆法で書かれている。

「戦争中でほんとうのことを書けないから、非常に通俗的なものになってしまった。戦争のことなんか書いたらそれこそだめだ、本にする時、配給の紙をくれない(『井伏鱒二全集』月報)」。すでに“非常時”という圧力を、肌に直に感じ始めていたのである。

 昭和15年2月、田中貢太郎の病気見舞いのために土佐の高知に向かった。胃潰瘍で倒れたのであるが、病状は平穏を保っていた。このときの旅の中で「へんろう宿」が書かれたのである。翌年2月には田中貢太郎はここで死去している。


ネットを巡ってみると、こんな記事がヒットしました。

2018年12月15日広島)井伏鱒二の遺族が未発表の日記や書簡を寄贈より


 広島県福山市出身の井伏鱒二(1898~1993)が戦時中に書いた日記や戦後まもない頃に新聞社の知人に宛てた書簡など未発表資料を含む38点が、遺族から地元のふくやま文学館に寄贈された。このうち19点の公開が14日、同館で始まった。

 未発表の日記の中には、井伏が戦時中の1942(昭和17)年に徴用作家としてマレーシアやシンガポールに滞在していたころの記述もある。同年9月5日から11月22日までの出来事を断片的につづり、後にこの時期を井伏は「徴用中のこと」などの作品に残している。9月5日付の日記では、マレーシアのマラッカに到着し、街ではダンスホールや中国の芝居などが催され、平安な感じだと書き残している。

 書簡では、終戦後の45年11月に親しくしていた朝日新聞東京本社出版局の知人宛てのものなど7通が展示されている。同6日付の書簡では、「お忙しいでせう。僕は一昨日初めてジープなるものを見ました」と始まり、「かねがね僕は、まだ見ぬジープをもすこし大きくて戦車のやうに頑丈な感あるものと考へてゐました」「子供のとき、まだ見ぬ飛行機をもつともつと大きな軍艦のやうなものであらうと考へてゐたのと同じ」と感想を述べている。「ジープに乗つたアメリカ兵は銃を小脇に抱え街の焼跡に目をそゝいでゐるやうでした」と続く。

 寄贈に合わせて、同館が古書市で購入した資料も公開する。弟子だった太宰治が、女性との離別をめぐる井伏らへ宛てた覚書と、覚書を受け取った旨を知らせる井伏の添え書きが並ぶ。

 岩崎文人館長は「ささいな日常の出来事が作品にかかわっていくプロセスの原点が、日記などから分かってくる。井伏は大福帳や和とじ本の和紙の裏などにこまめに書いている。そうしたことも確認してもらえたら」と話している。


『新潮日本文学アルバム井伏鱒二』4:「黒い雨」への道程p76~77
『新潮日本文学アルバム井伏鱒二』3:太宰治との関わりp60~64
『新潮日本文学アルバム井伏鱒二』2:昭和23年~41年あたりp64~77
『新潮日本文学アルバム井伏鱒二』1:徴用から終戦のあたりp52~55




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