『日本が売られる』3

<『日本が売られる』3>
図書館に予約していた『日本が売られる』という新書を、待つこと9ヶ月ほどでゲットしたのです。
この新書は買って読もうかと思ったが、図書館で半年待って読めるとふんだのが甘かったようです。よくあることでおます。


【日本が売られる】


堤未果著、幻冬舎、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
水と安全はタダ同然、医療と介護は世界トップ。そんな日本に今、とんでもない魔の手が伸びているのを知っているだろうか?法律が次々と変えられ、米国や中国、EUなどのハゲタカどもが、我々の資産を買い漁っている。水や米、海や森や農地、国民皆保険に公教育に食の安全に個人情報など、日本が誇る貴重な資産に値札がつけられ、叩き売りされているのだ。マスコミが報道しない衝撃の舞台裏と反撃の戦略を、気鋭の国際ジャーナリストが、緻密な現場取材と膨大な資料をもとに暴き出す!

<読む前の大使寸評>
この新書は買って読もうかと思ったが、図書館で半年待って読めるとふんだのが甘かったようです。よくあることでおます。

<図書館予約:(2/05予約、10/26受取)>

rakuten日本が売られる


「第1章 日本人の資産が売られる」で牛乳について、見てみましょう。
p86~91
<6 牛乳が売られる> 
■美味しい輸入チーズが安くなる!
 2017年7月17日
 EU代表と日本政府が署名した日欧EPAについて、ワイドショーなどで大きく取り上げられたのは、今後大きく値段が下がるだろう、ヨーロッパの美味しいチーズの話題だった。
 日本は8項目で関税ゼロを約束、中でもチーズなど乳製品についてはTPP交渉より大きく譲ったために、これから安い輸入品がたくさん入ってくるからだ。
 チーズの関税は、カマンベール等のソフト系はEPAで、ゴーダチーズやチェダーチーズ等のハード系はTPPでそれぞれ撤廃を約束し、結局政府は国産チーズを全く守らなかった。

 ちなみにTPP11では、ニュージーランドやオーストラリアが、アメリカが日本へ輸出するあずだった3万トン分の輸入枠をちゃっかり自分たちの取り分に入れ、合計7万トンの輸出枠を手に入れてしまった。激怒したアメリカは、今後日本とTPPに代わる二国間貿易条約について交渉する際、きっちり落とし前をつける気だ。

 したたかなビジネスマンのトランプ大統領は、間違いなくこう言うだろう。
「当然、元々の取り分3万トンは確約だ。そこから+αでどこまで輸出枠をくれる? さあ交渉を始めよう」

 つまり日本には、7万トン+3万トン=10万トン+αの乳製品が海外から流れ込んでくることになる。

 テレビは「美味しい輸入チーズが安くなる!」「外食産業も期待!」などと宣伝し、チーズ好きの消費者は安く買えるとワクワクし、安く仕入れられる小売業は小躍りし、関税がなくなることでEUの酪農家も大喜びだ。

 だが、この問題の第一人者である東大の鈴木宣弘教授は、この条約によって国内の乳製品生産高が最大203億円減少することを指摘し、「関税がなくなり安い乳製品が大量に入ってくると、国産牛乳が消えるだろう」と警鐘を鳴らす。

「安いチーズやバターは大歓迎、日本は美味しい牛乳を作ればいいのでは?」
 そういう声も多々あるが、ここには大きな誤解がある。
 生乳の処理には順番があるのだ。
 酪農家から生乳を集めた農協がメーカーに渡す時には、まず日持ちのしない牛乳と生クリーム用に出し、次に価格が安いので先に出す量を決めたチーズ用、最後に残った分の生乳で、保存期間の長いバターと脱脂粉乳を作る。

 季節によって生産量と消費量が違う生乳は、夏には足りずに冬は余るので、余った分はバターと脱脂粉乳に回し、足りない時はバターと脱脂粉乳を輸入すればいい。

 つまり関税をなくして全部安い輸入品に置き換わると、冬に余った生乳が行き場をなくしてしまうのだ。捨てれば膨大な赤字だし、安く売れば牛乳全体の値段が下がってしまう。
 バターと脱脂粉乳を作るのを冬だけにするといっても、冬だけ工場を動かすのは採算が取れない上に、春夏秋だけ社員を解雇するのも難しい。
 かといって牛たちに「なぁ、冬はミルクをあまり出さないでくれよ」というのも、無理な相談だ。

 たかがバター、されどバター。バターは単なる「美味しい商品」ではない。国産牛乳と乳製品と酪農家を守るための重要な「調整役」だからこそ、国が高い関税をかけて守ってきたのだ。「市場」に任せると調整がうまくいかないからこそ、自国産業を守るために先人が作った関税を、歴史から学ばぬ今の政治はいとも簡単に廃止した。その言い分はこうだ。
「守りだけでは戦えない。グローバル化のこの時代、日本の農業も、世界と対等に競争できる成長産業にならなければ。実際日本の酪農家が育てる牛の数は、すでにEU並みの規模を実現しているじゃないか」

 確かに一戸当りの牛飼頭数を見ると、トップは149頭のデンマークだが、ドイツ54頭、フランス51頭に続き、日本は48頭と、肩を並べている。
 だがここには、政府が触れない重要な要素が一つある。
 国が農家を守るレベルが、EUと日本では桁違いなのだ。
 例えばフランスの農家は収入の9割、ドイツは7割を政府の補助金が占めている。政府が守ってくれるから、自然災害などで価格が下がっても農家は潰れない。だから乳製品の価格でも、世界トップのニュージーランドと対等に競争できる。

 農地は自国民の食の安全保障だけでなく、国土の安全保障にとっても重要だ。海に囲まれた日本と違い、隣国と地続きで常に国境を意識するEU政府は、そのことをよくわかっている。

 一方、日本はどうだろう?
 1963年に42万戸あった酪農家はどんどん減って、今では1万7000戸だ。国内バターの9割を生産している北海道では、年間200戸の酪農家が消えている。
 減っているのは「高齢化と後継者不足が原因」などと言われるが、それ以前に日本は他国と比べて農家をちゃんと守っていない。農家の収入のうち、政府補助金はわずか4割弱なのだ。
 農家の所得を保証する補助金制度は民主党政権でやっと始まったが、その後すぐに安倍政権が半分に減らし、2019年度には再びゼロになってしまう。

 生産費の半分を占める、餌の値上がりも深刻だ。
 1961年に日本政府が出した「農業基本法」で、「家畜の餌は海外から輸入すること」に決められた。
 <これからは、コメや麦よりバターやミルク、チーズが売れる。畜舎を広げてたくさん牛を飼うべきだ>
 そう考えた政府は農家に安い輸入飼料を使わせ、機械化と化学肥料とで、日本の酪農を大規模化するように仕向けてゆく。

 その結果、米国産トウモロコシを中心に、餌の9割を輸入に頼るようになってしまった。
「他国の食をアメリカに依存させよ」は、アメリカの外交戦略だ。
 ここから日本の畜産の運命は、アメリカの手に握られてゆく。

 第一、国産より安いといっても、穀物の市場価格は不安定で、為替レートや運搬に使う石油の価格上昇によって、すぐに値段が上がってしまう。アメリカの不作で高騰したトウモロコシの飼料価格は2004年から10年で3倍に上昇、これに2012年からのアベノミクスで加速した円安のダメージが重なり、酪農家はバタバタと倒産している。

ウーム 輸入チーズが安くなったのは個人的には嬉しいのだが・・・
終戦直後から始まった息の長い米戦略によって、ニッポンの食料安保は懐柔されてきたわけか。

『日本が売られる』2:働かせ方法案
『日本が売られる』1:ネオニコチノイド禁止へ。日本は?

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