『AI VS.教科書が読めない子どもたち』1

<『AI VS.教科書が読めない子どもたち』1>
図書館に予約していた『AI VS.教科書が読めない子どもたち』という本を、待つこと8ヶ月ほどでゲットしたのです。


【AI VS.教科書が読めない子どもたち】


新井紀子著、東洋経済新報社、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
大規模な調査の結果わかった驚愕の実態ー日本の中高校生の多くは、中学校の教科書の文章を正確に理解できない。多くの仕事がAIに代替される将来、読解力のない人間は失業するしかない…。気鋭の数学者が導き出した最悪のシナリオと教育への提言。

<読む前の大使寸評>
追って記入

<図書館予約:(2/22予約、10/26受取)>

rakutenAI VS.教科書が読めない子どもたち



第1章の冒頭で、AIとシンギュラリティについて、見てみましょう。
p12~17
<AIとシンギュラリティ> 
■AIはまだ存在しない
 AIについてのお話を始める前に、AIやシンギュラリティに関連する議論の行き違いを防ぐために確認しておきたいことがあります。一つは、実は「AIはまだどこにも存在していない」ということです。AIはartificial intelligenceの略です。一般的な和訳は人工知能で、知能を持ったコンピューターという意味で使われています。

 人工知能と言うからには、人間の一般的な知能とまったく同じとまでは言わなくても、それと同等レベルの能力のある知能でなければなりません。基本的にコンピューターがしているのは計算です。もっと正直に言えば四則演算です。言い換えると、人工知能の目標とは、人間の知的活動を四則演算で表現するか、表現できていると私たち人間が感じる程度に近づけることなのです。

 人工知能の実現には2つの方法論があります。逆に言うと2つしか方法論はありません。 一つは、まず人間の知能の原理を数学的に解明して、それを工学的に再現するという方法でしょう。もう一つは、人間の知能の原理はわからないけれど、あれこれ工学的に試したら、ある日「おやっ!いつの間にか人工知能ができちゃった」という方法です。

 前者は原理的に無理だと、多くの研究者が内心思っています。なぜか。人間の知能を科学的に観測する方法がそもそもないからです。自分の脳がどう動いているか、何を感じていて、何を考えているかは、自分自身もモニターできません。文を読んで意味がわかるということがどういう活動なのかさえ、まったく解明できていないのです。

 脳にセンサーを埋め込んでも残念ながらわかりません。センサーでモニタリングできるのは電気信号や血流などの物理的な動きだけです。しかも、それすら、動物実験でさえ厳しく制限されている現代に、健康な人の脳に直接センサーを埋め込むことなど到底許されません。「こういう原理で動いているのではないか?」という仮説を立てても、測定結果と比較して妥当性を検証しなければ話になりません。人間の知的活動をリアルに測定する方法がないのですから、人間の知能の科学的解明というスタートラインにすら立てないのです。

 後者はどうでしょうか? 後者の方法で人工知能が実現できるという立場の人は、飛行機の例をよく持ち出します。飛行機が飛ぶ原理は数学的に完全に解明されているわけではない。けれども実際に飛行機は飛んでいる。だから…この「だから」は非論理的ですが…、人工知能もそうやって工学優位で実現されるに違いない。

 数学者は、実現した後あとで好きなだけ時間をかけて「なぜ脳はそのように動くのか」を解明すればよろしいという議論です。その可能性を全否定はしません。ただし、銀河系のどこかに地球のような星があって、私たちよりも知的に発達した生物がいるかもしれない、ということを否定できないのとあまり変わりはありません。

 ただし、断言できることもあります。今盛んに研究されている「ディープラーニング」などの統計的手法の延長では人工知能は実現できません。後に詳しく説明しますが、それは「統計」という数学の方法論そのものに、ある限界があるためです。

 そのようなわけで、今後も、遠い未来はともかく、近未来に人工知能が誕生することはありません。にもかかわらず、巷間にはAIという言葉が氾濫しています。かく言う私も、気軽にAIという言葉を使っている一人です。

 なぜ、そのようなことになってしまったか。その理由は、「AI」という言葉と「AI技術」が混同して使われているからです。AI技術というのは、AIを実現するために開発されているさまざまな技術です。

 近年よく知られるようになったのは、音声認識技術や自然言語処理技術、画像処理技術です。Siriはご存知ですよね。スマートフォンに話しかけるといろんなことを教えてくれるあれです。Siriには音声認識技術と自然言語処理技術が使われています。後で詳しく説明しますが、ここ数年で画像認識技術が向上し、「AIはついに視覚を手にした」などと言われています。他にも音声合成技術やネット検索でお馴染みの情報検索技術、文字認識技術など、長年研究が続けられてきたさまざまな技術の革新で、AI技術は格段に発達しました。

 今では、そのようなAI技術を総称して単にAIと呼ぶようになっています。それが遥か遠く、訪れるかどうかもわからない先にあるとしても、AIはAI技術開発の先にあるゴールですから、一般社会では厳密に区別することにあまり大きな意味はなさそうだし、なにより、いちいちAI技術と言うのはもどろっこしい、だからAIとAI技術は区別なく使われているのだと思われます。この本でたびたび登場してくることになる「東ロボくん」というAIも、正確にはAI技術です。
(中略)

 AI技術をAIと呼ぶことで、実際には存在しないAIがすでに存在している、もしくは、近い将来に登場するという思い違いが生じています。結果、近未来社会では人間の仕事が「」AIに代替されるというような誤解を生み、実際に多くの場面で、その誤解を前提にした議論が交わされるという状況が生まれています。
(中略)

■シンギュラリティとは
 AIに関連する言葉として今一番人々の関心を集めているのはおそらくシンギュラリティでしょう。果してシンギュラリティは来るのか来ないのか…、などと使われています。
(中略)

 けれども、将棋ソフトがプロ技師に勝つことと、真の意味でのAIが人間の能力を、あるいは知能を超えることとはまったく別次元のことです。そもそも、「人間の能力を超える」ということがどういうことなのか、よくわかりません。
 シンギュラリティのもともとの意味は非凡、奇妙、特異性あどですが、AI用語では正確にはtechnological singularity という用語が使われ、「技術的特異点」と訳されます。それは、「真の意味でのAI」が、自律的に、つまり人間の力をまったく借りずに、自分自身よりも能力の高い「真の意味でのAI」を作り出すことができるようになった地点のことを言います。


半年ほど前に読んだ『図説シンギュラリティの科学と哲学』という本を紹介します。

【図説シンギュラリティの科学と哲学】
3次元IC

野田ユウキ著、秀和システム、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
未来予測は必ず外れるのか!?技術的シンギュラリティは、人工知能が文明に対して引き起こすと予想される未来予測である。AIの登場でハードウェアとソフトウェアの発展は、いよいよ自立的進化を始めようとしている。シンギュラリティの理解に必要な理論と考え方を解説する。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると、図説と銘打っているとおりビジュアルであり、さらに横書きなので翻訳本かと思ったりしたのです。
著者の野田さんはサイエンス・テクニカルライターとのこと。

rakuten図説シンギュラリティの科学と哲学
『図説シンギュラリティの科学と哲学』4:量子コンピューター
『図説シンギュラリティの科学と哲学』3:パラダイムシフト
『図説シンギュラリティの科学と哲学』2:この本の冒頭
『図説シンギュラリティの科学と哲学』1:キーパーソンたち


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