『国のない男』1

<『国のない男』1>
図書館で『国のない男』という本を手にしたのです。
ウン 表紙のチョイ悪のようなポートレイトが圧巻でおます♪



【国のない男】


カート・ヴォネガット著、日本放送出版協会、2007年刊

<「BOOK」データベース>より
【目次】
わたしは末っ子だった/「トゥワープ」という言葉をご存じだろうか/小説を書くときの注意/ここで、ちょっとしたお知らせを/さあ、そろそろ楽しい話をしよう/わたしは「ラッダイト」と呼ばれてきた/2004年11月11日で、82歳になった/人間主義者とはどういう人を指すかご存じだろうか?/何事でも人々からしてほしいと望むことは、人々にもその通りにせよ/イプシランティの懐古的な女性/さて、いい知らせがいくつかと、悪い知らせがいくつかある/わたしはかつて、自動車販売会社の社長だった

<読む前の大使寸評>
ウン 表紙のチョイ悪のようなポートレイトが圧巻でおます♪

rakuten国のない男



酒とタバコが語られているが、このチョイ悪談義を、見てみましょう。
p50~53
<4 ここでちょっとしたお知らせを>
 いや、大統領に立候補するわけではない。もっとも少なくともわたしは、文には不完全なものは別として、主語と動詞がなくてはならない、ということは知っている。
 また、子どもと寝ていると罪の告白をするわけでもない。が、これは言っておこう。わたしの妻は、わたしがいままで寝た相手のなかでは群を抜いて年上だ。

 お知らせというのはこれだ。わたしはポール・モールの製造元であるブラウン&ウィリアムソン・タバコ・カンパニーを相手に十億ドルの訴訟を起こす。わたしはまだ12歳のときからタバコを吸いはじめたのだが、絶えず吸い続けたのは両切りのポール・モールのみだ。そしてもう何年の長きにわたって、ブラウン&ウィリアムソン・タバコ・カンパニーパッケージに書いて、わたしを殺してくれると約束してきた。

 ところが、わたしはもう82歳だ。この嘘つきどもめ! いま、この地球上でもっとも大きな権力を持っているのは、ブッシュ(陰毛)、ディック(ディック・チュイニー)、コロン(コリン・パウェル)の三人だ。何がいやだとといって、こんな世界で生きることほどいやなことはない。

 うちの政府は麻薬と戦っている。いうまでもなく、麻薬がまったくない状態よりずっといい。これは禁酒令について言われた言葉だ。1919年から1933年のあいだ、酒類の製造、輸送、販売が厳しく禁止された。そのときインディアナ州の辛辣な新聞記者、ケン・ハーバードがこう言っている。「禁酒法? 酒がまったくないよりいいじゃないか」

 しかしこれだけは知っておいたほうがいい。もっと広く乱用され、もっとも常習性が強く、もっとも有害なものが世の中にはふたつあって、ふたつとも合法だということだ。

 ひとつは、いうまでもなく、エチル・アルコールだ。ジョージ・W・ブッシュ大統領は、本人も認めているが、16歳から40歳までのほとんどのあいだ、ほろ酔いまたは酩酊または泥酔状態だったという。41歳のとき、彼の言葉によれば、イエスが現れて、酒をやめさせ、ウィスキーでうがいをするのをやめさせたそうだ。

 アル中から抜け出そうとしてピンクの象の幻覚を見た連中はほかにも大勢いる。
 違法ドラッグについては、わたしは臆病だったものでヘロインにもコカインにもLSDにも手を出していない。やると、頭がおかしくなってしまいそうで怖かったのだ。

 マリファナは一度だけ吸ったことがある。ジェリー・ガルシアとグレイトフル・デッドの連中といっしょのとき、付き合いでやった。が、ちっともきかなかった。だから、それ以来一度もやっていない。ありがたいことに、わたしはアル中ではない。これは遺伝によるところがかなり大きいと思う。ときどきやっても二杯くらい。まあ、今晩もまたやるかな。しかし二杯が限度だ。ノープロブレム。

 いうまでもなく、わたしはニコチン中毒だ。これで死ねたらといつも願っている。タバコの一方の先には火が、もう一方には愚か者がいる。

 しかしこれだけは言っておきたい。一度だけ、うごいハイの状態になったことがある。それは純度の高いコカインをやってもとうてい得られそうにないくらいの状態だった。そえは初めて運転免許を取ったときのことだ。さあ、みんな気をつけろよ、カート・ヴォネガットの登場だ!

 そのときの車は、たしか、スチュードベーカーだったと思うが、燃料は、現代のほとんどの輸送機関やほかの機器や、発電所や溶鉱炉で使われている、もっとも乱用され、もっとも常習性が強く、もっとも有害なドラッグ、つまり化石燃料だった。

 人間はここまで来てしまった。かく言うわたしも同様だ。この産業社会はすでに絶望的なまでに化石燃料に頼りきっている。そしてもうすぐそれがなくなってしまうという。このドラッグをいきなり絶ったときの禁断症状はどんなだろう。

 ここで本当のことを言ってもいいだろうか。これがTVのニュースなら遠慮するところだが、そうじゃないから言わせてもらおう。じつは、だれも認めようとしないが、われわれは全員、化石燃料中毒なのだ。そして現在、ドラッグを絶たれる寸前の中毒患者のように、われわれの指導者たちは暴力的犯罪を犯している。それはわれわれが頼っている、なけなしのドラッグを手に入れるためなのだ。

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