『村上春樹と私』7

<『村上春樹と私』7>
図書館で『村上春樹と私』という本を、手にしたのです。
著者のジェイ・ルービンは『1Q84』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』などを翻訳していて、世界的に知られているそうです


【村上春樹と私】


ジェイ・ルービン著、東洋経済新報社、2016年刊

<商品の説明>より
『1Q84』『ノルウェイの森』をはじめ、夏目漱石『三四郎』や芥川龍之介『羅生門』など数多くの日本文学を翻訳し、その魅力を紹介した世界的翻訳家が綴る、春樹さんのこと、愛する日本のこと。

<読む前の大使寸評>
著者のジェイ・ルービンは『1Q84』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』などを翻訳していて、世界的に知られているそうです。

rakuten村上春樹と私


英語圏における翻訳について、見てみましょう。(あるいは奢れる英語とでも言いましょうか。)
p221~223
<英語圏における日本文学の将来>
■翻訳者の名前は小さい
 ときどきアメリカの読者から「何を読んだら日本文学の現状が分かるか」と聞かれることがある。私は何の躊躇いもなくMonkey Businessと答える。変な題名ではあるが、Monkey Businessというのは日本文学の最前線を毎年紹介するユニークな英語文芸誌である。創刊号は2011年に出たが、編集長は東京大学でアメリカ文学を教える一方、無数のアメリカ小説を翻訳してきた柴田元幸さんである。

 柴田さんはアメリカ文学の翻訳者としていくつかの雑誌で特集を組まれるほど有名である。また村上作品の翻訳のチェック係としても注目されている。

 日本の読者には当たり前のことに思われるかもしれないが、翻訳者についてアメリカで特集が組まれるとは、考えられないことである。だいたい翻訳書が出ても、表紙に翻訳者の名前が出るなど、きわめて珍しい。柴田さんの翻訳書には彼の名前が大きく出ているのに対し、私の訳書は、原著者が村上春樹であれ、漱石であれ、はたまた芥川であれ、まったく出ていないか、出たとしてもごく小さいのが普通である。

 日本で翻訳者が重要視されるのは、明治以前の開国以来、翻訳者に頼らなければ全世界の知識に触れる可能性がなかったからである。逆に、英語は世界中で通用する言葉であり、もともと好奇心の乏しいアメリカ人はますます自己中心の世界観で満足して、外国の言葉を知ろうとしないし、翻訳書を少数しか読もうとしない。

 英語版Monkey Business創刊の3年前に、柴田さんは日本で文芸誌『モンキービジネス』を始めた。編集者G氏が後ろ盾となって、出版社まで見つけてきてくれて、季刊『モンキービジネス』がヴィレッジブックス刊で2008年4月にスタートした。大まかに言って、半分は日本の作家の新作やインタビュー、半分はほとんど全部柴田さん自身の翻訳になる英米の作品である。

 なぜ文芸誌に『モンキービジネス』という名前を付けたのかと、私は柴田さんに聞いてみた。
「初めは『ストーリー』にしたかったんだけど、女性誌に『Story』というのがあって、著作権上不可だと分かった。で、どうしたものか、Gさんと電話で喋っていたら、チャック・ベリーのCDが目に入った。おお、そうだ、トウー・マッチ・モンキー・ビジネス・・・これだ、とまずリクツ抜きで思った」

 しかし、リクツもあとからいちおう付いてきた。柴田さんによれば、日本の文芸誌はだいたいにおいてシリアスである。そして、中身はそれぞれ工夫しているのだが、形式は相当に画一的である。

 同じ版型で、毎月同じ日に刊行されて、一緒に新聞広告が載って・・・これはまたアメリカでは考えられない話である。誌名も旧漢字を未だ使っていたりしていて、物々しい。いかにもシリアス・ビジネスという感じなのだ。で、それに対抗してモンキー・ビジネスというわけなのだ。

「でも、実際にやってみて、毎月文芸誌を出している人たちはすごいなあと思うようになった。こっちは3ヶ月にいっぺんでもフウフウ言っているのに。尊敬してます」
 と柴田さんは苦笑いする。


『村上春樹と私』6:文学鑑賞と年齢の関係
『村上春樹と私』5:世界中の翻訳仲間
『村上春樹と私』4:アメリカでの村上講演会
『村上春樹と私』3:村上作品の英訳
『村上春樹と私』2:翻訳者の仕事
『村上春樹と私』1:翻訳の苦労


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