『妖しい関係』1

<『妖しい関係』1>
図書館で『妖しい関係』という本を手にしたのです。
阿刀田さんといえば、ロアルド・ダールの短篇「女主人」を紹介してくれた作家であり、とにかく阿刀田さんの短篇小説が気になるのです。



【妖しい関係】


阿刀田高著、幻冬舎、2012年刊

<商品の説明>より
突然逝った、美しく年若き妻。未亡人となっていた、かつての恋人。生まれ変わりを誓い死んだ、年上の女性。男と女の関係は、妖しく不思議で、時に切ない。短篇小説の滋味を味わいつくす、珠玉の13篇。

<読む前の大使寸評>
阿刀田さんといえば、ロアルド・ダールの短篇「女主人」を紹介してくれた作家であり、とにかく阿刀田さんの短篇小説が気になるのです。

rakuten妖しい関係




冒頭の短篇「オルフェウスの神話」を、見てみましょう。
p17~21
<オルフェウスの神話>
 小谷野と別れたあと…あとと言っても二日ほどたってのことだったが<黒いオルフェ>の歌が聞きたくなり、映画のほうも、
 …どんな筋だったかな…
 古い映画を扱う店へ立ち寄ってDVDを買い求めた。

 家に帰って、
「知ってる、これ?」
「知ってるわよ。テレビで見たわ」
 妻はさほどの興味を示さない。そこで独り留守番を頼まれたときに鑑賞した。

 カーニバルが熱い。市電の運転手と田舎から出て来た少女の運命的な恋。会ったとたんに愛しあう。そこへ不気味な仮装の男が現れ、少女を奪って死に追いやる。運転手もあとを追って死ぬ。

 映画が終わるころになって、
「ただいま」
 芳美が帰って来た。
「よくわからん。歌と画面はいいけれど」
「いい曲よね」
 芳美のハミングは正調だ。

「死体置き場に訪ねて行ったりして…あの世に訪ねて行くのとはちがうよな」
「カーニバルってすごいんでしょ。賑わいの最中に死がいきなり襲って来るって、そういうスト-リーじゃないの」
「そうかも」
 人間たちは歓喜に酔いしれている。そのときにこそ死が近づいて来るのだ。それが神話の示す教訓なのかもしれない。

 …小谷野はどう言うかな…
 今度会うことがあったら…あまり会いそうもないけれど尋ねてみよう、と思った。

 本来のギリシャ神話に触れておけば…オルフェウスはエーゲ海の北岸トラキア地方の出身で、ホメロス以前の最高の詩人にして音楽家、竪琴を奏でて歌う詩歌はまさに生きとし生けるものすべてを感動させてやまなかった、と、これはもちろん伝説である。ニンフの一人エウリュディケを妻とし、この上なく愛していたが、エウリュディケは暴漢に襲われ、逃げる途中で草むらに住む蝮を踏んで咬まれ、あえなく命を失ってしまう。オルフェウスの悲しみは深い。
(中略)
 
 そして、もう一つ、多くの人の記憶に残る映画<黒いオルフェ>は、ブラジルの詩人が書き残したストーリーをマルセル・カミュが脚色・監督して作った名作だ。リオのカーニバルを舞台にして生死を超えた宿命的な愛を描いて、いくつもの映画賞を受けている。とりわけ主題歌となった<カーニバルの朝>は郷土色をたたえて哀調を含み、不思議なストーリーに抜群の効果をそなえている。主人公たちの名はオルフェとユーリディスと神話に因んでいるが、ストーリーは必ずしも原話にそうものではなく、有名な冥界行きは含まれていない。


阿刀田さんといえば、ロアルド・ダールの短篇「女主人」を紹介してくれた作家であり、とにか阿刀田さんのく短篇小説が気になるのです。
『キス・キス』2:女主人

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